短編 都市伝説

怨霊となった日本兵【ゆっくり朗読】2594

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とある国立病院での出来事です。

288 :あなたのうしろに名無しさんが:03/08/07 17:10

現役看護師の母から聞いた話です。そのまま人称は一人称にさせて頂きます。

私は平成一年ごろからそちらの外科病棟に配属されました。

ある夏の盛り、七〇代のアメリカ人男性、Jさんが初期の胃がんで入院して来ました。

さすがにこちらに来て何年も経つので日本語は堪能ですが、やはり英語圏の方特有のなまりはありました。

Jさんは胃を四分の一ほど切除する手術を無事に終え、その後の経過も良好。

だったのですが……

手術後三日が経過し、私は夜勤で病棟の廊下を回っていると……

トイレのほうから、なにやら男性の話し声が聞こえます。

不審に思って懐中電灯を片手にトイレに向かうと

「ばんざーい!ばんざーい!」

という声が聞こえます。かなりの大声です。

男子トイレを覗くと、そこには大柄なアメリカ人男性Jさんが、トイレの床に仰向けになり、ばんざいをしているではないですか。

また、「貴様はそれでも日本男児か!」のようなことも叫んでいます。

驚いて、Jさんを抱き起こすと、「さわるな!アメ公め!」と言って暴れだしてしまい、手が付けられない状態になったのです。

そこで、ひとまずナースステーションに戻り、応援をお願いしました。

ナース二人で問題のトイレに駆けつけると……

なんとJさんは吐血をして気を失っていたのでした。

そこで、ドクターを呼びましたが、ほぼ手遅れの状態で、心停止、呼吸停止の状態でした。

心臓マッサージを懸命に施しましたが無駄でした。

結局Jさんは帰らぬ人となりました。

検死の結果、胃に古い弾丸がめり込んで傷口が開いていたそうです。

そして、トイレで暴れて亡くなったその日は終戦記念日でした。

良く考えてみると、Jさんの口調は英語なまりのそれではなく、はっきりとした日本語で、とても七〇代には思えないほどの力強さだったのです。

たとえ弾丸を飲み込んだとしても、切除部分にめり込む可能性は低いし、かといって昔からめり込んでいた可能性は皆無です。

結局は分からず終いとなり、異物を飲み込んだことが原因と判断しざるを得なかったようです。

この話は、当時の医師とナースの間で有名な話でした。

(了)

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