ドラえもん都市伝説「のび太が植物人間」をご紹介しよう。
ある日、のび太が学校から帰って来ると、そこには荷物を整理しているドラえもんの姿があった。
不思議に思ったのび太がドラえもんに尋ねると、未来からの渡航者達のマナーが悪いために時空法が改正され、ドラえもんも未来に帰らなければならなくなったという。
ドラえもんは、のび太の悲しむ顔が見たくなかったために、このことを今まで内緒にしていて、のび太が知らない間にこっそりと帰るつもりだったのだ。
もちろん、のび太はそんなのは嫌だと言って必死に止めようとするが、ドラえもん自身も溢れる涙を必死に抑えてタイムマシンに飛び乗り未来へと帰っていく。
ドラえもんがいなくなった後、部屋に一人取り残されたのび太は大声で泣き叫んだ。
「ドラえも~ん!」
病院のベッドで眠っているのび太、傍らには病室の花を取り替えているママの姿があった。
ママはのび太の手を握り、語りかける。
「のびちゃんが事故に遭ってから半年が経つわね……」
とその時、のび太の目から突然涙が流れ落ちた。
「どんな夢を見ているのかしら、早く目を覚ましてちょうだい…」
ドラえもんのいる世界……それは、交通事故によって植物状態となったのび太が、頭の中で思い描いていたものだったのだ。
実は、のび太にはモデルとなった植物状態の男の子がいて、その男の子が時折話す「ネコ型のロボット」「何でも出てくるポケット」などという不可解な言葉を、原作者の藤子・F・不二雄が枕元で丹念にノートに書き留め、「ドラえもん」というマンガを誕生させたのだという……
(了)