短編 家系にまつわる怖い話

女系家族の運命と戦う男の話#944

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うちの家系は女系で、男はめったに産まれないか、産まれても成人までいかずにお陀仏。

けど俺は現在二十二歳で、生きてるというミステリー。

死にたくないから頑張った結果だ。

親戚からは、冗談交じりで「このオカマ野郎が」と言われてる。

じいちゃん、ばあちゃんは喜んでるがね。

 

|男だと思ってるだけで、実は女なんじゃね?
|染色体異常で外見男の生物学上女とか?

男だよ、まごうことなきマッチョメンだよ。

外見上の性別微妙だったのも、二次性徴前までだよ。

十九歳のころに原因と思わしき場所に出向いて、一晩居座って愚痴言い続けたんだ。

「本人ならまだしも子孫祟るとか、お前それ年長者としてどうよ」ってな趣旨でオールナイト。

俺もよっぽど鬱憤溜まってたんだろうな。

最初こそ恐かったが、段々何でテメェみてえな理不尽野郎に振り回されなきゃなんないの、ってなってきてね。喋りが止まることは無かった。

そして、屋外でぶつぶつ言ってるサイコさんなのに、幸いにして通報もされなかった。

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|最高に面白い!
|そんな状況じゃ逆ギレするしかないよな。
|気持ちわかる。俺でもそうすると思う。
|詳しい状況教えてよ。
|思わしき場所?とか、なぜそこに目星つけたかとか、どんな状況だったのだのだ~

場所はまあ、墓というか石碑というか……そんな感じの場所。

どうにも明治あたりに、そんときの当主(つっても便宜上で、せいぜい小金持ちレベル)が、愛人に無体な振る舞いをしたらしいんだわ。

奥さん差し置いて先に子ども、しかも男産んだから、体裁取り繕うために子どもだけ引き取って愛人ポイ、当然跡取りにする気はナッシング。

で、その愛人がプッツンして自害。よくある痴情の縺れってやつですね。

まあ、その頃からじわじわと女系になってるらしい。

で、明らかに原因アレだろってことで、とりあえず最初に書いた墓っぽいのを自分とこの土地に建てた。

そこは、ミニサイズの畑の間に盛り上がった感じのとこで、でかい木があんの。

そのそばに建ててあるもんだから雰囲気ありすぎ。

そこで一晩中、理屈っぽいと嫌われているこの私めが、いかにアンタのやり口が理に適わないか、仮に俺を殺れたとして、それは霊の存在の証明に他ならないから、俺は霊となった状態で、アンタに生まれてきたことを後悔すようなことをしてやるぞ……

といった内容の説得兼脅しをし続けたのです。

ちなみに、婿養子とかの他家からきた男は影響全くなし。

子どもとして産まれたらアウト。大体が18、19で死んでる。

俺が行動を起こしたきっかけは、母の「アンタもそろそろやから覚悟しとき」という一言。

そして、キッツイ姉達がなんか妙に優しくなってきたことの二つ。

戦わなければ生き残れない!!

覚悟完了!我を砕き給え!の精神で突撃かましたワケです。

(了)

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