短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

未払い金【ゆっくり朗読】2500

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友人から聞いた話。

427 :本当にあった怖い名無し:2014/01/19(日) 23:51:53.97 ID:rhdK3sYo0

友人の同僚でNという営業マンがいた。

Nは付き合っていた女性を騙して、散々お金をむしり取った挙げ句、捨てたらしい。

それからしばらくしてNに異変が起きる。

現金で売り上げると、会社に戻る前にその現金が減っている。

最初は数え間違いや、勘違いかとも思ったらしいけれど、
封をしている封筒や鍵を掛けた小型金庫、肌身離さず持っている財布の中からも無くなる。

そのたびに不足金として、Nは自腹を切っていた。

ところが、それも長くは続かず、給料引きという未払い金扱いにするようになった。

結果的に給料よりも未払い金が上回る事もあり、Nは借金を重ねるようになる。

ある時、大口の現金取引が入った。

Nは担当替えを願い出たが、どうもお得意先からのご指名らしく、仕方なく行くことになる。

数百万という金額の為、Nは一つ策を練った。
後輩を同伴させ、お金だけ彼に運ばせる。

これなら何の問題も起きないはずだ、と。

無事に取引は成立し、後輩に現金を運ばせる。
Nは自分の責任が問われないように、後輩と別々の車で取引先に来ていた。

…これが悪かったのかも知れない。

後輩は帰社する途中、自転車との接触事故を起こす。

後輩は事故の調べや、被害者の親が来るまで待つ事になったために、いつ現場を離れられるか分からなくなった。

会社からも何度も催促の連絡が来て、いよいよNが現金を持ち帰るしか無くなる。

そしてNは意を決して、車のダッシュボードに現金を並べ、常に見える状態にして帰社することになった。

しかし、彼は帰社することが出来なかった。

帰社する途中にガードを破って崖下に転落する事故を起こし、息を引き取った。

事故を起こした車の中から、現金は綺麗さっぱり無くなっていた。

後日、彼のデスクを整理することになり、引き出しを開けると、一番下の引き出しから大量の現金が出てきた。

恐らく、事故の時に無くなったであろう現金も含めて発見された。

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