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実家はちょっと大きめな日本家屋【ゆっくり朗読】

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子どもの頃の話。

53 :本当にあった怖い名無し:2022/03/10(木) 17:09:44.14 ID:l9PAXCBH0.net

私の実家はちょっと大きめな日本家屋。古くて、それなりに劣化していて...だから昼間でも薄暗く、夜1人でトイレに行けなかったし、留守番とかもとにかく苦手だった。

だけどその日は学校から帰って、玄関のドアを開けると、いつも「おかえり」と言ってくれる祖母の声も、「学校からのお手紙出して」と直ぐに飛んでくる母も、祖父の生活音も聞こえず、シンとしていた。
「今日出かけるなんて言っていたかなぁ」と玄関に足を踏み入れた途端、なぜか怖くて怖くて堪らなくなった。今思えばこの時点で何かおかしかったんだと思う。何故だか奥座敷に行かなきゃいけないっていう気持ちになって、行きたくない、行っちゃダメだと思うのに、行かないと怖いことがある…みたいな...そんな脅迫概念にとらわれた。

ガタガタと震えながら靴を脱いで、座敷に上がって、どんどん奥へ襖を開けて進んでいく、すぱんすぱんって勢いよく開けていく。それに合わせる様にどんどん、どんどん、って太鼓を打ち鳴らす音が外から聞こえ始める。庭からとか近くじゃなく、遠くでお祭りをしてる様な音。その音がやたら気持ちを焦らせて、益々勢いよく、急いで襖を開ける。こんなに部屋は無かったという疑問とか、開けても開けても奥座敷につかない焦りとか...とにかく怖くて立ち止まれないし、後ろを振り向くことも出来なかった。

息もうまく吸えないし、太鼓の音はうるさくなるし、そのせいか耳鳴りも聞こえ始めて、それでも襖を開けなくちゃいけない。開ける手も体もガタガタと震え、息は上手く吸えず、ヒッヒッと自分の口から漏れる音。兎に角怖くて、気が狂いそうだった。
もう駄目だもう終わりだと思ったそんな時、やっと、やっと奥座敷に着いた。そこはいつも通り、の筈なんだけど、やけに薄暗い。のに、仏壇だけがぼんやりと光を放ってる感じだった。ピカーっじゃないけど、暗い中でもそこだけ見えるような…そんな感じ。

そこでやっと「あ、まずい、おかしい」ってまともに思考が働いた。玄関に戻って外へ...外に出たら友達の家に行こう、公園の前に誰か知り合いがいるかも、なんてぐるぐると色んな考えが浮かび、「とにかく外へ行こう」そう思ってぐるりと振り返った。

振り返ると、明らかにいつもより座敷が多いし、襖が多い、それに開け放ってきた襖の横にそれぞれ人が立っていた。男性で、神主の様な格好をしていたと思う。だけどもそれは人、なのか、体つきはほぼ人なのに、腕だけがやたら長くて(地面に着くほど長いわけじゃない)ぱっと見家に知らない人達が入り込んでるのかと思ったぐらいだった。外の鳴り響く太鼓の音や、鳴り止まない耳鳴り、このタイミングで何人も現れた人の様なもの、子どもだった私はもうキャパオーバーで、ボロボロと大泣きしたことを覚えている。

そんな時だった、手前の「人の様なもの」と目があった気がした。気がしたというのも、なんでか顔をうまく認識できなかったから。
その瞬間、あれだけうるさかった太鼓の音も、耳障りな耳鳴りもピタリと止んだ。シンとした静寂。そこでもう私の恐怖のキャパは限界で、「ワアァア」とか「ヒャアァ」みたいな声を上げながら、後ろは仏壇、もうその人の様なものの横をすり抜け、玄関へ逃げるしかないってそう思った。

そうしたら1番奥、玄関近くの襖からすぱん、すぱんと、閉められていく。焦る気持ちと訳の分からないこの状況、ただひたすらに「タスケテクダサイ」「タスケテ」って泣きながら呟いた。

だけど、そのそいつは黙って何をするわけでも無く、こちらをただじっと見てるだけだった。だから、「いける」と思ったんだろうね、私は怖くて怖くて仕方がなかったけれど、その1番手前のやつの横を目を瞑りながら(怖かったから)すり抜けようと猛ダッシュした。

横を通るその瞬間、急に体が冷たいものに触らせている感触がある。「ワァワァ」と叫びながら必死にバタバタ体を動かし、目を開けると、例のやつが私の事を抱きしめていた。

1つ前の襖が、最後の襖がすぱんと閉められた。空いているのは今いる奥座敷の襖だけ。「もう駄目だ、もう助からない」なんて思いが沸々と浮かんできたけれど、先程と同じ言葉を今度は「助けてください!」「たすけて!」と大声で叫びながらバタバタと暴れ続けた。どれくらい経ったかわからないけれど、もう喉はガラガラで声を出すのが辛くなってきた時、やつの抱きしめる力が少しだけ強くなって(ぎゅって感じ)、スーッと息を吐く音、笑う様な音が聞こえた。生温かくて、濡れた獣のような臭いがした。それと同時に耳元で「おかえり」と高い女の人、綺麗な声が聞こえ、その瞬間気を失ってしまった。

そして気がつくと、玄関で立ち尽くしており、祖母や母が心配そうに「どうしたの、早よ上がっといで」と顔を覗き込んでいた。
あの体験は何だったのか、夢だったのか、それでも抱きしめられた時の冷たさも、息の生温かさも、匂いもしっかりとリアルに覚えている。

以上です。

ダラダラと長くなってしまってごめん。
未だに実家に入るとあの体験を思い出して怖くなる。

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