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短編 怪談

巻機山(マキハタヤマ)のドッペルゲンガー

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読み辛いのでもう一度やります

296 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/06/29 21:04 ID:jFwUkvVg

高校時代に経験した話です。

ある心霊HPに音大くんの名前で投稿したものに手を加えて再発表致します。

僕は山岳関係の部活動をやっていました。

三年の夏休みに受験勉強の息抜きをしようと、後輩達の企画した山行に参加しました。

目的地は巻機山、群馬県と新潟県の堺にある標高千九百m程度の山だったと記憶しています。

八月のある朝上野を出発して、上越線の六日町駅へ行き、そこから登山口まではタクシーという行程だったと思います。

山登りを少しでも経験された方は分かると思いますが、登山口には「訊ね人」の貼り紙が結構あるものです。

   ×月●日 何時 頃山に入る、二日後下山予定だが連絡なし。

   1人用カマボコ型テント 青色  その他携行品 XXXX等

なんてポスターが写真付で貼ってある。

それを見ただけでけっこうビクビクしながら、山を歩くことになります。

そこここに張ってある一人用のテントを見る度、一年生が見に行く事になるのです。

実際には遭難者に遭遇したことはありませんが、張ってから随分時間の経ったテントも多数あり、

荷物が散乱していたりして、死体なき遭難事件てなことになりかねないテントもないわけではありません。

幸い事件になりそうなこともなく、順調に行程をこなし、頂上を踏破した後、

少し下がった場所にある「巻機聖地(名前もけっこう怖い)」という場所で夕食を済ませ、

四つのテントに別れて寝る準備を終わったのがだいたい十八時頃だったと思います。

真夏といっても高地のため、夜中の気温は零度以下に下がることもあるので、

上級生の特権として四人用のテントの一番奥で早々と眠りに就きました。

深夜零時頃テントの周りを歩くような音(テントの張られている場所は、直径二十cmほどの

石を敷き詰めたような場所で、その上を登山靴で歩く音と同じような音がします)で起きてしまいました。

遂に来たか? それとも悪戯か?

テントの上に張る雨避けのフライシートの下を風が通る音だと思うようにして、三十分ほど我慢しましたが、

原因がはっきりしないため眠りに就けず、出入口の一番近くに寝ている山中(仮名・一年生)に外を見るように頼むと、

「どうせ他のテントの連中がいたずらしているんだと思うんだけど」

と言いながら、渋々外に出て行きました。

一~二分して戻ってきた山中は「誰もいませんよ」と言い、さっさと自分の寝袋に入ってしまいました。

しかしその後も周りを歩くような音は止まず、十分ほどの我慢の後、再び山中に「外を見てくれよ」と頼みました。

もう寝てしまったのか、寝たふりをしていたのか彼は返事をしません。

業を煮やした私が、「早く見てこいよ!」と命令口調で怒鳴ると、彼は「嫌ですよ!怖いっすよ!」と私以上の大声で返事をしました。

その声に只ならぬものを感じた私達は、それ以上強いることはせず、外気温以上(以下だな)の肌寒さを感じながらいつのまにか眠ってしまいました。

翌日は何事もなく下山し、来たときと逆の道順をたどって、それぞれが家路につきました。

一週間くらいしたある朝、山中がバイクの事故で死んだという連絡があり、あわてて仲間と共に通夜にかけつけました。

その帰り道、あの晩同じテントに寝た一年生が「先輩、ちょっと」と言って耳打ちした言葉に私は凍りつきました。

「山中はあの晩、テントの外を歩き回る自分自身を見たらしいんです」

・ ・ ・ ・ 山中の死んだ今、事の真偽は分かりません。

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