神奈川県丹沢。写真部の貴重な財産は保存されてる膨大な量のネガフィルム。
249 :あなたのうしろに名無しさんが…:04/01/27 02:47
その中でも忘れることができないものもある。
私が駆け出しの昭和45年6月。
西丹沢を縦走中の東京の高校生グループが遭難し、女生徒1人と、引率の先生が沢に転落し死亡する事故があった。
豪雨で現場へ入れず、ふもとで足止めされていた時、支局の記者が救助された生徒から1本のフィルムを入手した。
直ちに写真店の暗室を借りて現像処理したが、プリントした写真を点検しているうちに背筋が寒くなった。
というのは、山頂での記念写真、途中のスナップ、いずれも亡くなった2人の表情は悲しげだった。
1コマも笑顔がなかった。
さらに遭難直前、鍋割峠の草つきを下るところでは、その女生徒だけが祈るような姿でたたずんでいるではないか。
単なる偶然の一致なのか、それとも私の思い過ごしだったのか。
今もってわからない。
大河原雅彦
[出典『神奈川新聞』1985年8月9日]