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短編 集落・田舎の怖い話

井戸の中の少年【ゆっくり朗読】2600

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1990年代後半、小学三年生の時の話。

42 :本当にあった怖い名無し:2008/10/03(金) 10:51:50 ID:Sn31HN9QO

片田舎に住んでたこともあって、ゲームとかよりも外で遊ぶことの方が多かった。

特に小学一年生のときから仲の良かった俺、清作、宗助、久二の四人は、リーダー格だった久二の家に隣接してる結構深い林で、ほぼ毎日太陽が沈むまで遊んでた。

何年も遊んでたお陰で、林の構造は熟知してたつもりだった。

ある日、いつものごとく林に入って遊んでいると、急に清作が居なくなった。

もしかしたら迷子かな?とよくあることだったので、来た道を戻りながら探した。

五分もしない内に、久二の家から500mくらいの所で清作の横顔を見つけた。

俺「何しよーと?はよ行くばい」

清作「んー、あんさ、こんな所に井戸やらあった?」

清作が指差した所に、確かに今まではなかったはずの井戸があった。

蓋が被せてあって、屋根?みたいなものから桶がぶら下がって、蓋の上に置いてあった。

清作「な?なかったやろ?」

清作の言葉に少し恐怖を覚えたけど、さすがは子供、恐怖はすぐに興味に変わって、蓋を開けてみることにした。

井戸はたぶん直径1mくらい。底が辛うじて見えるから、そんなに深くはなかった。

久二「なぁ、懐中電灯もあるし、誰か降りてみらんや?」

久二の提案に賛成して、一番小柄だった俺が降りることになった。

桶の縄にぶら下がって降りていくと、意外と井戸が深いことに気付いた。

上から三人が覗いてるのが見えるけど、すごく小さく感じた。

井戸の底には落ち葉がいっぱい貯まっていて、何故かどれも乾燥してなくて真新しかった。

宗助「なんかあるー?」

手渡された懐中電灯の光で辺りを照らすけど、大したものは見つからなかった。

俺「んー、なんもないよ」

そう答えようと上を見上げた瞬間、只でさえ暗かった井戸の中が真っ暗になった。

数秒何が起こったか理解できなかったけど、すぐに蓋を閉められたと気付いた。

俺「ふざけんなよ!開けんや!」

下から一生懸命叫んでも、一向に開く気配がなかった。

加えて運悪く、唯一の光源の懐中電灯の光が明滅し始めた。

泣きそうになりながら叫んでも、蓋は開かなかった。

そして遂に、懐中電灯の光が消えて真っ暗になった。

どうすることもできない状況で、狭い空間に真っ暗にされて閉じ込められた恐怖は想像に難くない。

頭が変になりそうになりながらも叫び続けた。

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すると、今まで消えていた懐中電灯が、ふと光を再び灯した。

真っ暗だった空間に光がついたことで一気に安堵して、三人が蓋を開けるのをゆっくり待つことにした。

静かにしてればきっと三人は開けてくれるだろうと考えた。

壁に背を預けて座ると、目の前の壁が照らされた。

さっきは気付かなかったけど、取っ手みたいなものが少し上の方にあった。

縄を少し登って取っ手を引っ張ると、隠し扉?みたいに井戸の壁が開いた。

恐怖というより、忍者みたいですげー!という興奮の方が大きかった。

すぐに縄を降りて穴を覗くと、一気に冷や汗が沸いた。

四畳くらいの大きさの穴の壁一面人形、人形、人形。

種類も大きさもバラバラで、全部俺の方を向いていた。

恐怖で動けずに居ると、一番奥に何やら大きなものがあった。

少しずつ光を当てて行くと、徐々にそれは姿を現し始めた。

ぼろぼろになったズボンを履いた足、真っ暗な手とシャツ、胸まである髪、そして顔を照らそうとした瞬間、髪の毛をいきなり捕まれて転けた。

心臓が飛び出るかと思うくらい跳ねて、泣き喚いた。

手当たり次第に手足をぶん回すと、何かにうつ伏せに押さえ付けられた。

手から離れた懐中電灯が、俺の胸に乗った人形を映したところで、俺の記憶はなくなった。

次に目を覚ましたのは久二の家だった。

目を覚まして一番に俺は久二を殴った。

俺「バカ!くそ!死ね!」

文句言いながら殴っていると、久二のお父さんに止められた。

清作も宗助も久二も、みんな泣きながら俺に謝ってきた。

事の顛末はこうだ。

俺が降りた後、案の定、久二の提案で、ちょっとの間蓋を閉めることに。

すぐに開けるつもりだったけど、いざ開けようとすると、さっきは二人で軽々開いた蓋が持ち上がらない。

三人がかりでもびくともしない。

何かやってしまったのかと思い、急遽久二がお父さんを呼びに戻った。

その間も清作と宗助は、俺の叫び声を聞きながら開けようと必死だったけど開かなかった。

久二がお父さんを連れて来た頃には俺の声も消えて、清作も宗助も疲れ果てていた。

開かないなら壊せ、ということで、大きなハンマーを久二父が持って来ていて、蓋を叩き割った。

底には俺の姿は見えなかった。

急いで久二父が下に降りると、壁の穴の中で人形に取り囲まれて、胸に人形を抱き締めた俺が寝ていたらしい。

引っ張り上げるのに、宗助のお父さんも加勢に来たと。

そして今、俺が目を覚ますまで、清作も宗助も久二も一日中ついていた。

つまり、俺は丸一日寝ていた。

久二父「ずっとここに住んどるけど、あんな所に井戸やらなかったはずやけど」

久二父が言ったこの一言に、恐怖が再び沸いた。

そのあと、井戸は埋められた。

お坊さんも来てたから、たぶんなんかあったんだと思う。

一番奥にあったのは、誰かの死体だったのかも知れない。

今じゃもう分からない。

今でも井戸と人形には近付けない。

マネキンとかでも冷や汗が出る。

(了)

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