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短編 怪談

大雪の夜

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大学時代に土方の日雇いアルバイトをしていた時、現場の社員の人(確か三十歳くらいだったと思う)から聞いた話。

507 名前::あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/08/11(土) 04:42

その人(仮にAさんとしておく)が、まだ新人で入ったばかりの頃、会社の社員寮に入った。

その部屋は四畳半の一人部屋で、それまでは長い間空室だったらしい。

Aさんが長く寮に暮らしている先輩に聞いたところでは、その部屋に以前住んでいた社員(Bさん)は現在は会社を辞めたらしい。

その辞めることとなった理由が奇妙なもので、前夜に大雪が降った朝、なかなか起きてこないBさんを起こしに同僚が部屋に行ってみると、なんとBさんは布団の上で両足を骨折し、両肩が脱臼。

そして焦点の定まらない瞳をしきりに動かし、小さく何事かをうめきつづけている、つまり気の狂った状態で発見されたらしい。

至急病院にかつぎこまれたBさんであったが、結局回復せずに退社となり実家に引き取られていったそうだ。

なぜ布団の上でそんな大怪我をおい、気が触れた状態になったのかはわからずじまいとなった。

そんな君の悪い事件のあった部屋だが、Aさんが入寮して何も起こらずに九ヶ月がたち、すっかりそんな話も忘れかけていた。

そんな一月のある夜。

関東地方では久しぶりの大雪が降った。

Aさんはいつものように、布団で寝ているとふと目が覚めた。

気が付くと、両手両足になぜか痛みを感じる。

その痛みは徐々に大きくなっていき、もの凄い痛みとなってきた。

Aさんは助けを求めようと布団から起き上がろうとしたが、なぜか体が布団に釘付けされたように動かない。

叫びたくても声も出せない。

さらに奇妙なことに、自分の短く刈り込んだ髪の毛が引っぱられるような痛みとともに、どんどんと伸びていくのが感じられる。

額に脂汗を浮かせ、痛みにこらえながらも暗闇に目が慣れてきた。

ふと目を痛む手足に向けると、身長三十センチくらいの小人が、それぞれ四人ずつくらいで自分の四肢をつかんで引っぱっている姿が見えた。

そして、引っぱられるごとに手足は、壮絶な痛みを伴いながらどんどん伸びていく。

髪の毛は顔が隠れない形で二手に分けられ、その先端に小人が一人ずつついて引っ張りどんどん伸びていく。

Aさんは完全にパニックに陥り、襲い掛かる痛みに中で自分もBさんのような姿になってしまうのかと思い、泣き出しそうになった。

髪の毛が腰のあたりまで伸び、両足が布団の先の壁ぎわに置いてある本棚のあたりまで伸びた時だった。

窓の外で、ドサリと屋根から雪が落ちたような音を聞いた。

その途端に痛みが引いたような感じがし、直後に気を失った。

気が付くと朝になっていた。

体の自由は戻っており痛みもない。

「夢だったのか・・・」

「それにしてもリアルで恐い夢だったな」

と思いながら、布団から起き上がると、床には前日まではなかった大量に長い髪の毛が散らばっていた。

長さは丁度自分の腰くらいまでのものである。

その日以来、Aさんは先輩に無理矢理頼み込んで、相部屋をさせてもらった。

現在その寮があった場所は駐車場となり、すぐ近くに新しい寮ができているそうだ。

たいして恐くなくてスマソ。

こんな体験談をAさんはみんに話してくれたのだが、土方現場には男ばかりでその時は大して盛り上がりもしなかったが、臆病な俺はその日の帰り、真っ暗な道を一人で自転車を走らせている時に思い出してしまい、メチャクチャにかっ飛ばして帰りましたよ。

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