短編 山にまつわる怖い話

ダムサイト横の小さなトンネル【ゆっくり朗読】2700

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今から10年くらい前の大学生の夏に、家の近所のとあるダム湖に釣りに出かけた。

地元ではそのダム湖で釣りをしたという人を聞いたことがなかったのだけど、水があるならなにか釣れるだろうと思って、半ば開拓のつもりで釣りに出かけた。

ダムサイトに着いたらちょっとした駐車場があって、ダムサイトの横に小さなトンネルがあった。

そのトンネルを越えて奥に行こうかと思ったんだが、なんかそのトンネルが妙だった。

緩くカーブしてるせいで外からは向こうの出口が見えてるのに、なんか不自然に真っ暗。

真っ暗というより、光を吸い込んでんのかというくらいに1歩先の向こうすら見えない。

普通、トンネルならトンネル入口付近の景色くらいは見えるはずなのに、トンネルを境にして、なにか絵の具を塗ったように、ぺったりと暗くて、先には何も見えなかった。

試しに車を降りてトンネルを覗いたんだけど、そこで妙なことに気がついた。

トンネルの天井やら、壁についてるはずのライトやらも全く見えない。

本当に1m先でさえ見えない。

10mもないトンネルなのに、すぐそこのはずの出口の光も見えないのはおかしいし、だいたい入り口からだって多少の日光は差し込むはずだと思ったら、なんか強烈に気味が悪くなって、結局車をUターンして釣りしないで帰ってきた。

その5年後くらいにそのダムに行こうと思って車を走らせたことがあったんだけど、途中でガケ崩れがあって通行止めになっており、そのダムには到達できなかった。

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674 :本当にあった怖い名無し:2017/03/23(木) 22:39:36.71 ID:NUZKeGsn0.net

ちょっと…それ何ダム?

687 :本当にあった怖い名無し:2017/03/24(金) 22:19:19.89 ID:xyn91zsw0.net
東北の某ダムだよ。

調べれば確実にわかるけど、明治期に日本史上最悪の水分け闘争が起こった地域で、百姓たちが猟銃を持ち出しての銃撃戦になり、数百人規模の死傷者を出したそうだ。

そのダムはその水分け闘争を治めるためだけに村落を移転して出来たかなり古い時期の古いダムで、あまりよくない成り立ちを持つそうなので、もしかしたらそういうことなのかもしれない。

ちなみに、若い頃の宮沢賢治も測量の仕事でそのダム湖付近を訪れたそうだ。

そのとき、泊まってたテントがなんかよくわからん魔物に襲われて一睡もできなかったことから。

「妖しきものに囲まれて立つ」という短歌を詠んでいるので、元からそういう土地なのかもしれないね。

(了)

 

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