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中編 工事現場の怖い話

地下鉄工事【ゆっくり朗読】3300

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建築現場話なんだけど……俺の勤める会社が地下鉄工事を請け負った。

2003/06/20 09:18

工事が始まって、すぐに……出て来る出て来る、もう人骨だらけ!

ニュースにもなって、工事は一時中断して調査が始まったんだけど。

工事をしている場所は、戦前お寺ばかりで墓がそこらじゅうにあったらしい。

まあ、数週間後に工事が再開されたんだけど……

再開されてしばらくすると、先輩が土留め(どどめ)の方に向かってブツブツ。

気になって後から声を掛けてもブツブツ言ってるわけ。

俺は霊感なんてまるでないし、パシリ同然だし全く何も感じない。

で、後から先輩の肩を叩いたんだよ。

すると……先輩が急に我に返ったみたいで、

「須藤!お前、子供見なかったか?」とか言って真っ青になってるわけ。

俺は冗談半分で、「見てないですよ、幽霊見たんすかね!」

そんな冗談も最初のうちだけで、職員のほとんどが経験するようになって、ちょっと大きな事故が起きた……

鉄筋工事を請け負う会社の職人が、スタンション(道路に開口部を作る資材)で開口部を作り、35m下に資材を下ろす作業をしていた。

鋼管(鉄パイプ)で周りを囲い、まさか……と思われるくらいの設備にはなっていた。

その鋼管の一本が何故か外れて落下!

下で作業をしていた作業員に直撃したんだ。

外傷は全く見当たらないのだけど、ヘルメットは飛ばされていて変形していた。

慌てて救急車で病院に運び、俺も鉄筋工の世話役と一緒に同乗してた。

病院に着いて、医師の診察では、

「手の施しようが無い……この子ドナーカード持ってるね……」

???

俺は慌てて親族に連絡を取るんだけど、なかなか連絡が付かない。

で、医師は話を続けるわけよ。

「一刻も早く親族に連絡すれば、この子は他に命を支える事が出来る」

???

俺は気が付いて、病院を移す事にしたんだ。

救急車で今度は大学病院に連れて行った。

するとちょうど、何でもその病院では偉い医師が居てくれていて、診察をしてくれた。

「あ……あ……ただの脳しんとうね、直ぐに目を覚ますから心配ないよ」

.
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.
.

もし……最初の病院で脳死なんて診断されたら……

そりゃ、幾度も検査をしてからの事だろうけど、病院の中の事なんて闇と同然と聞くし。
まさか……そんな事はない!なんて考えてるけどね。

その事件の後、俺と先輩一人が移動になった。

移動した先は、私鉄の高架橋の現場だった。

駅の近くの現場は、朝夕の通勤時間帯は結構女子高生の視線を感じたし、現場から覗き上げるホームは、違う意味で景観だった。

先輩と朝早く、線路のたわみを測量をしていた時だった。

電車に人が飛び込んだ!……らしい?

もう目と鼻の先!……らしい?

先輩は失禁して、その場で腰を抜かした。

俺は事故自体は背中に感じるだけで、鈍感丸出しだった。

所長に呼ばれて、駅員さんと合同で死体の回収命じられて……

後で、先輩の覗いていたレベル(水準器)を片付けようと覗くと、ちょうど死体が置いてあった場所にレベルがあっていた。

先輩は二週間仕事に出てこなくなり、一年過ぎた先月退職した。

最後に俺に残した言葉は、

「俺が現場(地下鉄)から連れてきちまったんだな……そいつが多分引っ張ったんだ!」

俺はその言葉にピンと来なかったけど、先輩は地下鉄の事が気になっていたみたいだ。

現場の寮でも信心深く、数珠を放さないようになっていたし……

(了)

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