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幽霊をおちょくってはいけない~同人作家の恐怖体験 r+4481

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水谷という友人がいる。同人活動で絵を描いているやつだ。

俺はよくそいつのアパートに遊びに行っていた。遊びに行ったときは、買い物を代わりに済ませてやったり、ダラダラと過ごすことが多かった。そんなある日、久しぶりに別の友人、吉池を連れて水谷のアパートを訪れた。

雑談をしている中で、水谷が妙なことを言い出した。

「夜に一人でいると、誰か他にもいるような気がするんだよ」

俺たちは、「疲れてるだけだろう」と軽く受け流し、「少し休んだほうがいい」とアドバイスして、その日は終わった。

ところが、それから数日後、また吉池と一緒に水谷のアパートを訪れると、何か様子がおかしい。水谷がトイレに立てこもっているのだ。

「おい、水谷、大丈夫か?」

声をかけると、水谷はこう言った。

「本当に八代と吉池なんだな?間違いないんだな?」

俺たちが必死に説得すると、ようやくトイレから出てきたが、ひどく怯えている。事情を聞こうとしたが、水谷は「ここを出よう、早く!」と焦るばかりで、まともに話ができない。

仕方なく俺たちは水谷を連れて近くのファミレスへ移動した。落ち着いたところで、やっと水谷が話し始めた。

前の晩、水谷は色っぽいイラストを描くのに夢中になっていた。すると、台所のあたりで人の気配を感じたらしい。

「またか……」と、水谷は思ったそうだ。以前も何度か同じようなことがあったからだ。しかし、「疲れてるだけ」と自分に言い聞かせて、作業を続けていた。

すると突然、台所と部屋を仕切る引き戸が勢いよく開いた。水谷は背中越しにそれを感じたが、怖くて振り向けない。身動きが取れなくなっていた。

すると、背後から「ヌゥ……」と不気味な音とともに、何かが近づいてくる気配。そして、そいつは水谷の顔のすぐ近くに顔を突き出してきた。

そいつの顔は異様だった。目はぽっかりと空洞で、紫色に腐敗した肌。水谷は固まったが、なんとか体を動かせるようになり、玄関に向かって走り出した。

しかし、玄関の扉が開かない。振り返ると、例の化け物が部屋の中からじっと水谷を見つめている。

水谷は恐怖のあまりトイレに逃げ込んだ。トイレなら鍵がかけられると思ったからだ。鍵を閉めた瞬間、トイレのドアが凄い勢いで叩かれ始めた。

それが最後の記憶。気絶して目覚めたときには、俺たちが来ていた。

水谷の話を聞いても、俺と吉池はすぐには信じられなかった。「疲れが見せた幻覚だろう」と説得を試みたが、水谷は断固として「幻覚じゃない」と言い張った。

結局、その日は吉池の家に水谷を泊めることになった。水谷が「アパートに戻るのは絶対に嫌だ」と拒否したからだ。そして翌朝、明るいうちに水谷のアパートに戻ることにした。

翌日、俺たちは三人で水谷のアパートに戻った。明るい日差しが差し込む部屋で、俺と吉池は「ほら、何もいないじゃん」と水谷を元気づけようとした。

だが、水谷は怖がるばかりで、「もうこの部屋にはいられない。解約して出る」と言い張る。水谷には近くに親戚がいるらしく、そこへ避難することになった。

荷物をまとめる間も、水谷は怯えっぱなしだった。俺と吉池は、服やパソコン、原稿などを手早く整理していった。水谷が「原稿を忘れるな」と念を押すあたり、同人作家らしい一面も垣間見えた。

作業がほぼ終わり、部屋を出ようとしたそのとき。

「ドコッ!」

トイレのドアを内側から叩くような音がした。俺と吉池は凍りついた。

次の瞬間、水谷が叫びながらアパートから走り去った。俺と吉池も急いで荷物を持ち、後に続いた。誰もトイレの中を確認する気にはなれなかった。

それが水谷のアパートでの最後の出来事だった。

後日談

アパートを後にした俺たちは、結局ファミレスに集まることにした。
席につくなり、みんなで「いや、マジで怖かったな」「一体なんだったんだ、アレ」と口々に語り合った。
「こういうのって大抵、その部屋で亡くなった人が成仏できずに居座ってるパターンだよな。部屋を出たからもう大丈夫だろ」と、軽く結論をつけた。

