中編 ほんとにあった怖い話

ほん怖で有名な霊能者に依頼してみた結果【ゆっくり朗読】12.1k

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知人の話。あまりにも色々と酷いので、漫画で紹介された霊能者にコンタクトをとった。

948 :本当にあった怖い名無し:2009/11/25(水) 21:50:23 ID:BGQd7vYqO

『依頼殺到』って漫画には書いてあったのに、速攻返事が来た。

「命の危険がある方は優先です」って。

そういう類に頼る事に抵抗ある知人が、その時ばかりは自分の勝手な行動をすんなりと受け入れた。

で、待ち合わせ当日。

とあるホテルを予約しておいた。

私が先に霊能者さんと会って、仕事を終えた知人が後から合流する予定。

が、知人が来ない。

連絡してみると、この日に限ってトラブル発生&交代要因が来ない(連絡取れず)

霊能者さんに謝る自分。

「しょうがないよ。行かせないつもりだから」

霊能者さんには、その状況の理由が分かっている様子。

待ち合わせから三時間。

取り敢えず予約したホテルへ移動。

「本当にすみません。忙しいでしょうし、日程変更にして頂いても……」

「そんな事したらその人、今度こそ死ぬよ」

どういう事か分からず驚く自分に、霊能者さんは飄々と説明。

「行かせないようにしてるんだよ。絶対に離れないって。かなり恨みが強いからね」

「え?じゃあ来れないんですか?」

「いや、来ないと危ない」

「??」

「他にもいるんだよ。今日、俺と会うのを知って、やっ成仏出来るって待ってるのも沢山いる。それが出来なくなったら?何百年も苦しんでやっと成仏出来るって期待していた分、絶望も桁外れ。その憤り、逆恨みは行かなかったその人に一斉に向けられる。今度こそ死ぬよ。殺される」

マジだとその時思った。

だって知人は、昔から事故や病気で九死に一生を得る経験を何度もしてる。

今回はついに癌になった。

だから本当に何かあると思って、霊能者さんに頼んだ訳だし。

「だから、何がなんでも今日何とかしないといけないんだ。何時になろうと何時間だろうと待つから」

で、霊能者さんは遠隔で何かしたらしい。

「大丈夫。21時には来れるよ」

待ち合わせが確か15時。

チェックインしてホテルの部屋で、ついでに自分の亡き母の事とか視てもらってた。

そして21時10分程前。

「遅くなってすみませんでした」

知人がやって来た。

ここから家系に纏わる霊視が始まる訳で、その前に簡単に知人の状況を。

  • 知人、田舎から上京してる。
  • 当時、左臀部に肉腫発症。
  • 肉腫発覚と同時期、父親が心臓病でバイパス手術を余儀なくされる。
  • 弟、知能障害あり。同時期、緑内障と白内障を併発。
  • 母親、脳溢血?の過去があり、働きも無理出来ず。
  • 姉、嫁いでいるが旦那(知人の義理兄)が難病指定の病気を患い仕事出来ず。

知人の家は四国の奥の閉鎖的な田舎。

本家と言われるもので、知人に後継ぎが出来なければ家系は途絶える。

本来は爺ちゃんが最後だった。

子供が出来ず、知人の父親を養子にして何とか苗字を継いでいた。

さて、霊視。

霊能者さんには現状は伝えたものの、癌の種類や出身地等の予備知識は伝えていなかった。

「だい……だいでんきん?てどこ??」

いきなり肉腫の部位を当てられる。

因みに霊能者さんは二人。

一人は視える、聞ける、成仏までさせられる。

一人は視える、聞ける、話せる、分かる。所謂レーダータイプ。

で、主にレーダータイプが状況を把握していく。

何百もの霊体が知人には憑いているらしいが、それらをまとめて率いるリーダーがいるっぽい。

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そのリーダーが、誰よりも強い恨みや思いを持っていた。

「…………差別?」

リーダーの話を聞くレーダータイプが呟いた途端、自分と知人は顔を合わせた。

「心当たりある?」

レーダーに聞かれて答える知人。

「あります。うちの田舎は未だに部落差別の生きている村です。自分は部落出身ではないのですが、その為に幼い頃から差別を目の当たりにし、それが正しいのとされていました。それが嫌で、納得出来ずに田舎を出て来ました」

