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★百物語の闇:伊集院光の怪談

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伊集院光の怖い話『百物語』

112 :怖いお話ネット:2024/06/13(木) 16:43 ID:7tG5jX4k

伊集院光がマイナーなテレビで語った話がある。

ある日、ラジオの急な企画で百物語をやることになった。本当に百の怖い話を語り、ろうそくを消したら何が起きるのか。それを確かめようと、ラジオのスタッフや怖い話をする演者たちを集めた。

演者は二十人、一人あたり五つの怖い話を準備した。場所は、ある寺の本堂。百本のろうそくに火を灯し、録音が始まった。

一人目の演者が話を終え、火を消す。そして次の演者が話を終え、火を消す。ラジオ業界は仕事の時間帯がバラバラなので、この収録もかなり遅い時間に行われていた。

何かが出そうで雰囲気は十分だが、仕事が終わってすぐの人もいれば、収録が長くて居眠りする人もいた。そんな状況で、話の質は徐々に低下していった。

ふざけ半分で話すお調子者も現れ、流れがグダグダになった。それでも、何とか怖い話を続け、残るろうそくの火は一つになった。

最後の演者が話を終え、ろうそくの火を、フッと消した。何も起こらない。「そうそう上手くは事は運ばないなぁ」と思っていたその時、一人の演者が言った。

「え?何で終わってるの?俺トリだから凄い怖いの用意してたのに」

確かに、ろうそくは百本全て消えている。「誰かが間違えて二つ消したのかな?」と憶測が飛んだが、この一連の流れは全て録音されている。それを確認しようと、メンバー全員でラジオ局に戻った。

録音されたテープを聞くと、最初の人の話からしっかりと録音されていた。話が変わるたびに、「この話は僕がした」「この話は隣の〇〇さんがしてました」と演者が確認していく。

半分くらい経った時、小さな声でボソボソと話す声が録音されていた。演者の一人が言う。「あー、これ俺覚えてるよ。誰が話してたか知らないけど、聞き取りづらくて眠気誘うから寝ちゃったよー」。他の演者も、聞き取れなかった話があったことを覚えていた。

だが、やはりみんなこの声の主が何を言っているのか気になった。幸い、ここはラジオ局。音声さんやミキサーさん、音のスペシャリストが揃っている。

彼らがノイズを消したり、音量・テンポを調整したりして、そのボソボソ声が何を言っているのか判明させることができた。

みんな集まってテープから流れる音声を待った。そして聞こえてきた。「最近の話なんだけどさー。俺、死んじゃったんだよね」。

その声はスタッフでも演者でもない、全く知らない声だった。後日、収録場所となった寺に確認に行くと、収録当日、本堂には納骨される前の遺骨が安置されていたという。

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