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五歳上の従姉妹の話 【シリーズ全7話コンプリート】

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第1話:せいちゃん

 

何だかおかしな人で、彼女と関わったことで奇妙な体験をいくつかした。

今から話すのはその中の一つ。

まだ俺が小学生だった頃、近所にせいちゃんと呼ばれている人が住んでいた。

三十代の一人やもめ、痩身の、気弱そうに笑う犬好きなおじさんだった。

たまに捨て犬を拾ってきては世話をし、家には犬が何匹もいたから近所の子供たちがよく入り浸っていたのを覚えている。

舗装されていない砂利道が続く借家地帯、近所に住む人たちは皆知り合いでプライバシーなんてない、そんな所で俺もせいちゃんも暮らしていた。

ある日、件の従姉妹家族が俺の家へ遊びに来た。

従姉妹は無口で話しづらい人だったので二人でいても間がもたず、せいちゃんの家に連れて行った。

丁度せいちゃんは犬に餌付けをしているところで、垣根の向こう側にその様子を見た彼女は一言、「あれはとり憑かれてる。もう手遅れね」と言って俺の家へ戻ってしまった。

俺は訳が分からず、また二人になるのは嫌だなあ、なんて思いながら後を追ったんだ。

それからしばらくしたある日、家の前の砂利道にぼんやりと佇んでいるせいちゃんを見かけた。

全裸で空を見上げ半開きの口からは一筋涎が垂れていた。

俺は見てはいけないものを見たような気がして自宅に逃げ帰った。

それがせいちゃんを見た最後だった。

大人たちの話では、せいちゃんは犬と一緒に家に閉じこもった、という。

心配した近所の人が飯を差し入れても、家からは出てこなかったそうだ。

それから間もなくせいちゃんは死んだ。

餓死だった。

発見されたとき、彼が飼っていた犬たちだけは丸々と太っていたという。

せいちゃんは近所の人たちの差し入れも全て犬たちに与えていたんだ。

せいちゃんの死後、家を整理した大家さんの話によると床下から異常な量の犬の骨が発見されたそうだ。

それらを殺したのがせいちゃんなのか、せいちゃんは従姉妹の言うようにとり憑かれていたのか、それとも心が病んでいただけだったのかは分からない。

真相は闇の中だ。

とにかくそれが、従姉妹と関わった最初の奇妙な出来事になった。

第2話:女並通り

昔から旧いものには魂が宿るという。長い年月を経て魂を得たものは、九十九神とも付喪神とも呼ばれ、神のような妖怪のような信仰と僅かな恐怖の対象にされてきた。

澁澤龍彦はそれを日本人の、旧いものに対する愛着と畏れの表れだと記している。

だが、本当にそれだけなのだろうか。中には、年輪のように記憶を積み重ね、語るようになったものもあると、俺はそう思う。

小学生の頃、俺は俗にいう鍵っ子で、中学年になってからは学童保育に通っていた。

迎えには近所に住んでいた五歳上の従姉妹が来てくれていたのだが、これが少し変わった人で、一緒に行動するうちに幾つかおかしな体験をすることになる。

歩くだけで汗ばむ暑さも、日が落ちるに従ってだいぶ落ち着き始めた。小学五年の夏休み前のことだったと思う。学童保育からの帰り道、従姉妹と商店街の裏通りを歩いていた。
通い慣れたいつものコース。左手は商店街、右手は小川が流れるその小道は女並通りと呼ばれていた。

夕闇が近づくなか、時おりすれ違う買い物帰りの主婦をのぞいてあたりには人気がなく、少し離れた商店街のざわめきが聞こえてくるほかは静かだった。

石を蹴りながら歩いていると、小川のほうから瀬戸物が触れ合うような音がした。

見回したが何も見当たらず、俺は空耳だろうと考えた。

少したつとまたさっきの音が聞こえた。今度は人の話し声も混じっていた。

立ち止まるといつの間にか商店街のざわめきが聞こえなくなっていることに気づいた。

また、瀬戸物が鳴る音と話し声。一瞬笑い声まではっきりと聞こえた。

見回しても俺と従姉妹のほかは誰もいない。

急にあたりの夕闇が濃くなったような気がした。

奇妙な静けさが痛いほど耳に迫る。

従姉妹を呼び止め、先ほど聞いたものついて話した。

ねえ、変な音がしたよ、誰もいないのに話し声がしたんだ、俺がそう言うと、従姉妹は少しの間耳を澄ませてから言った。

「この川、昔はもう少し大きかったの、知ってる?」
また姿のない笑い声が聞こえた。

「商店街ができる前はね、民家がずうっと立ち並んでいて、川はここに住む人たちの生活を支えていたの」
たくさんの瀬戸物が触れ合う音や、濡れた布を叩くような音もする。

「その頃は炊事や洗濯はすべて川に頼りっきりで。同時に主婦たちのお喋りの場にもなっていてね、だからこの通りは今でも女並通りなんて呼ばれているんだよ」
従姉妹は言い終わると歩き出した。

