もう息子がこの世を去ってから、はや3年が経つ。
私の息子は、残忍な方法で命を奪われた。
彼の身体は包丁でめった刺しにされた状態で発見された。
その当初、犯人が誰なのかは謎に包まれていた。
警察は手掛かりを求めて奔走していたが、事件の解決は簡単ではなかった。
しかし、事件発生から2週間後、ついに犯人が逮捕された。
犯人は隣に住む一人暮らしの男だった。
彼の家の庭から、息子の血が付いた包丁が発見されたのだ。
この逮捕に、私はやっとの思いで安堵の溜息をついた。
警察の遅さにいら立ちを感じていた私にとって、この逮捕は待ち望んだ結果だった。
この男は、事件の冷酷さと惨忍さから死刑を宣告された。
しかし、こんな判決が下されても、私の息子が報われるわけではない。
もし今、私に願いが一つだけ叶うのなら、間違いなくこの犯人を生き返らせるだろう。
なぜなら、私は彼に息子が味わった痛みと同じ苦しみを与え、この手で彼を殺してやりたいからだ。
解説はこの下にあります。
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解説
この物語の核心は、父親が犯人を生き返らせたいと願っている点にあります。
なぜ彼は殺された息子を生き返らせることを考えないのでしょうか?これは、物語の隠された真実を示唆しています。
語り手が「やっとか…」と安堵の溜息をついていることに注目します。
事件発生からわずか2週間で犯人が逮捕されたにもかかわらず、彼は安堵している。
通常、一刻も早く真犯人が捕まってほしいと願うのが普通です。
しかし、彼の言葉からは、「隣の男に罪をなすりつけたのに、なぜまだ警察は見つけられないのか」という苛立ちが読み取れます。
また、男の庭から血の付いた包丁が見つかること自体が不自然です。
通常、犯人は証拠を処分しようと考えるはずです。
このことから、真犯人は実は父親であり、隣の男に罪をなすりつけた可能性があります。
そして、彼は2週間もの間、罪の重圧に苛まれていた。
その結果、生き返らせて再び同じ苦しみを与えたくなったのかもしれません。
これは父親の狂気と罪悪感を示唆する深い物語であり、表面的な内容とは異なる恐ろしい真実を秘めています。