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短編 ほんとにあった怖い話

一年に一度無人化する村【ゆっくり朗読】

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これは取引先の知人に聞いた話である。

409: 名無しさん@おーぷん:18/07/02(月)01:40:55 ID:kXF

彼の実家は東北の日本海側。

かなり過疎の進んだ集落なのだという。

それでも最近ではかなり便利になったのだという。

彼が幼い頃には、電気や水道が整備されていない家もかなり存在しており、車を持っている家も殆ど無かった。

しかし、今では全ての家はライフラインが整えられており、家一軒に車数台が停まっている事も珍しくない。

インターネットも整備されて、デジタル機器も満喫できる。

しかし、それだけ文明化された今でも、守られている決まりというものが存在しているのだという。

それは、一年に一度その村を無人化しなければいけない、ということ。

何を馬鹿な事をと思うかもしれないが、確かに今でも実践されている昔からのルールなのだ。

何月何日なのかはここでは明記出来ないが、確かにそんな禁忌の日というものが今でも間違いなく存在している。

その日が近くなると、その集落の人は移動の準備を始める。

そして、それぞれが家の戸締りをしっかりと施して、一日だけ自分の家を離れる。

一日といっても、当日を挟んで前日の夜から翌日の昼までは誰もその集落に居なくなり、戻ってくる事も許されない。

それは老若男女全ての人に徹底され、幼い頃からそれを厳しく言われ育てられる。

だから、彼自身もそれが当たり前なのだと思っていた。

確かに昔は大変だったそうだ。

車も持っていない家が殆どの時代に、家族揃って大移動するというのは、かなりの辛いものだった。

荷車に荷物を積んで、徒歩で親戚の家に避難させてもらう。

それだけでも大変な一大イベントになる。

しかし、最近ではどの家にも車があり、移動にも苦労が無い。

必要な荷物だけを持って、温泉旅行にでも出掛ける……。

今では、そんな感じでその禁忌の日を楽しみにしている者さえいるらしい。

そして、彼から聞いて驚いたのが、
その集落の家は、どの家でもまるで戦に備えるかのような防備がそれぞれの家に備わっているということ。

家の玄関はどの家も重い鉄製のドアになっており、1階の窓も全て窓の外側に鉄製の雨戸のようなものが付いているのだという。

そして、家の外壁自体もそうとう頑丈な造りになっており、家の中に進入するのは容易な事ではない。

では何故、そんなに厳重に家の戸締りをするのかと言えば、
かつて木造の簡易な造りの家しか建てられなかった頃には、何軒かの家が酷く壊されたり、何かに進入され家の中がボロボロにされてしまったからだ。

ここまで書けば分かってもらえると思うのだが、
どうやら毎年その日に集落全体を無人化にするというのは、単なる言い伝えや儀式ではなく、
その日にやって来るモノから、身の安全を守る為だという事である。