離れないよう慌てて従姉妹の隣りに並びながら俺は聞いた。

これはそのときの音?どうして今聞こえるの?
従姉妹は屈んで俺の顔を覗き込んだ。

「今はもう誰も使わなくなったのだけど、川は忘れたくないのね。自分を昔頼っていた人たちのことや、その思い出なんかを」
そう言って俺から視線を外し、川を振り返って眺めた。俺もつられて振り返った。

そのとき、川岸で食器を洗い、洗濯をしながら世間話に興じる人たちの姿を確かに見たような気がした。

俺はなんだか懐かしいものに触れたような思いで、それに見とれた。

従姉妹が俺の頭をぽんぽんと軽く叩いた。

我に返るともう何も見えなかった。

やがて遠くから商店街のざわめきが聞こえてきた。

第3話:打ち付けられた人形

中学二年の秋口、俺は勉強や部活そっちのけでオカルトにはまっていた。そのきっかけになったのが近所に住んでいた従姉妹で、この人と一緒にいたせいで何度かおかしな体験をした。これはその中のひとつ。

夏休みも終わりひと月が経とうとしている頃だった。俺は従姉妹に誘われ、家から一時間ほどの場所にあるケヤキの森に来ていた。

美人だが無口でオカルト好きな従姉妹は取っつきにくく、正直二人でいるのは苦手だったが、従姉妹が買ったバイクに乗せて貰えるので誘いにのった。

ケヤキの森は周辺では有名な心霊スポットで、曰わく今は使われていない製材所で夜毎手首を探す男が出る、曰わく森の中ほどに位置する沼には死体が幾つも沈んでいるといった調子で怪談にはことかかなかった。

そうでなくても木々が鬱蒼と茂り、昼でも薄暗い様子は一人きりで放り出されたような不気味なものがあった。

従姉妹が俺を誘ったのもオカルト要素たっぷりのスポットを探検したいがためだった。

森の内部に踏み入るにつれ道は狭く細くなり、やがて獣道同然の心許ないものになった。俺は既に腰が引けていたのだが、従姉妹が躊躇いなく進んでいくので仕方なく着いていった。

やや大きめの木の下にさしかかったとき、従姉妹が嬉しそうに何かを指差した。見上げるとその木に板が打ち付けてあった。いや、ただの板ではない。太い釘が大量に刺さっている。

近づいてよく見ると、板に細い木材を組み合わせたノッポな人形のようなものが付けられており、そこに五寸釘が大量に打ち込まれていた。俺は人形を見上げながらどこかしら奇妙な違和感を覚えていた。

藁人形ではなく木の人形、身を捩るような造形のそれは、全体は稚拙ながら関節まで再現され、それ故に禍禍しさを感じさせた。

俺は従姉妹に引き上げようと告げ、元来た道を戻り始めた。従姉妹は意外にも素直についてきたが、恐ろしいことを口にした。

「夜に来てみない? 丑の刻参りが見られるかも。釘、まだ新品だったし」

俺は強く反対したのだが従姉妹に押し切られ、結局その夜、家人が寝静まった夜半過ぎに家を抜け出した。

従姉妹と待ち合わせケヤキの森につく頃には一時を回っていた。入り口にバイクを隠し、懐中電灯の明かりを頼りに森の中へと足を進めた。

夜の森は静まり返り、昼間とは全く違う顔を見せていた。鈴虫やコオロギの声、俺や従姉妹が下生えを踏みしめる音。有機的な匂い。時おりがさっと何かが立てる音がして俺をびくつかせた。だが従姉妹は意に介する様子無く歩き、俺は呆れると同時に心強く思った。
昼間人形を見つけた木までたどり着き、離れた茂みに身を潜めることにした。従姉妹が時計を確認し、懐中電灯を消す。

