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短編 r+ 怪談

ダムサイトトンネル r+377

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これは、大学時代の友人から聞いた話だ。

10年ほど前の夏、彼が実家に帰省していたときのこと。趣味の釣りを楽しもうと、地元のとあるダム湖を目指したらしい。そのダム湖は特に有名な釣り場でもなく、地元の人からも「釣りをした」という話はほとんど聞かない場所だったそうだ。しかし、彼は「水があるなら何かしら釣れるだろう」という軽い気持ちで、半ば開拓のつもりで出かけたという。

ダムサイトに到着すると、湖畔には小さな駐車場と、その横に短いトンネルがあった。湖の奥の方に行くために、そのトンネルを通る必要があったのだが、遠目から見たそのトンネルは何か妙だったという。

入り口から見えるはずの向こう側の出口が、なぜか真っ暗に沈んでいたのだ。緩くカーブしているため出口の光はかすかに見えるはずなのに、そこには不自然な暗闇が広がっていた。ただの「暗い」ではなく、光そのものが吸い込まれるような、絵の具で塗りつぶしたような不気味な暗さだったという。

不安に駆られながらも、彼は車を降りてトンネルを覗き込んでみた。ところがさらにおかしなことに気づいた。トンネル内の天井や壁には、通常ならあるはずの照明が一切見えない。どころか、入り口からの光さえトンネル内に届いていないようで、まるでそこだけが別の空間になっているようだった。短いトンネルで、目測10メートルもない距離のはずなのに、先がまったく見えない。気味の悪さが募り、彼はトンネルに入ることを断念し、そのまま車をUターンさせて帰宅したのだという。

その後、何年かして再びそのダム湖を訪れようとしたが、途中で大規模な崖崩れがあり、道路が通行止めになっていた。結果的にそのダム湖にたどり着くことはできなかったらしい。

彼は最後にこう付け加えた。
「あのダム湖、東北のある地方にあるんだけど、ちょっといわくがある場所みたいなんだよ」と。

明治時代、その地域では「水分け闘争」と呼ばれる日本史上最悪の紛争が起こったという。村同士が争い、猟銃が持ち出されて百人単位の死傷者が出たという話だ。その結果、村落を移転させ、収めるために作られたのがその古いダムだったらしい。背景を知れば知るほど、あの妙な暗闇の正体もただの自然現象とは思えなくなってくる。

さらに追い打ちをかけるような話もある。若き日の宮沢賢治が測量の仕事でその湖周辺を訪れた際、「妖しきものに囲まれて立つ」という短歌を詠んだ記録が残っているという。彼が泊まっていたテントが夜中に「何か」に襲われ、一睡もできなかったという記述まである。

釣りのために訪れたはずのダム湖。しかし、そこに足を踏み入れることなく引き返した彼の直感は正しかったのかもしれない。あの暗闇の奥で、いったい何が待ち構えていたのだろうか?

[673 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/03/23(木) 22:21:47.83 ID:cxG48M9j0.net]

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