ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖いお話.net【厳選まとめ】

短編 r+ 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

二子橋 r+1899

更新日:

Sponsord Link

友人から聞いた話だ。

一ヶ月ほど前、彼が神奈川の溝の口から東京方面に出かけ、夜に帰ることになった。帰り道は、あたりは静かで薄暗く、時間はすでに八時を回っていたという。友人と別れ、自転車を走らせて15分ほど経った頃、多摩川にかかる橋を目指して進んでいた。

多摩川の川幅は広く、その両岸には土手やサッカーコートが広がり、夜でもどこかのんびりとした風景が続いている。その川を東急田園都市線が垂直に横切り、幹線道路の国道246号もその隣で一緒に橋をかけている。

車は広い246号の橋を通るが、自転車や原付は細い方の橋を使う。川崎側の橋のたもとには交番があり、雨に濡れた暗い道をひたすら進んで、やっとその交番の前にたどり着いた。信号が赤だったため、交番の前で少し休んで信号が青に変わるのを待っていた。

その時、不意に大きな爆音が響き、地面が激しく揺れた。目の前が強烈な光に包まれ、ふと気づくと、まるでダンプカーのような巨体が自分めがけて突進してくるのが見えた。避ける暇もなく、ただ立ち尽くし、衝撃に備えるしかなかったという。

けれど、目を閉じて死を覚悟した瞬間には、すべてが静かになっていた。再び目を開けてみれば、そこにはただ青信号が点滅し、雨の音が響いているだけだった。何もかもが元に戻り、ダンプカーの姿などどこにもなかった。

混乱しながらも、その場で信号が変わるのを数度見送った。ようやく幻覚だったのか、と理解しはじめ、深呼吸をして落ち着こうとしたが、内心では妙な不安が膨らんでいた。青信号に変わったタイミングで、自転車を押しながら橋を渡りきったところで、サドルに違和感を感じた。

何かが違う。ふとサドルを見下ろすと、それは深々と十文字に切り裂かれていた。鋭利な刃物で一気に切り裂かれたかのような、異様にきれいな切れ込みがそこにあったのだ。

理解し難い恐怖が全身を襲い、思わず自転車を投げ出して川崎側の交番に駆け込んだ。しかし、交番にはやはり誰もいなかった。再び戻ると、自転車のサドルは跡形もなく消えており、友人に電話をかけて助けを求めた。

その夜の出来事が、何を意味しているのかは今もわからない。事故だったのか、ただの夢だったのか、それとも……。彼はそれからしばらく、夜に出歩くことが怖くなり、家に閉じこもりがちになっているそうだ。


これは何とも薄気味悪く、気になる話だ。まず場所は「二子橋」。東京と神奈川を結ぶこの橋は、平時はただの交通インフラの一つに過ぎないが、過去にはいくつかの不気味な出来事が重なっているらしい。

一連のやり取りで「川崎側の交番」や「橋脚一本目辺り」が話題に上がっている。この辺りでは、橋の欄干で首吊り自殺が何件か続けざまに起きたそうだ。特に奇妙なのは、その欄干がかなり高い位置にあり、よほどの決心がなければ自力で縄をかけるのも難しい場所だということだ。自殺として処理されたものの、実際のところ、その状況が腑に落ちないような点が残されている。

さらに、その橋の上を渡ると「橋脚一本目」辺りで具合が悪くなるという証言もある。何か目に見えない力が作用しているのか、橋脚が持つ特有の磁場や空気の流れなのか、それとも過去の出来事がその場の雰囲気を歪ませているのか。昔、電車の駅などで特定の場所に立つと気分が悪くなるといった話があるように、人間の心理や身体が、特定の環境に反応してしまうケースもあり得る。だが、ここでは単に環境だけでは説明できない何かが存在するのかもしれない。

このように、特定の場所で不自然な現象が繰り返されると、偶然なのか、何かの力が関与しているのかという疑念がつきまとう。橋やトンネル、古い建物には時折、この手の話がついて回る。

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.