「もう少しで二時。楽しみだね」
従姉妹が囁いた。

俺は内心楽しみじゃねえよと毒づきつつも頷いた。確かに高揚するものはあった。

動くものが無くなった森の静寂は耳を刺すようだった。ここに着くまでに多少汗をかいたのだが、それも今は引きやや肌寒いくらいだった。

時間は歩みを止めたかのように速度を落とした。先ほどの高揚はやがて緊張に姿を変えた。俺は暗闇の中に打ち付けられている人形を思い浮かべ、昼間の違和感は何だったのかと考えていた。

木……人形……幹。

あっ、俺は思わず声を上げた。従姉妹が振り返る気配。しっ、と小さな声が聞こえた。俺は違和感の正体に気づいた。

何で思い当たらなかったんだろう。あの人形を俺と従姉妹は見上げていた、勿論従姉妹は女、俺はまだ中学生だ、だがあれは二メートルよりかなり高い場所に打ち付けられていた。

大人でも五寸釘を打ち込むのには適切な高さがあるはずだ。自分の目の高さか、もう少し上くらい。だがあれは二メートル五十はあった。一体どんなやつならあんな場所にある人形に釘を打てるんだ。

俺が恐慌をきたし始めたとき、遠くから下生えを踏む音が聞こえてきた。虫の声が止んだ。微かな音を立て、ゆっくりとこちらに近づいてくる。従姉妹が隣で息を飲んだ。俺は自分の手足が冷たくなるような感覚に襲われた。

足音が近づく。引きずるような乾いた擦過音が混じる。もう目前から聞こえてくる。いくら夜の森でも、ぼんやりとくらいは見えるはずだ。しかし目の前には何も見えない。ただ足音だけが通過した。そして、立ち止まった。

木の下に着いたのだろうか。あたりは再び静まった。もう足音は聞こえない。

「あ、ヤバい」従姉妹が小さく呻いた。「逃げるよ」そう言って俺の腕を掴み走り出す。それで一気にパニックが襲った。必死に走った。よく転ばなかったものだと思う。とにかく、何かが、得体の知れない何かが追ってくるのを想像して全力で駆けた。

バイクの隠し場所にたどり着くと、従姉妹を急かしてバイクの後ろに飛び乗った。その間片時も背後の森から目を離さなかった。エンジンがかかり、走り出すと安堵感が全身を包んだ。

最後に振り返ったとき、森の入り口に何か白いものが見えたような気がしたがよく分からなかった。

後日、従姉妹にあの夜見たものを聞いてみた。俺はかなり後を引きずっていたのだが、従姉妹は全く堪えていないようだった。

「あれはね、生きてるものではないね。肉体が活動しているかって意味で言えばってことよ」
「何であんな高い場所に打ちつけてあったんだよ」
「ああいうのは感情の強さによって、形を変えるの」
「死んでからもあそこに通ってたってこと?」
「通ってたってより、あの人形そのものになっていたんじゃないかなあ。あの人形、やたらノッポだったでしょ」
そして従姉妹はにやりと笑ってつけたした。

つまり、あの人形をあんたの家に置いておけば、毎晩あれがくるんだよ。

しばらくの間、俺はそれまでとはうって変わって家中を掃除するようになった。

第4話:壁の中の生活

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俺の親類には怪談好きが多かった。祖母や叔父などは、ねだれば幾つでも話してくれたものだ。中でも俺のお気に入りだった語り部は、年上の従姉妹だった。

この人が変わり者で、普段は無口だが気が乗れば話し巧みにオカルト色たっぷりの怪談奇談を聞かせてくれた。静かな口調で語られる怪奇は俺を怖がらせると同時に高揚させ、聞き入りながらそこらの物陰に何か潜んでいるような気がしたものだ。

今から話すのは、どこかからの帰り道、夕暮れの中歩きながら従姉妹が話してくれた奇談のひとつ。

従姉妹は子供の頃、線路沿い並ぶ住宅地の一角に住んでいた。あたりには所狭しと民家や商店が立ち並び、常に何かしらの騒音がしていた。がらくたをぶちまけたような場所だが、子供にとっては遊び場に困らないところであったようだ。従姉妹は毎日あちこちを探索して廻った。

トンネルを見つけたのはそんなある日のことだった。土手になった線路の斜面に、生い茂る草に隠れるように口を開いた穴。ひとりで暇を持て余していた従姉妹は早速入ってみた。トンネル自体は長さ十メートルに満たない、土手の反対側に繋がる小さなものであったらしい。

