短編 怪談

おぶってきたご先祖さま【ゆっくり朗読】1400

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ある女性歌手が子ども時代の、実家だか爺婆ちゃんの田舎だかでのお盆ときの話。

2011/08/09(火) 12:45:30.82 ID:Og9yM+7x0

地方なので、家々のまわりの畑や田んぼの中に、先祖代々の墓があるような土地。

そこのお盆の風習で、集まった親戚の中で一番年少者が、夜、提灯を持って一族の墓の前に行き、墓石に背を向けてしゃがみ、ご先祖の霊を『おんぶ』してから家に連れて戻ってくる儀式があるそうだ。

で、彼女がその役目の年、ろうそくの火がついた提灯だけを頼りに恐さを我慢して家を出発。

するとお墓の手前で火が消えてしまい、恐くなってそのまま引き返してしまった。

どうせ誰も見ていないから、儀式通りにお連れしたことにした。

そして、仏壇の前に『おぶってきたご先祖』をおろす動作をしてみせ、儀式終了。

周りの大人たちは、ご先祖を囲んだ食事会の用意にとりかかったが、仏壇の前に座っていたお婆ちゃんが、

「今年はご先祖様、帰って来ないね」とつぶやいたそうだ。

(了)

 

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