それでは、そこまで人々を恐れさせるモノとは一体何なのか?
そのヒントが、これから書く話の中にある。

何処の世界にも、周りとは違う行動を取りたがる人というのは存在するらしい。

そして、彼が住んでいたその集落にも、そんな夫婦がいた。

元々は都会で生まれ育ったその夫婦は、何かの事情で親戚が住んでいたその集落に移り住んできた。

子供はおらず、夫婦二人だけの質素な暮らし。

回りの村人たちとも仲良く暮らしていたそうだ。

しかし、彼ら夫婦は、そんな昔からのしきたりなど知らなかった。

勿論、村人たちは真剣に彼ら夫婦に説明し説得したらしいが、彼ら夫婦はニコニコと笑ってその話を聞いているだけだった。

そして、二人が移り住んでから数ヵ月後、ついにその日が近づいてきた。

その頃になると、妻はそれなりに古い慣わしに理解を示し、その日には一時避難的にその集落を離れるつもりでいたらしい。

しかし、夫はそうではなかったという。

確かに、事情があってその土地に移り住んできた夫にとっては、他に身を寄せる場所など存在しなかったのかもしれない。

だから、それを察した村人の1人が、自分たちの親戚の家に一緒に避難しようと提案したらしい。

しかし、その頃になると夫もかなり頑なに拒んでいたらしく、どうしても首を縦に振らなかった。

そして、前日、夫が避難しないと悟った妻も、一緒に残る事を決めたらしい。

何て馬鹿な事を……

村人たちは皆口々にそう言い放つだけだったが、妻ととても仲の良かった1人の老婆が、妻にある助言をした。

何が起こっても決して声を出したり目を開けたりしてはいけない。
それが生き残る唯一の方法だと……

そう言って、その時にはしっかりとこれを握っていなさい……
助けてはくれないだろうが、心の拠り所にはなるだろうから……

と小さな手彫りの仏像を渡してくれたのだという。

そして、その日の前日には、集落の人達は皆その土地から離れていった。
彼ら二人だけを残して……

前日の夜とはいえ、誰もいない集落は不気味としかいえないものだった。

夫は、静かでのんびり過ごせると言ったが、妻は不安でいっぱいだった。

そして、彼らは早めに寝た。

特にやる事もなかったし、静寂が何故か何かの前触れであるかのように不気味に感じたから……

そして、二人が寝入った頃、誰かが外を徘徊している音が聞こえてきた。

もしかして自分達の他にも誰かが残っていたんじゃないかと思ったが、それはありえないことだった。

その足音は、まるで一歩踏み出す度に家がミシミシと揺れるほどの振動を伴い、ずんずんと響いていた。

時刻を見ると、午前0時を回った頃だった。

妻は恐怖で耐え切れなくなり、夫を起こそうとしたが、どうやら夫も寝付けず、ただ布団の中で震えているだけだった。

そして、何処からか、おーい……おーい……誰かいないか~……
という声が聞こえてきた。

どう聞いても小さな男の子の声だった。

しかし、それがかえって恐怖心を煽ってしまい、二人はそのまま布団の中で震えたまま朝を迎えた。

朝になり外に出てみると、家の周りからは獣臭の様な嫌な臭いがした。

そして、その臭いは他の家にはつけられていない様だった。

まるで彼ら夫婦の家に目印を付ける様につけられた臭いに、妻は何か胸騒ぎを感じた。

だから妻は夫に懇願した。
今からでも一緒に村を出ようと。

しかし、夫は昨晩の恐怖を忘れてしまったかのように、どうしても首を縦に振らなかった。

それどころか、猟をするときに使う猟銃を持ち出してきて手入れを始めた。

そして、何か居るんなら、俺が退治してやる……

そうすれば、きっと村の人達も喜んでくれる……

だから、逃げるんならお前だけで逃げるといい……

俺はこのまま此処に残って、あいつを退治しなきゃいけないんだから……

そう言われたが、妻は夫1人を残して自分だけ逃げるなど到底出来なかった。

だから、せめてこれだけはお願いを聞いて欲しいと夫に懇願する。

絶対に家からは出ないという事を……

夫は最初渋っていたが、妻が泣きながら頼むので拒否するわけにもいかず、家からは出ないという事だけは約束してくれた。

昼間は何事も無く過ぎていった。
禁忌の日とされているのが、嘘のように……

しかし、夜になると雰囲気は一変する。

静か過ぎるからなのかは分からないが、まるで自分たち二人だけが別の世界に迷い込んでしまったかのような不安感。

夫は家からは出なかったが、昨夜に家の周りを徘徊していたモノが家の中に入ってきたら……ということで、猟銃の手入れに余念が無かった。

そして、時刻にして午後9時を回った頃……。

家の外からは、まるで子供達が家の周りで遊んでいるかのような声が聞こえだす。

もう家を揺るがす様な足音は聞こえてこなかった。

それでも妻は震えていた。

だから、夫は妻を恐怖から解き放ってやろうとしたのかもししれない。

夫はおもむろに立ち上がると、閉め切った窓を開けて外の様子を見た。

其処には、子供達が楽しそうに遊びまわっているはずだった。

しかし、突然大きな悲鳴をあげた夫は、ドタドタと猟銃を取りに走った。

妻は恐怖で目も開けられず、老婆に貰った仏像を握り締めているだけだった。

そして次の瞬間、何かが家の壁を突き破って中に入ってくる音が聞こえた。

そして猟銃の発射音が続けて2回聞こえた。

妻は涙を流しながら必死に目をつぶった。

その後、ギャーという夫の悲鳴が聞こえた後、何かを引き摺る様な音が聞こえ、その音はどんどん離れていく。

引き摺られているのは夫に違いない……

そう思った妻は、慌てて目を開けようとした。

しかし、目は開けられなかった。

何かが自分の目の前に居て、顔を覗き込んでいる……
そんな感覚があった。

フーッ……フーッ……フーッ……

そんな息遣いすら聞こえてくる。

妻は息を殺して必死に耐えた。

微動だにせず、そこに自分が存在している事を悟らせないようにした。

どれくらい時間が経っただろうか……

突然夫の声が聞こえた。

何してる……もう大丈夫だぞ……

間違いなく夫の声だった。

妻は喜びのあまり目を開けてしまう。

目の前には、妻の顔を覗き込むように1人の女が立っていた。

あっ……

恐怖のあまり固まっている妻の顔に、その女が両手を伸ばす。

突然妻は何も見えなくなってしまった。

そして急に酷い睡魔に襲われた。

妻はそのまま深い眠りについた。

妻は次に目を覚ましたのは、村人によって揺り起こされた時だった。

しかし、目が覚めたとはいっても、相変わらず妻には何も見えなかった。

そして医者に行くと、妻の両目は綺麗に抜き取られている事が判明した。

家の中には酷い獣臭が立ち込めており、夫の姿も忽然と消えていた。

その後、夫の頭髪らしきものが、村のはずれの池の縁に落ちているのが見つかった。

だから夫は、クマに連れて行かれ食われたのだと断定された。

しかし、妻は分かっていた。夫がクマに連れて行かれたのではないということが。

勿論、村人たちも、夫がクマに連れて行かれたのだと本気で思っている者は1人もいなかった。

ただ、それらしい理由が必要だっただけ……

その件があってからは、より厳しく強制的に村には残れないようになった。

そして、一体何がやって来るのかすら分からないまま、
今でもその集落では一年に一度だけ、村が無人になる禁忌の日が存在し続けている。

きっと、これからも、ずっと……

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