トンネル内部はコンクリートで造られ、暑い日でも薄暗くひんやりとしていた。電車が頭上を通過する以外は外の世界から隔絶されたように静かで、従姉妹はそこを気に入り自分だけの秘密の場所にした。

そのトンネルは通りのすぐ脇にあったにも関わらず、何故だか誰も立ち入らない。従姉妹がトンネルから外を眺めていても通りを歩く人たちは一度も気づかなかった。

また、そこにいるといつも時間が早く過ぎるようで、日暮れを告げる市役所のチャイムをうっかり聞き逃すことも珍しくなかった。

ある日、トンネルの壁にもたれ掛かりうとうとしていた従姉妹は、どこからか話し声が聞こえるのに気づいた。身体を起こすと何も聞こえなくなる。不思議に思いながら、壁に寄りかかると再び声が聞こえた。壁に耳を当ててみると、先ほどよりはっきり聞き取れるようになった。

それはどうやら二人の男女の会話らしかった。女が男に早口で、笑いながら話しかけていた。男も時おり楽しそうな声で応える。聞き入っているうちに夕方のチャイムがなり、何となく後ろ髪を惹かれる思いでトンネルを後にした。

次の日トンネルに行くと従姉妹はさっそく壁に耳を当ててみた。やはり聞こえる。昨日と同じ男女の声だ。今日は男が積極的に話し、女が笑い転げている。すべて聞き取れないのをじれったく思いながら、耳を澄ませた。

それから、従姉妹は毎日そこへ通うようになった。

壁の向こうから聞こえる男と女は、どうやら恋愛関係にあるようだった。日を追うごとに、二人の親密さが増していくのが幼い従姉妹にも分かった。

何故土手に空いたトンネルの壁から、見知らぬ男女の会話が聞こえるのか不思議に思うこともあったが、そういう場所なのだろうと子供らしい柔軟さで受け入れていた。

やがて壁の向こうの二人は結婚した。女は仕事を辞め主婦になったようだった。言い合いをすることもあったが、おしなべて二人は幸せそうだった。他人ごとながら見守ってきた従姉妹はそれを嬉しく感じた。

相変わらず声は少しだけ遠く、言葉の端々に聞き取れない部分はあったが、どう試してもそれだけは改善されなかった。隣りの部屋にテレビがあり、それを聞いているようなもどかしさに近かった。

壁の向こうの幸せな生活は、しかし長続きしなかった。女が妊娠し、産みたいという女とまだ子供は欲しくないという男が対立したのだ。小学生の従姉妹にもその意味は分かり、心苦しく思った。女が、どれほど子供を欲しがっているか知っていたから。

少しずつ二人には暗雲が忍び寄り、やがてそれは加速度を増し生活全体を覆った。夏の嵐のように、あっという間に。従姉妹は二人の関係が元に戻って欲しいと願い耳をそばだて続けたが、聞こえてくるのは言い争いと悲嘆の声ばかりになった。

ある時、いつものようにトンネルで壁に耳をつけると、女の声だけが聞こえた。すすり泣くような、高い声で細々と呟く声。それはこんなことを言っていた。子供のせいで幸せが崩れたこと、仕事を辞め友人が減り空虚な毎日、そして延々男を呪う言葉を。

従姉妹は、薄暗い台所で独りで呪詛を紡ぐ女の姿を想像して寒気を覚えた。

その日を最後に、トンネルには二度と行かなかった。

幾日か過ぎ、時が経つにつれ従姉妹は壁の向こうの声を忘れていった。

しかしある夜、布団でうとうとしていた従姉妹は聞き慣れた声を耳にし飛び起きた。壁の向こうの声。それが確かに聞こえた。恐る恐る枕に耳をつけると、女のすすり泣きが伝わってきた。男の罵声も響いてきた。枕から耳を離すとそれは止んだ。

枕が壁の向こうと繋がったのだろうか。従姉妹はその晩中、まんじりともせず仰向けのまま天井を見つめていた。

次の日従姉妹は恐ろしいことに気づいた。枕だけではない。耳に何かを押し当てるだけであの声が聞こえるのだ。例え自分の手であっても。

やがて別の声が混ざり始めるようになった。時には老婆の声が、時には少年の声が口々に喋り喚いた。そしてそのどれもが陰惨な内容だった。

「それからね、私はなにがあっても耳を塞げなくなったの」そう言って従姉妹は立ち止まった。

もう従姉妹と俺の家の分かれ道まで来ていた。

「今も聞こえるの?」俺は聞いた。

「ずっと聞こえてる。最近では耳を塞がなくても聞こえるようになったよ。だからこうして、たまに誰かに話して聞かせるの。そうしないと頭が声で溢れかえるから」
従姉妹は話し終えると、またねと言って帰っていった。いつの間にか辺りには暗闇が迫っていた。

