短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚 n+2026

特定した。ありがとう nc+

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暇つぶしに、スマホで出会い系サイトを眺めていた。

特に目的があったわけじゃない。ただ、なんとなく流し見していたプロフィールの中に、見覚えのある顔があった。

写メを見た瞬間に分かった。
中学時代の同級生、Sだ。

髪型も目元も、当時とほとんど変わっていない。
HNや趣味欄は適当だったが、居住地が△△市になっている。私の地元だ。

偶然にしては出来すぎている。

懐かしさが勝って、貼られていた捨てアドにメールを送った。

私「Sだよね?覚えてるかな。中学で一緒だった○○だよ」

数分も経たないうちに返事が来た。

S「○○ちゃん?うわ、懐かしい!」

やっぱり本人だ。
一気に距離が縮んだ気がして、私はそのまま会話を続けた。

私「あのサイトで見つけてびっくりしたよ。全然変わってないね」

S「そんなことないよ。今は学校通ってるだけだし」

私「もしかして□□大学?家近かったよね」

S「そうだよ」

私「すごい。中学の頃から頭良かったもんね」

S「いやいや。最近は裏の道路が工事中で、うるさくて集中できない」

私「裏の道路って□□通り?」

S「そうそう。なんか新しい店できるみたい」

私「そっか。コンビニの隣、ずっと空き地だったもんね」

S「○○ちゃん、よく覚えてるね」

私「だってSの家、よく遊びに行ってたじゃん。
中学も近かったし、隣の公園で授業サボってアイス食べたの覚えてる?」

画面の向こうで、Sが笑っている気がした。

次のメールが届いたのは、そのすぐ後だった。

短い一文だった。

S「特定した。ありがとう」

一瞬、意味が分からなかった。

何を。
誰を。

慌てて返信しようとして、手が止まった。

その直後、スマホが震えた。
非通知の着信。

画面を見つめたまま、私は出られなかった。

頭の中で、さっきまで自分が打っていた文章が、順番に反転していく。

住所。
通学路。
裏の道路。
公園。

――私は、何を教えた?

着信は切れた。

それ以来、Sのプロフィールは見つからない。
検索しても、名前を変えても、同じ写真は二度と表示されなかった。

ただ、地元の□□通りには、今も新しい店が建つ気配はない。

工事の音だけが、ずっと続いている。

[出典:184 :本当にあった怖い名無し:2010/10/19(火) 00:11:13 ID:fx4j6JQ10]

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