短編 山にまつわる怖い話

見上げず山【ゆっくり朗読】2800

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滋賀県の心霊スポットといえば、なんといっても琵琶湖全域。

京都の隣で歴史も古いので、実はいたるところにいわく付きの場所があります。

滋賀県東部の山岳地帯も地元では有名な心霊スポットらしいのですが、大阪出身の私はそんなこと知るはずもなく、友人達と野洲川上流にキャンプに出かけたのです。

夜はバーベキューを囲み、皆でビールを飲んではしゃいでたのですが、一人二人と酔いつぶれてテントに寝に行く者が出てきて、最後は私と滋賀県出身の友人と二人になりました。

その友人が「この辺りの昔の地名、知ってるか?」と聞いてきたので

「俺は滋賀県出身違うから知らんわ」と答えると

「見上げず山や」と言ってきました。

私はそれがどうしたのかと思ったのだけど、友人は真顔で「意味分かるか?」と聞いてきました。

「見上げず山ってことは、見上げない山ってことか?そこそこ高い山やし見上げることもあるやろ」

「山を見上げないんじゃなくて、山の中で見上げてはならないという意味や。昔からこの山で道に迷って行方不明になった人が、必ず木にもたれかかった状態で上を見て物凄い形相で死んでるそうやねん」

「ふーん。木の上に何かいたんか?」

「分からんけど、そういうことが続いたさかいに迷っても絶対に上を見上げてはならないって言われてるらしい」

そんな話をしているうちに友人も酔ってしまったらしく、テントに引っ込んでしまいました。

私は山の夜風を楽しみながら、もう一本ビールの蓋を開け一人で飲んでいました。

「見上げず山ねぇ」

独り言を言ってみるとやけに頭上が気になりだしました。

昔の怪談もどきなんか全く気にもしなかったのですが…何気なく上を見上げました。

黒々と木々の枝が茂っていて、確かに不気味ではあるけどなんてことはない。

私はがっかりして、もう寝ようとテントに向かいました。

すると、先に酔いつぶれて寝てるはずの友人達がテントの前に全員いるのです。

なんとテントを背にして驚愕の形相のまま上を見上げて息絶えてました。

私は何がなんだか分からず、夢中で車まで走り警察に駆け込みました。

あとのことはよく覚えていません。

とにかく動揺してしまって、支離滅裂なことを喚いていたそうです。

とりあえず今、私は事件の重要参考人とされてます。

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