道沿いの家からは夕飯の匂いが漂い始めていた……

第5話:ワンピースの女

人生1番恐かった経験

前回の件があった六年後、一家揃って隣の県に引越ししていました。

当時私は社会人一年目でありまだまだ学生気分があまり抜けておらず、その日新入社員四人で心霊スポットに行こうとなった。

正直行きたくなかったが、普段気の強い私がこういうのを怖がると思われたくないと思い行く事にした。

そこは首つり自殺の名所であり車がすれ違う事の出来ない細くて小さなトンネルで、工事を途中でやめたのか所々鉄骨がむき出しな所で、その鉄骨で首をつる方々がいると言われている場所でした。

後部座席に乗りそのトンネルを通過……
途中運転していたF君が一瞬ブレーキをかけ「気のせいかな?何かが前を横切った気がするんだけど?」と言っていたが、実は私は怖くて目をつぶっており見てはいませんでした。

その時はそれ以上の何ごともなく過ぎてゆき会社の駐車場まで戻り、それぞれ自分の車で自宅へ戻る事になりました。

自分の車に乗り込み時計をみると12時を過ぎており、『やばいな~親に怒られるかな。急ごう』などと思いながら車を走らせていました。

あと1㎞程で家につく距離になった時、視界の左端に白いワンピースの人影が見えた気がし、車のブレーキをかけたのですが、見ると誰もいません
『ん?気のせいか。ってか、急がなきゃ』と、親に怒られるかもしれないと思っていた私はさして気にもせずスピードをまた上げました。

ところが、あと500M程で家につくという所でまたしても視界の左端にワンピースの人影が写った気がし、スピードを落としたのですがやはり誰もいません。

(この時点で白いワンピースには花の模様がチラホラと着いている服だと気がついたものの、『気のせい』ということに自分の中でしていました)

家に着き車を車庫に入れ(自動シャッターだったので車を入れる時には車からおりていません)車を降りた瞬間、人の強烈な視線を背中に感じ『車庫の中に人が?!』と思った私は咄嗟に電気を付けました

が、もちろん誰もいません。しかし明らかに人の気配がするのです。その瞬間背筋がゾクゾクとし始め慌てて家に駆け込みました。

両親はすでに寝ており、私は恐怖をおしころしながら自室に入ったのです

自室にもどり、『怖い怖いと思うからダメなんだ!気のせいだ気のせい!』と自分を励ましつつ着替えを済ませたのですが、どうしても人の気配が消えません。

どこから気配がするのかどうしても気になる為、部屋をキョロキョロと見渡すと、出窓に目がいきました。

『怖いと思うからダメ!気になるなら自分で確かめてみたら以外に本当に気のせいかも』と思いつつカーテンを開けました。

「……ヒッ……!!」悲鳴を上げようにもあまりの恐怖で声が出ず、喉のあたりでヒューヒューと鳴るばかりでした。

窓の外にはさっき見掛けた白いワンピースの女が、物凄い形相でこちらを睨んでいるのです。真っ黒のながい髪、もう絶対この世のものじゃない肌の色
きわめつけはこの自室は三階(一階は駐車場)
一晩中寝る事もできずガタガタと震えるばかりでした。

しかも最悪なことに昼も夜もずっとそばにおり、しかも見えるんです。見えるのは私だけらしく、心霊スポットに言ったメンバーに言っても見えないよとの返事。

三日目になり、体力も限界になり『とり殺されるんじゃないか』と思った私は、見えると言う従姉妹の家に相談に行きました。

従姉妹に事の成り行きを全て話すと、「おもしろがってそんな所に行くからだ!」と怒られ「とりあえずお祓いにいくように、あと今晩は小豆と塩を身につけて寝るように」と言われました。

