小五の頃、校庭の裏の草むらで変なものを見た。
校舎の死角になっていて、普段は誰も近づかない場所だ。草が伸び放題で、ボールが飛び込んだときくらいしか入らない。そこに、小枝を編んだ輪があった。円というより、踏み跡を囲うための縁取りみたいな形で、自然に積もったとも言えそうだが、妙に均等だった。
その輪の先から、キノコが二列に並んで生えていた。まっすぐではないが、道と言われるとそうとしか見えない。私はイタズラだと思った。誰かが作ったにしては、場所が悪すぎるとも思ったが、深く考えずにその道を辿った。
草むらは思った以上に奥まで続いていた。校庭の裏はもっと狭かったはずなのに、歩いても歩いても終わらない。キノコの列は途切れず、その間に昆虫や小動物の死骸が転がっていた。乾いているものもあれば、まだ新しいものもあった。踏まないように避けて歩いているうちに、歩き方がおかしくなった。
道の先は、開けた場所だった。キノコが密集した広場で、周囲は背の高い木に囲まれている。そこに、草を編んだ人形がいくつも転がっていた。首がなく、形だけ人に似ている。小枝で作った家や、銃の玩具みたいなものもあった。明らかに人工物なのに、誰かが使っている気配はなかった。
しばらく眺めているうちに、違和感が追いついた。校庭の裏に、こんな広場はなかった。振り返ると、来たはずの道がどれなのかわからなくなっていた。キノコの列が何本も伸びていて、どれも同じに見えた。
引き返そうとして走り出した。死骸を避けながら進むうちに、足の運びが勝手に変わった。跳ねるようで、踊っているみたいだった。止まろうとしても止まらない。自分の足なのに、合図を無視して動き続けた。
そこで意識が途切れた。
次に覚えているのは、校庭だった。私は一人じゃなかった。周りに人が集まっていて、先生の声が聞こえた。後から聞いた話では、私は校庭を走り回り、意味のわからない声を出していたらしい。止めに入った子が何人も転ばされ、木に登り、飛び移ろうとして落ちかけたとも言われた。
自分では何も覚えていない。ただ、靴の裏に、乾いたキノコの欠片がいくつもくっついていた。
その日以降、校庭の裏には近づかなかった。草は刈られて、何もなくなったと聞いた。でも、あの場所が元から狭かったのかどうか、今でも思い出せない。
[出典:817 :本当にあった怖い名無し:2025/07/21(月) 23:50:45.70ID:DN3MoPhu0]