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ホラー映画

トラウマ映画館 『ある戦慄(1967)』 町山智浩 ネタバレ注意

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深夜のNY、地下鉄は断罪の部屋~『ある戦慄』The Incident


深夜の列車に乗り合わせた乗客たちが、粗暴なチンピラ二人組の嫌がらせを受けて弱さや偽善をさらけ出す心理スリラー。
唐突に直面する暴力の脅威や、自分に火の粉が及ばないように見て見ぬふりを決め込む「ことなかれ主義」の不快さなど、現代の日本でも身近に感じられる日常的なテーマが緊張感あふれるモノクロ映像で鮮烈に描かれています。
本作が映画デビューとなったチンピラ役のマーティン・シーンをはじめ、巧者がそろった出演陣の小市民演技も見ものです!

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あらすじ

深夜のニューヨーク。
下町で2人のならず者ジョー(トニー・ムサンテ)とアーティ(マーティン・シーン)は、通りがかりの男から金を強奪したうえ惨殺した。
午前2時をまわった高架線の駅。
サラリーマンのウィリクス夫妻(エド・マクマホン)と(ダイアナ・V・D・ブリス)が4歳の娘をつれて乗ってきた。
この時すでに座席の片隅には浮浪者が1人眠っていた。
2番目の乗客は若い娘アリス(ドナ・ミルズ)とそのボーイフレンドのトニー(ヴィクター・アーノルド)。
3番目の乗客は、息子に金の無心に行き、断られて帰途につくサム・ベッカーマン(ジャック・ギルフォード)とバーサ(セルマ・リッター)の老夫婦。
4番目の乗客はオクラホマ出身のテフリンジャー1等兵(ボー・ブリッジス)と、ニューヨーク出身のカーマッティ1等兵(ロバート・バナード)で、テフリンジャーは左腕を負傷してギブスをはめている。
5番目の乗客はパーティ帰りの高校教師パービス(マイク・ケリン)とその妻ミュリエル(ジャン・スターリング)で、勝気な妻は意気地なしの夫が歯がゆくてたまらない。
6番目は中年のアル中、ダグラス・マッカン(ゲイリー・メリル)と、彼を追ってきた同姓愛者ケネス・ナチス(ロバート・フィールド)。
最後の乗客は、黒人アーノルド・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)とその妻ジョーン(ルビー・ディー)で、夫は白人嫌いの熱狂的な民族主義者である。
そこへ、2人のならず者ジョーとアーティが乗り込んできた。
やがて2人は、乗客のひとりひとりに難くせをつけ始めた。
乗客たちも1度は彼らの行為に口を出すが、自らの弱み、痛みとなって返ってくる。
図にのり、次第に乱暴の限りをつくし始める2人のならず者に、乗客は誰1人として口を出すものはいなくなった。
そしてついて2人は、ウィルクス夫妻の幼い娘にまで危害を加えようとした。
その時、敢然と彼らに立ち向かったのは、テフリンジャー1等兵である。
ギブスをつけた左手で、ジョーとアーティに思いきりぶつかっていった。
それでもほかの乗客は、だまって見つめているばかり。
2人のならず者は倒れ、電車は駅に着く。
やって来た警官を背に、乗客たちは皆一言もしゃべらず、うなだれて下車していく。
これでいいのだろうか?病院に運ばれるテフリンジャーの目が、そう語っているようだった。

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