帰り際に従姉妹に見えるかどうか聞くと「見えない」との返事でした。その夜から私の回りに見えていたはずの女が不思議な事に消えたのです。

原因は四日後に分かりました。

従姉妹から私宛てに電話があったそうです。私は仕事で家におらず電話は母が取ったらしいのですが、話しによると従姉妹は烈火の如く怒っており
「○○が、あたしの家に置いていきやがった」との事
従姉妹は四日間、部屋中の壁を一晩中引っかかれ、かなしばりにあい死ぬ程恐かったらしいです

霊って霊感の強い方にいくんですね。

霊感のある方々はホントに気をつけてください

第6話:つかない筈のテレビ

電話やテレビ、ラジオなど所謂メディアにまつわる怪談は多い。その殆どが、どこかに繋がってしまうというパターンを踏襲している。便利さの反面、直接的ではない伝達に人間は恐怖心を抱くのだろうか。今から話すのもそれに類似したありふれた体験のひとつ。

中学二年の夏休み、心霊ツアーと称し五歳上の従姉妹と他県まで遠征した。目的地は某県にある公営団地の廃墟。これはかなり有名な場所で、仮に心霊スポットではなくとも廃墟好きの俺にはたまらないものがあった。

到着したのはまだ陽のあるうちだった。立ち並ぶ無人の団地とそこかしこに残る生活の痕跡は、確かに噂通りの偉容だった。

草が伸び放題の空き地にぽつんと置かれた三輪車、錆びた鉄製のドア、引き出しに衣類がしまわれたままのタンス。そして周囲は緑深い山々。団地全体が、本来あるべきではない違和感を放っていた。

何となく腰が引けてしまった俺とは対照的に、従姉妹は次から次へ無遠慮に見回っていた。オカルト好きで変わり者のこの従姉妹は、普段は何を考えているのか分からなかったがこういうときは頼もしかった。

ある棟の一部屋に入ったとき、俺はあまりの異様さに目を見張った。

その玄関には靴が脱ぎ散らかされ、コンロにはフライパンが置いてあり、押し入れからは布団が崩れだしていた。確かに生活感の残る部屋は幾つかあったが、これはまるで住人が日常の中で忽然と消え去ったかのようだった。ついさっきまで、誰かがいたような。

有名な幽霊船の逸話が脳裏に蘇った。事実、四つの椅子が並ぶテーブルには箸や茶碗などが並んで埃を被っていた。今まで気にならなかった静寂がやけに耳をつく。緊張したまま奥の部屋を覗くと、雑誌やレコードが散乱する中に古ぼけた小振りのテレビが鎮座していた。

小さな四つ足の台に載ったテレビは、ダイヤルつきのその頃でもまず見かけなくなっていたタイプだった。全体を覆う赤いプラスチックが妙な懐かしさを感じさせる。高度経済成長センス、というか昭和テイスト。

手を伸ばし、ダイヤルを回すとブン、と低い音がして画面がゆっくりと明るくなった。俺は驚いて見守ったがそこには砂嵐が映し出されるだけだった。

いつの間にか隣りにいた従姉妹が、日が暮れるしもう帰るよ、と言ってダイヤルを回しテレビを消した。窓の外を見ると確かに暗くなり始めていた。

車に戻り暫く道を走ると、従姉妹がため息をついて言った。

「凄いもん見つけたね、あのテレビ」
俺が何のことか分からずにいると、従姉妹は続けて言った。

「さっきまで視線を感じてた。団地からずっと追ってきてたよ、多分あんたがテレビつけたときから」
今更ながら徐々に焦り始める俺を尻目に、従姉妹は言い切った。

「あんな場所に電気が通ってるわけないじゃない。あのまま見てれば、何か面白いものが見れたかもね」
俺が、テレビの内部に蓄電してることもあると言うと、従姉妹は「じゃあ戻って確かめる?」と言った。俺は即座に拒否した。

後日、従姉妹から聞いた話ではやはりあの団地は通電していなかったらしい。あの後ひとりで行って確かめて来たと、小さな常夜灯を指差して言った。それをコンセントに差して確認したのだろう。これにはさすがに呆れた。

しかしその後、従姉妹はもっと驚くことを口にした。

「テレビの電源入れようとしたんだけどね、入らなかった。あんたのときについて、私のときにつかないって、ムカついたから持って帰ってきて分解しちゃった」
そう言って笑う従姉妹の部屋には、確かに見覚えのある赤いプラスチックがあった。

第7話:記憶を追ってくる女

語り部というのは得難い才能だと思う。彼らが話し始めると、それまで見てきた世界が別のものになる。例えば、俺などが同じように話しても、語り部のように人々を怖がらせたり楽しませたりはできないだろう。

