暇つぶしに、スマホで出会い系サイトを眺めていた。
特に目的があったわけじゃない。ただ、なんとなく流し見していたプロフィールの中に、見覚えのある顔があった。
写メを見た瞬間に分かった。
中学時代の同級生、Sだ。
髪型も目元も、当時とほとんど変わっていない。
HNや趣味欄は適当だったが、居住地が△△市になっている。私の地元だ。
偶然にしては出来すぎている。
懐かしさが勝って、貼られていた捨てアドにメールを送った。
私「Sだよね?覚えてるかな。中学で一緒だった○○だよ」
数分も経たないうちに返事が来た。
S「○○ちゃん?うわ、懐かしい!」
やっぱり本人だ。
一気に距離が縮んだ気がして、私はそのまま会話を続けた。
私「あのサイトで見つけてびっくりしたよ。全然変わってないね」
S「そんなことないよ。今は学校通ってるだけだし」
私「もしかして□□大学?家近かったよね」
S「そうだよ」
私「すごい。中学の頃から頭良かったもんね」
S「いやいや。最近は裏の道路が工事中で、うるさくて集中できない」
私「裏の道路って□□通り?」
S「そうそう。なんか新しい店できるみたい」
私「そっか。コンビニの隣、ずっと空き地だったもんね」
S「○○ちゃん、よく覚えてるね」
私「だってSの家、よく遊びに行ってたじゃん。
中学も近かったし、隣の公園で授業サボってアイス食べたの覚えてる?」
画面の向こうで、Sが笑っている気がした。
次のメールが届いたのは、そのすぐ後だった。
短い一文だった。
S「特定した。ありがとう」
一瞬、意味が分からなかった。
何を。
誰を。
慌てて返信しようとして、手が止まった。
その直後、スマホが震えた。
非通知の着信。
画面を見つめたまま、私は出られなかった。
頭の中で、さっきまで自分が打っていた文章が、順番に反転していく。
住所。
通学路。
裏の道路。
公園。
――私は、何を教えた?
着信は切れた。
それ以来、Sのプロフィールは見つからない。
検索しても、名前を変えても、同じ写真は二度と表示されなかった。
ただ、地元の□□通りには、今も新しい店が建つ気配はない。
工事の音だけが、ずっと続いている。
[出典:184 :本当にあった怖い名無し:2010/10/19(火) 00:11:13 ID:fx4j6JQ10]