かつて、私は久しぶりの合コンに参加した。
その日は本当に楽しく、何と言っても、一日で彼女ができたことが最大の収穫だった。
彼女の名は美香、彼女とはすぐに意気投合し、その夜遅くまで私の部屋で話し込んでいた。
しかし、突然彼女は「用事があるから帰る」と言い出し、部屋を出て行こうとした。
まだ話したい気持ちでいっぱいだった私は、彼女に部屋の合鍵を渡し、いつでも来ていいと伝えた。
その後、彼女は去っていき、私は一人で飲みながら、眠りについた。
眠る前に、ドアのチェーンがかかっていることを確認したのを覚えている。
翌朝、私は遅くまで眠り続けていた。
目覚めると、驚くことに、美香が部屋にいた。
彼女は「まだ寝ていたのね。
朝ごはんを作ってあげる」と言って、台所で料理を始めた。
私は、こんなにも思いやりのある彼女ができたことに感謝しながら、美味しい朝食を楽しんだ。
しかし、その時、私はあることに気付いた。
前夜、寝る前にドアのチェーンを確実に閉めたはずだ。
にもかかわらず、美香はどうやってチェーンがかかったドアを通り抜けて部屋に入ってきたのだろうか?不安と疑念が頭をよぎり、私は決心した。
もう彼女とは関わらないことにしよう。
彼女の存在には、どこか不可解で説明がつかない部分があった。
それが何を意味するのか、私には分からなかったが、安全を考えると、距離を置くのが賢明だと思ったのだ。
解説
この話の核心は、主人公が寝る前にドアのチェーンを確認しているにも関わらず、翌朝、彼女が部屋にいたという矛盾点にあります。
「チェーンを確認して寝た」という事実があるにもかかわらず、彼女が部屋に入ることができたというのは、物理的に不可能なはずです。
この不可解な状況から、物語は2つの可能性を示唆しています。
一つ目は、彼女が何らかの超自然的な存在、例えば霊のような存在である可能性です。
しかしこの解釈は、彼女が実際に朝食を作るなど、現実的な行動をしていることと矛盾します。
二つ目は、物語において「チェーンがかかっていなかった」という情報が省略されている可能性です。
つまり、主人公がチェーンを確認した後、何者かがそれを外し、彼女が部屋に入ることができたのかもしれません。
これが事実であれば、彼女が何かしらの犯罪者である可能性も否定できません。
この物語は、表面的には単純な恋愛話のように見えますが、実際には読者に深い疑問と恐怖を抱かせる、巧妙な謎解きを秘めています。
主人公が彼女との関わりを避けた決断は、この不可解な状況に対する直感的な反応であり、理にかなっていると言えるでしょう。