これは、今も未解決の殺人事件をめぐる、不気味な体験を投稿者が語った話だ。
ある女性が以前借りて住んでいた一軒家。その場所は薄暗く、陰気な雰囲気が漂っていた。彼女は水商売に従事しており、その仕事場の寮としてその家に住むことになったのだが、入居してしばらくした頃から、いくつか不可解な出来事が起こり始めた。棚の上から急に物が落ちる、夜中にラップ音が聞こえる、ひとりでいるはずの家に人の気配がする。初めは気のせいかと思ったが、それが夜ごと繰り返され、次第に不安が増していった。さらに、体調も崩れ、どれほど薬を飲んでも回復せず、体は日に日に衰弱していく一方だった。やがて医者からの勧めで彼女は実家へ戻り、その家を去ることになったが、体調は嘘のように改善し、ようやく安堵の息をつけた。
だが、平穏は長く続かなかった。彼女が退去した後、その家には別の女性が入居することになったのだが、その新しい入居者が残忍な形で殺害される事件が起こったのだ。ニュースが報じられると、彼女は驚愕した。なんと、報道で流れた被害者の名前が、どのメディアでも彼女自身の名前として報じられていたのだ。テレビ、新聞、インターネット。全てのメディアが口を揃えたように、被害者の名前を「彼女の名前」として伝えていた。
「もしかして、本当の被害者は私だったのでは?」思わずそんな錯覚に囚われるほどの恐ろしさだった。混乱と恐怖で、しばらくはまともに眠ることもできず、頭の中では名前が呼ばれ続けるような気さえしていた。やがて、警察に報道の誤りを指摘したことで彼女の名前は正され、実際の被害者である女性の名前に訂正されたが、彼女の胸のざわつきは晴れないままだった。
彼女がその家で生活していたころ、すでに奇妙な体験は日常的に起きていた。例えば、夜中に突然テレビのチャンネルが変わる、寝室で人の影が立っているのが見える、かけたはずの鍵が朝には開いているなど、数え切れない不審な出来事が続いた。家に泊まりに来た友人も夜中に「誰かいる」と怯えて目を覚まし、二度とその家には泊まりたくないと言った。彼女自身、疲労と体調不良に麻痺してしまい、いつしかその異常を日常と受け入れてしまっていたのだが、今思い返すと、あの家はやはり何かに取り憑かれていたように思えてならない。
事件当時、彼女の働いていた水商売の店でも、大きな騒ぎになった。彼女も含め、店の人々は殺された女性を顔見知りとして知っていた。初めての仕事に慣れようと一生懸命だった彼女が、突然無惨な形で命を絶たれたのだ。あまりのショックで、一部の常連客は警察の事情聴取を受け、現場の写真を見せられた者もいたという。写真を見た者の中には、その惨状に耐えきれず仕事ができなくなるほど精神的に衰弱してしまった者もいたそうだ。
そして、事件の詳細もまた異様だった。殺害された女性は、夜中に店を出た後、駐車場に向かう途中で襲われ、無惨な状態で発見されたという。遺体は駐車場の車の下に隠され、全裸で、頭は石で潰され、目は周囲に散乱していたと報じられた。そのため、発見当時は身元の判別が難しく、報道での誤表記も発生したようだった。しかし、捜査員の説明によると、発見者が異様な「いびき」を耳にしたことが確認されており、即死ではなく、恐らく息絶える寸前だったのだという。
さらには、現場から被害者の住居にかけての道沿いには、彼女が着ていた衣服が一枚ずつ散乱しており、あたかも家に導くかのような形で置かれていたという話もあった。彼女はその話を聞き、恐怖と嫌悪に顔を強ばらせた。「自分の家に戻る」ための痕跡なのか、あるいは何者かが彼女の家を知っていることを示すための挑発だったのか、それは知る術もない。
事件から月日が経ち、ふと店での会話の中で「もしも間違えて、私が殺されていたら?」という冗談交じりの話が出るようになった。それを聞いて彼女は背筋が凍った。自分がその家を去った直後に彼女が入居し、そして犠牲になったという流れが、もし何か不吉な因果関係で結びついていたとしたら。事件の真相は通り魔として片付けられ、現在も犯人は捕まらず未解決のままだ。だが、彼女はあの家には何かがおり、それが彼女を呼び続けていたように思えてならないのだ。
かつて、彼女が家にいた頃、何度か姿を見たことがある「正座する男の影」が脳裏をよぎる。食器棚の前でじっと動かず、ひたすら彼女を見つめ続けるその影は、明らかにこの世のものではないと直感させた。彼女がその存在を知る以前から、あの家には何かが潜み、訪れる者の運命を狂わせてきたのかもしれない。
その後、彼女はようやくその家の呪縛から逃れ、体調は完全に回復した。だが、今も彼女の心の奥底には、家にまつわる重苦しい恐怖がわだかまっている。あの家で起きた奇妙な現象の数々が、実はすべて、彼女の命を狙う何者かの意図であったとすれば。
たとえ犯人が人の手であろうと、そうでなかろうと、彼女は二度とその家には足を踏み入れまいと誓っている。
[出典:665 :可愛い奥様:2009/09/24(木) 10:28:07 ID:kTg6SI6b0]