短編 怪談

手記#941

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『手記一』

696 名前:山盛るだ[sage] :04/07/15 15:51 ID:n0G8mJbA

山深い林業の町に暮らしています。

面白い地元誌の記事・手記からの抜粋をちょこちょこウプしたいと思います。

(具体的な地名等はこちらで編集させていただきまつ)

前回、見慣れない物、という投稿がございましたが私の体験もそれに類するのでしょうか?

平成七年の秋も深まった暮れに私は普段は踏み入れない○○山を二つ越えた山に茸採りに出かけました。

そこは、広域林道の整備された山の裏筋にあたる西側の場所で、カラマツ林になっています。

下草は芝生のような背の低い草が生えている程度です。

私は、そこでショウゲンジなどの茸を探していましたが、そこでふとカラスの屍骸を見つけました。

別に珍しくもないのですが、不思議な事にバラバラとカラスの羽が散乱するあたりの下草が丸く枯れているのです。

大きさは二m程度の範囲でしょうか。

円形にそこだけが茶色く変色しその中央に屍骸があるという感じでした。

(人もめったに立ち入らない山深い場所で農薬でも使ったのでしょうか?)

更にその近くで見慣れないキノコ?を見つけました。

それは茶色く干からびた脳、といった感じのもので大きさは十センチから二十センチ程度半分下草に覆われた状態でシャグマアミガサタケにも良く似ていますが柄がありません。

ひっくり返すと中身は空洞で乳白色でパサパサと脆く、キノコとも違うムッとした異臭がしました。

目を凝らすと周囲にも同じキノコ?が生えておりふとみると足で一つ踏み潰しており、恥ずかしながら思わず飛び退いたのを覚えております。

長年山に入っておりますが、このような種類のものは見たことがありませんでした。

その後、しばらくこの体験は忘れていたのですが、○○山の話題を聞き投稿させて頂きました。

以上が地元誌(十頁程度の白黒印刷地元情報誌)のかいつまんだ内容です。

(今年のキノコ自慢みたいな記事に紛れていた)

折をみて面白そうなのをUPします。

『手記二』

改めて読み返すとあまり「恐い」と言うものは無く「山の怪異」という雰囲気のものでスレ汚しかもしれないのですがもう一つ。

「たまし」の炎

昭和最後の年、息子夫婦の帰省の時の話です。

混雑する列車と夜行バスに揺られ町の駅についたのは夜も十一時を回った頃でした。

町の知り合いのタクシーの運転手にお願いをし迎えに行って頂きました。

息子夫婦の到着した駅からはタクシーで峠を越えて四十分ほどかかります。

運転手さんを含む三人は真っ暗な山道を進みました。

途中、細い川にかかる橋の袂で息子は不思議なものを目にします。

それはオレンジ色に揺れる「炎」でした。

まるでキャンプファイヤーのようなゴウゴウとした炎が川沿いに揺らめいていたそうです。

「こんな時間に誰か焚き火でもやっているのか?それとも山火事か?」

タクシーを橋の欄干に停め「気味が悪い」という妻を残して運転手さんと二人で欄干から三十メートルほど離れたところに揺れる炎を観察しました。

炎の高さは身の丈ぐらいあったと言います。

しかし、目を凝らしても火の番をしていると思われる人もおりません。

(焚き火には付き物の火の粉も舞っていなかったそうです)

山火事なら無線で連絡をしなければならないと二人は車に戻ろうとしました。

すると、突然炎はスゥーと横に動きフッとかき消すように消えたそうです。

三人が家に戻った時「狐火を見た!!」とかなり青ざめた様子でした。

その話を翌日町外れの薬屋のおじいさんにすると(五十年以上ここで商売をしている)「その炎はどんな色だった?」と聞いたそうです。

息子夫婦は丁度その箱のような・・・とオレンジ色のカゼ薬のパッケージを指差しました。

「あぁ、だったらそれは、たまし(魂?)の炎だ。狐火は青い」とさらりと答えたそうです。

そして、その炎を見たあたりの話をしてくれたそうです。

なんでも、昔から落人伝説等の曰くのある土地柄で、昔から現代に至るまでいろいろな怪異を体験した人が多いのだそうです。

『手記三』

遅レスで申し訳ありませんが感想有難うございまつ。

というわけで前段の怪火を目撃した峠を流れる川絡みの話です。

「カラカサお化け?」

つい五年程前の話です。

(投稿が平成六年でした)

夜釣り好きのSさんと役場の会合の席で釣り談義になり、お伺いした話です。

○○川沿いの峠を越え△△湾に出ると小さな△△漁港があり、そこから岬を回りこむように移動すると○○川の流れ込む河口の岩場があります。

そこはちょっとした秘密のポイントとなっているそうです

夜釣りの好きなSさんはいつものように深夜十二時程に家を出て山深い峠を越え現場に到着したのが午前一時半。

人気も無いしんと静まった暗い時間帯。

対岸の漁港の明かりが水面に揺れていたそうです。

Sさんは、しばらくタバコを吹かしながら仕掛けを準備していたそうですが、信じられないものを目にしたそうです。

Sさんの言葉を借りるなら

「○○川の川面に沿ってフワーーーと上流から赤銅色のカラカサが三つ水銀灯みてーに光ながら二メートルぐらいの高さで並んで浮かんできたのさ。

風の無い雲の多い晩で、ムッと生暖かかったな。

最初視界に入った時は何がなんだかわからなかったけども兎に角ゾワワーーーと背筋が凍りついたさ。

丁度あれだ、赤提灯?アレを濃くしたような色の傘が気味の悪い橙色の光をぼ~ぅと放って、下には青い蒸気?のような柄のようなものもぶら下っていて・・

丁度カラカサお化け?みたいに見えたんだな」

大きさは本当に傘程度だったそうで数十メートルほど先の水面を等間隔に三つ並んで川から海の上にスススーーーー

と滑るように音も無く動いていて、最後は岬の木々の陰に隠れたというのです。

この時代にカラカサお化けでもあるまい、とからかうと

「そういって笑うが、あの気味の悪い光を見たらだれでも肝を冷やすぞ・・・」

十数年夜釣りをしていたが、あんなモノを見たのは初めてだといつもは強面のSさんが青い顔でいっておられたのが印象的でした。

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