だが、それは甘かった。

幽霊は部屋にいたわけじゃなく、水谷自身に憑いていたのだ。

数日後、水谷が親戚の家に泊まっていると、あの幽霊が現れたらしい。
寝ていた水谷の部屋のドアが、勢いよく開かれる音で目が覚めると、あの男が枕元に立っていた。
しかも、身体を前屈させるような不気味な姿勢で、水谷をじっと覗き込んでいたのだ。

水谷は恐怖のあまり親戚の寝ている部屋に逃げ込んだ。
だが、幽霊はついてきた。
変な声を発しながら水谷を追いかけ、親戚もその姿を目撃する羽目になった。二人そろって大絶叫。

これで水谷も観念した。御祓いするしかない、と。
幸い、親戚の母親が知り合いの祈祷師を紹介してくれた。

祈祷師の貝塚さんに会った水谷は、早々に厳しい一言を浴びせられる。
「お前、何を連れてるんだ!」

水谷が事情を説明する前から、貝塚さんはすべてを察していた。
見える人には見えるらしい。

幽霊が水谷に憑いた原因も判明した。
数週間前、水谷が別の友人と肝試しに行った心霊スポットで憑かれたのだ。

ただ、水谷の趣味嗜好からすると、せめて憑くならツンデレ系美少女の幽霊であってほしかったらしい。
「つ、憑いてなんかいないんだからね!」なんて言われれば、むしろ喜んでいたのかもしれない。

だが、実際についてきたのは《目が腐り落ちた男》。

全然萌えないどころか、最悪の恐怖。

貝塚さん曰く、この幽霊はかなり厄介な相手で、しかも怒り狂っているという。
その理由もまた皮肉だった。

幽霊が生前、恨んでいた相手が水谷にそっくりだったのだ。
明治時代に殺されたその幽霊は、自分を手にかけた人物に似た水谷を標的にしていた。

「でも、水谷みたいなオタクが明治時代にいるわけないだろ」と、俺たちは呆れつつも笑った。
幽霊は怒りのあまりそんなことに気づく余裕もなかったのだろう。

さらに驚いたのは、貝塚さんがその幽霊の生前の情報を正確に語り当てたことだ。
「この幽霊は、明治時代に○○という土地で○○という仕事をしていた」

その土地の名前や職業がすべて実在していたことが後からわかった。
しかも、その土地は偶然にも水谷の父方の地元だった。

心霊スポットからは何百キロも離れた地で、なぜその幽霊がそこに現れたのかは謎だった。
ただ、幽霊が殺された場所がその心霊スポットだったという話を聞くと、何となく納得はできた。

水谷は御祓いを受け、なんとか解放された。
だが、もう二度と心霊スポットには行かないと誓い、夜も電気をつけたまま眠るようになった。

補足:続・怪異の連鎖

一方で、水谷の弟子にあたる二宮も、不穏な出来事に巻き込まれていた。
二宮は趣味に全財産をつぎ込むタイプで、安さ優先で曰く付きの部屋に住んでいた。

最初は些細な物音や気配が気になる程度だった。
だが、半年が経つころ、ついに姿を見てしまった。

ある夜、二宮が作業中に寝落ちしてしまい、深夜に目を覚ますと、部屋の隅に立っている何かを発見した。

「首が長ぇ……」

髪はボサボサ、首は異様に長く、目玉が飛び出しかけている。
その姿を見て、二宮は「こっち見んな!」と思いながらも、動かずそのまま寝てしまった。

「動いたら負けだ」と本能で悟ったらしい。

しかし数日後、風呂場で再び現れた幽霊に追い詰められる。
二宮は悲鳴を上げ、幽霊は消えたが、引っ越しを決意。

必死にバイトして資金を貯め、なんとかその部屋から脱出した。
今は新居で平穏な日々を送っている。

だが、彼はこう言う。
「幽霊を馬鹿にしちゃダメだ」

[出典:2008/02/28(木) 22:40:13 ID:OTMA2iT+0]

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