短編 山にまつわる怖い話 ほんとにあった怖い話

ストーカーの館【ゆっくり朗読】4500

投稿日:

Sponsord Link

これは俺が調査員として事務所に所属していたころの話。山とはちょっと違うかも知れないけど、山の中でのお話だったので。

205 名前: 調査員 ◆doIDoIpv/A 04/01/25 20:34

その当時は、ストーカー関係の依頼が激増していた頃で、自分が先輩たちと担当したその案件も、
ストーカーをやめさせてほしいという中年男性からの依頼だった。

ストーカーは、その依頼者に身体的な危害を加えたりするわけではないらしい。

ただずっと後をついてきたり、家の周りに出没して監視しているだけだそうだが、奥さんがその話を依頼者から聞き、非常におびえているとのことで、なにか被害がでるまえに食い止めたいとのことだった。

さっそく調査に入り、依頼者を追尾しながらストーカーが現れるのを待った。

しかし、一週間経っても二週間経っても、全くストーカーは姿を現さない。

とりあえず、そこまでの経緯を、ストーカーらしき女性が姿をまだ見せていないことを、中間報告すると、

「え?ずっとついてきてたじゃないですか!」

と言う。

しかし、追尾中に撮影した映像にも、それらしき人物は全く映っていない。

それらしき人物が見えないことに疑問をもちながらも「とりあえず調査は継続しますか?」との問いに、してほしいとのことだったので、調査を継続。

すると、追尾を継続しはじめて二日目に、依頼者をずっと尾行するそれらしき人物が現れた。

すぐに写真とビデオで撮影して、その夜に依頼者に報告すると同時に、先輩にその女性をそのまま尾行してもらったが、途中で失尾し身元はわからず。

報告を受けて、写真と映像を見た依頼者は「その女性です」と、青ざめた顔でうなずいた。

そして次の日も、その女性は現れた。

車を、依頼者の家の近くにとめたまま、依頼者の家を監視していたので、 車のナンバーから陸運局に問い合わせるも、そのナンバーで登録されている車両はないとのこと。

そして今度は、俺と先輩で尾行開始。

車は県境にあるとある山に入っていった

山道で深夜なので、通る車もほとんどなく、走ってる車はそのストーカーと俺たちの車のみ。

すると途中で、舗装されていない山道に、ストーカーの車が入っていった。

距離は開けていたものの、そんな状況だったから気づかれたか?と思い、山道の入り口から少し離れたところで車を停車したが、ストーカーの車は出てくる気配はない。

「車で入っていくと気づかれるから、徒歩で道が通じてるのか確認してきてくれ」

と言われ、正直嫌だったが、少し藪の中を歩きつつその道沿いを歩いていくと、ストーカーの車が止められた一軒の家がそこにはあった。

家は風雨にさらされ、ぼろぼろ。

ほとんど廃墟だ。

「こんなところに住んでるのか・・・」

家に電気はついていない。

だが車は停止しているし、ここから先に道はない。

この家にいるんだろうか・・・?

しばらく(20分くらい)藪に隠れて、家の様子を伺っていると突然、家の中から

「あぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~~~~~っ」

とすさまじい絶叫のような声が聞こえてきた。

動揺していると再び

「ひぎぎぎっ・・・・げごっ・・・るぅぅぅ~~~~。えげっ」

すさまじい絶叫でした。

俺は何が起きてるのかわからず、ただ怖くてそのまま逃げて車に戻った。

そして車までたどり着いたら、そこに先輩の姿はなかった。

車内で待機してたはずなのにどこへ?と思い

「先輩!どこにいるんですか!」

と声をあげた瞬間、

「ピリリリリリリ・・・」

と無機質な携帯の着信音が、道路わきの茂みの中から聞こえてきたんです。

ん?と思い、茂みを見ると、そこに携帯が落ちていました。

それは先輩の携帯でした。

拾って出てみると

「・・・・だ・・だ・・・じゅ・・・け・・・・けくっ」

と声がしたと思ったら、切れてしまった。

掛け直そうとすると、圏外になっていました。

車内にいるはずの先輩がいない、携帯が茂みに落ちていた。

今の携帯での通話。そしてさっきの家での絶叫。

まさか・・ストーカーに連れていかれて殺されたのか・・・?

最悪の事態が俺の頭をよぎり、恐怖でたまりませんでした。

本当に怖かったんです。

あの絶叫。

そして圏外であるにも関わらず、なぜか鳴った先輩の携帯。

どこから掛かって来たかもわからない電話。そこから聞こえてきた先輩らしき声。なにかが起きた。

もうパニックで逃げようと思いながらも、先輩を見捨てることもできずに、車の中でドアにロックをして、ずっと泣きながら震えていました。

そして朝になっても、先輩は戻ってこなかった。

その頃にはある程度、開き直りのような気持ちも出てきていて

何があったのか確かめたくて、あの家へ向かいました。

家に向かうと、あのストーカーの車はまだ停車したままでした。

まだいるのかも知れない・・

そう思いながら家に入ると、そこは何もありませんでした。

というよりは、人が入ったような形跡すら全くなかったんです。

確かに、あの絶叫が聞こえたのは家の中からでした。

不思議に思いながら家中を見て回っても、ただの廃墟。

そして、ストーカーの車を見てみると、その車自体ももう何年も運転したような形跡がなく、車内は荒れ果てていました。

そんなバカな!と思ってみても何も出てこず、事務所へそのまま帰還。

報告して、先輩が何らかの事件に巻き込まれた可能性もあるとのことで、後日再び、ほかの先輩と現場に向かいましたが、やはり何もありませんでした。

先輩の家族から失踪届けが出されたものの、何も進展はなく、警察に通報もしましたが、事件性なしとのことで捜査もありませんでした。

先輩の同僚の間で探そうという声も出ましたが、探すことはありませんでした。

何故なら、手がかりが全くなかったんです。

あのストーカーを撮影した写真、ビデオ。全てのモノから、あのストーカーだけそこから抜け出てしまったように、消えていたんです。

確かに写っていたことは、たくさんの仲間が確認したはずなのに。。。

そして依頼者の前にも、そのストーカーが姿を現すことは二度とありませんでした。

一体、あのストーカーは霊だったのか・・。

そして先輩はどこへ行ってしまったのか、今でもわかりません。

以上です。。

長々と失礼致しました。

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 山にまつわる怖い話, ほんとにあった怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.