「貴方のご先祖……6代か7代か……前の方。この世のものとは思えない残虐な仕打ちをしてるわね」

「納得出来なかったの。この人ね(憑いてるリーダー)、悪い人じゃないのよ。ただ、人一倍正義感が強くて、仲間が理不尽に虐げられる事、虐殺される事が許せなかったの。悔しくて悔しくて、どうして同じ人間なのに生まれでこんなに違うのかって。泣いて訴えてるよ」

仕方がなかったんだよ。

時代だったんだよ。

霊能者さんは二人で、一生懸命にリーダーを説得してた。

余談だけど、その時すでに深夜を回ってた。

部屋の窓の外をうろつく影を、霊感のない私も見た。

助けを求めるように、気付いてって感じに窓に手を付けて覗いてた。

暗闇に乗せるようにかぶさる、もう一段黒い人影だった。

リーダーは暫くごねてたらしいけど、霊能者さんの説得により納得したらしい。

元々が正義感の強い真っ直ぐな人で、何百年もの長い年月を理不尽さに苦しめられて来た人。

だからなのか、張本人ではない知人に怒りを向ける理不尽さに、理解を示したのかもしれない。

霊能者さんは事前に買ったお握りを出して、知人に憑いてる人達の振る舞った。

「白米なんて食えなかったんだろ。成仏前にゆっくり食え」って。

未だに分からないのは、知人の肉腫は左の大臀筋に出来た。

爺さんは戦争で左足を失ってる。

知人が事故で複雑骨折をした足も左(これは手術をしても骨がくっつかず、未だに何か固定するもんが入ってる)。

左に何かあるのかとも思ったけど、それについては特に何も言ってなかった。

リーダーを含む全員を成仏させた後(窓にいた人も一緒に)、暫らくの歓談タイム。

どうして知人に憑いたのか聞いてみた。

「差別による虐めを率先していたのが彼のご先祖さま。その一族の中で彼が一番強かったから。精神的にも肉体的にも」

とにかく何がなんでも、知人の家系を根絶やしにしたかったのかもしれない。

と同時に、いつかこうやって成仏させてくれる事をしてくれるのは、知人しかいないと縋っていたのかもしれない。

分からないけど、何百年も何百年も、リーダー達は苦しんでたんだなって思う。

生きている時の理不尽な差別や無念を抱えたまま、長い年月を苦しんでいたんだと思う。

956 :本当にあった怖い名無し:2009/11/25(水) 22:49:57 ID:kbX5U75Z0
その後知人と親族の状況は好転したの?

958 :948:2009/11/25(水) 23:22:13 ID:BGQd7vYqO
知人一族のその後は、一気に好転とはいってませんが、当時程の状況ではありません。

一度なった病気が奇跡のように回復するはずもなく、姉の旦那は相変わらず難病だし、弟の知能も12歳のまま(現在30代半ば)

だけど父親の手術は上手くいったし、母親も倒れずに元気に知人に金の無心をしてる(笑)

知人の癌は軟部肉腫といって、5万人に1人という珍しいものだったけれど、大臀筋を丸ごと取ったにも関わらず、他の筋肉が失った大臀筋の変わりを担い、身体的な障害も残らず(小走り位なら出来る)、再発もしていません。

ドラマのように好転!とはならないけれど、悪化もしていません。

それが何よりの好転なのかも。

この話、どこに書いてもスルーされてたんです。

こうやって読んでくれて反応してくれた今、本当に知人が呪縛から解き放たれた証のような気がする。

本当にどうもありがとうございました。

(了)

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