短編 家系にまつわる怖い話

ダイヤモンドは砕けない【ゆっくり朗読】3593-0103

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うちの爺ちゃんは、とある伝説の持ち主。

爺ちゃんは何の病気か知らんが、俺が小さいころに死んだ。

そのとき、心臓モニターっていうの……?心拍が止まった時に『ピィーーーー』てなる奴あるじゃん?

アレが『ピィー』って鳴って、脈とった医者が「ご臨終です……」って言ったのよ。

その瞬間、爺ちゃんが、ガバッ!って上半身はね起きて、ニッカリ笑って

「根性の勝ちや!」って言った。

一同、心臓が飛び出るくらいに驚いた。

看護婦さんが、点滴のつり下げる台に引っかかってこけてたのを覚えてる。

おかげでじいちゃんの死に顔はニッカリ笑顔だった。

そのまま上半身だけ起こした姿で、もう一回死んだ。

遺書にこうあった。

昔、軍に居た頃に、先に死んだ同僚が泣き言を言った時、

「根性と気合で人は死をも乗り越える」って言って励ましてた事を今でも気にしていて、ならば自分が試してみれば良い、と。

実践するから残った者はよく見ておいてくれ、と。

もしそれが出来れば、意思は何よりも強いと言う事だ。

私に出来て他の者に出来ぬ道理は無い。

私が出来たのなら、それに習って何者にも負けぬ意思で生きてくれ。

もし出来なければ、この遺書は燃やせ。

恥を残して死ぬのはやんぬるかな。

馬鹿な爺ちゃんだ、アホすぎる。

おかげで葬式までその話題で持ち切り。

まぁ、俺はそれを見習って、この前ホノルルマラソンを完走できた。

「ダイヤモンド(意思)は砕けない」を実践したボケジジイだったようで。

俺も死ぬ時は心臓止まってから、「我が生涯に一片の悔いなし!」って叫ぶか。

担当医が自分から進んで葬式に来る位インパクトのある死にっぷりだったし。

その話題のせいで泣いてる葬式じゃなかったのを今でも覚えてる。

というか、医学的にはありえんのかね?

心臓停止の状態のまま覚醒してしゃべるっていうのは。

ちょっとその辺はわからないんだけど。

「根性論は時代遅れ」って言ってるクールな社会の連中に一言。

「根性で出来ない事は多いけど、意外にできる事もある」と。

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