俺より五歳上の従姉妹にも語り部の資格があった。従姉妹は手を変え品を変え様々な話をしてくれた。俺にとってそれは非日常的な娯楽だった。今はもうそれを聞けなくなってしまったけれど。

従姉妹のようには上手くはできないが、これから話すのは彼女から聞いた中でもっとも印象に残っているうちのひとつ。

中学三年の初夏、従姉妹は力無く抜け殻同然になっていた。普段は俺が催促せずとも、心霊スポットや怪しげな場所に連れて行ってくれるのだが、その頃は頼んでも気のない返事をするだけだった。

俺が新しく仕入れて来た話も、おざなりに聞き流すばかり。顔色は悪く、目の下には隈ができていた。ある日理由を訊ねた俺に、従姉妹はこんな話をしてくれた。

春頃から、従姉妹は頻繁にある夢を見るようになった。それは夢というより記憶で、幼い頃の従姉妹が、その当時よく通っていた公園の砂場でひとり遊ぶ光景を見るのだった。

やがて何度も夢を見るうちにひとりではないことに気づいた。砂場から目線を上げると、そこに女が立っている。淡いピンクの服を着た、黒いロングヘアの女が従姉妹を見つめ立っていた。

女に気づいた次の夜、夢は舞台を変えた。少し大きくなった、小学校に入ったばかりの授業参観の光景。後ろに沢山並んだ親たちの中に自分の母親もいるはずだった。

教師にあてられ正解した従姉妹は誇らしさを胸に後ろを振り返った。だがそこにいたのは母親ではなく、公園で従姉妹を見つめていた女だった。

次の夢は小学校高学年の頃の運動会だった。従姉妹はクラス対抗リレーに出場していた。スタートと位置に立ち、走ってくるクラスメートを待った。

もうすぐやってくる。腰を落として身構え、後方を見た。走ってきたのは公園にいた女だった。両手足を滅茶苦茶に振りながら凄いスピードで近づいてくる。従姉妹は恐怖を感じ慌てて逃げ出した。

一瞬女の顔が見えた。真っ白な肌に、どぎつい赤の口紅を塗りたくりニタニタ笑っていた。

翌日の夜、従姉妹は寝る前から予感を抱いていた。今日も夢であの女に会うのではないか。それは殆ど確信に近かった。そして、その通りになった。

夢の中で従姉妹は中学生になっていた。記憶にある通り、吹奏楽部の練習に参加していた。

顧問のピアノに合わせて、トロンボーンを構えた。深く息を吸い込んだまま、従姉妹は凍り付いた。ピアノの前に座っていたのはあの女だった。狂ったように鍵盤を叩き、顔だけは従姉妹を凝視していた。

女の顔ははっきり見て取れた。異様に白い肌、細い目、高い鼻筋、真っ赤な口紅が塗られた唇を大きく広げニタニタ笑っていた。そこから覗くのは八重歯で、口紅だろうか赤く染まっている。不揃いな黒いロングヘアが女の動きに合わせ激しく揺れた。

汗だくで目覚め、従姉妹はあることに気づいた。私は夢の中で成長過程を辿っている。始めは幼い頃、次は小学生、今は中学生だった。もしかして、女は私の記憶を追ってきているのではないか。

その仮説は正しかった。眠るごとに夢の従姉妹は成長し、女は必ずどこかに現れた。あるときは見上げた階段の上から、あるときは電車の向かいの席で、あるときは教室の隣りの席から。

従姉妹はここに至ってもうひとつの法則に気がついた。女との距離がどんどん縮まっている。いまではもう女の三白眼も、歯と歯の間で糸を引く唾液もはっきりと見えるようになった。

従姉妹はなるべく眠らないように、コーヒーを何杯も飲み徹夜した。しかしすぐ限界がくる。女は、昼に見る一瞬の白昼夢にも現れた。

そしてとうとう現実に追いついた。

そこまで話すと、従姉妹はうなだれるように俯き黙った。黒い髪がぱさりと顔を覆い隠す。すっかり聞き入っていた俺は、早く続きを知りたくて急かした。催促する俺を上目遣いで見て、従姉妹はゆっくりと笑った。

「だから現実に追いついたって言ったでしょう」
そう言ってにやりとした従姉妹の口元は、八重歯が生えていた。

いつから従姉妹が八重歯だったのか、俺には自信がなかった。

(了)

 

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