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短編 山にまつわる怖い話

変わった登り方をする人【ゆっくり朗読】

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ちょっと前に彼女と一緒に筑波山に登ったんだよね。

271 :1/3:04/02/27 18:40

お互いに週末が休みじゃない仕事なんで、
「平日だからすいてていいね」なんて話しながら登りはじめたんだけど、
日頃の運動不足がたたって喋るのがきつくなり、
そのうち二人とも話をしなくなって、ただ息を切らしながら淡々と登っていった。

俺が前を歩いて彼女が後ろからついてくるって感じで。

たしかに平日の山道はあまり人がいなかった。

結構早めの時間に登り始めたこともあって、下りて来る人とはほとんどすれ違わなかった。

そんななかで一人、同じ道を登っている登山者がいたんだよね。

大学生くらいの若い男の人で、青いジャージに登山靴を履いて、背中になんていうの、金属のフレームのついた大きなリュックみたいな奴を背負ってた。

その人の歩き方っていうか上り方が変わっててさ、ちょっと登ってはまた戻ってきたり、わざわざ大きな岩によじ登ったり、藪の中に入っていったり。

登山部で訓練でもしてるのかなーって思ってた。

その人が最初に俺たちを追い抜いていったときに、小さな声で「こんにちは」って言うのよ。

山ですれ違うとみんな挨拶するでしょ。

それでオレも「こんにちは」って挨拶をして、その変わった登り方をする人を後ろから見ていた。

その人は行ったりきたりしている割には歩くのが早くて、すぐに見えなくなった。

俺たちは相変わらす黙ったまま必死になって登っていたんだけど、ふと耳元でまた「こんにちは」って聞こえた。

ちょっとドキッとしたんだが、オレも「こんにちは」って挨拶し返してみると、先に登っていったはずのさっきのリュックを背負った人が、また追い越していくわけよ。

一瞬「同じ登山部の人かな」って思ったんだけど、どう見ても同じ人。

ま、変な登り方をしていた人だったんで、途中で道を外れていた時に俺たちが追い越したのかなと思い、その時はあまり気にせずにまたうしろ姿を見送った。

で、見えなくなったとたんにまた「こんにちは」

今度はあせった。

わき道にそれていたとしてもちょっと考えられないくらいのタイミングで、また後ろから追い越していくんだよ。

ちょっとだけ怖くなって、彼女のほうを振り向いてみたんだけど、何も気にしてない様子で、足元を見て息を切らしながら歩いている。

気味が悪くなりながらも、またその男のうしろ姿を見送りながらひたすら登り続けた。

ちょっと開けて休憩できるようになっているところに出たんで、そこで座って休む事にした。

そこで彼女に言ってみたんだよ。

「大きなリュック背負った人いたじゃん、あれ何やってるんだろうねー」

そしたら彼女は、
「え、そんな人いた?さすが休日だから一人もいないなーって思いながら歩いていたんだよー」

これ以上彼女に言えませんでした。

そのあと頂上につくまではもうあの男の人には会わずに、登頂してからもあまり長居せずにすぐにケーブルカーで下山しました。

全然幽霊っぽくなかったし、普通の人に見えたんだけどなぁぁぁ……

真昼間だったし。

あの人はなんだったんだろう。

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