友人から聞いた話。
253 :VIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 04:07:06.37 ID:sX8aVkiD0
彼が大学に通っていた頃、泊まりがけで遊びに行ったグループがあった。その時、仲間の一人がビデオカメラを持っていて、皆でふざけながら色々な映像を撮ったそうだ。その中の一つのテープに、どうしても説明できない奇妙なものが映っていたという。
場所はどこかの古びたトンネル、時間は夜中の12時過ぎ。周囲は真っ暗で、かろうじてトンネルの照明だけがぼんやりと光を放っていた。そのトンネルの中を、仲間の女の子がふざけて手を振りながら歩いていた。問題の映像は、その彼女の後ろ、右側の奥のほうに映っていた。
そこに、7歳か8歳くらいの男の子が立っていたのだ。背を向けてじっと立ち尽くし、一切動かない。そのトンネル周辺には民家など一切無く、こんな夜遅くに子供が一人でいるのはどう考えてもおかしい。その場にいた皆はすぐに『幽霊の映っているビデオ』だと大騒ぎになった。
噂を聞いた他の友人たちも興味津々で、そのビデオを見たいと願い出る者が続出。友人は得意げにビデオを貸し出した。
最初にビデオを見た友人がこう言った。「これって、本当に怖いよな。横顔が見えそうで見えないところが特にさ」
おかしい。男の子は後ろ向きに立っているのだから、横顔が見えるはずがない。
次にビデオを借りた奴も言った。「あの子、振り返ろうとしてこっちを見てる。右目が見えるんだ、すごく怖いよ」
ビデオが手元に戻ってきた時、再び皆でその映像を確認した。女の子がトンネルの中を歩いてくる。その右奥の方で男の子が立っている。だが、今度ははっきりとこちらを見て笑っているのが見えた。
その場の全員が震えが止まらなかった。断じて見間違いなどでは無かった。
私はそのビデオを見ていない。なぜなら、そのビデオが私の手元に届く前に処分されてしまったからだ。
友人曰く、あの男の子の映像が次第に明確になってきたからだそうだ。初めはただの後ろ姿だったものが、次第に横顔を見せ、ついにはこちらを振り返り、はっきりとした笑顔を見せるようになったという。その笑顔はただの笑顔ではなく、不気味な冷たい笑みだったそうだ。
「もう耐えられない、あのビデオを見続けるのは」と友人は言った。最終的に、そのビデオテープは燃やされ、灰になった。
でも、ある噂がある。そのビデオを最後に見た人のところには、燃えたはずのテープが再び現れるという。そのテープを再生すると、最後のシーンで必ず男の子が映り、今度は画面のこちら側を覗き込むようにしているというのだ。
その後、その友人と連絡が取れなくなった。彼が今どこで何をしているのか、誰も知らない。彼の部屋には、燃えたはずのビデオテープだけが残されていた。