短編 山にまつわる怖い話

さえもん小屋の怪【ゆっくり朗読】3500

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怖くないけど子供の頃の話を。

今では山荘も雪崩か何かでぶっ壊れてしまったが、宮城県に『かもしか温泉』って場所がある。

気になって検索してみたら今でも温泉はこんこんと沸いてるらしく、野湯好きなんかが行ったりしてるみたいだ。

記憶では、古い木造校舎程の結構でかい建物だったと思う。

1970年代、その山荘が健在だった頃、若い頃はワンゲルやってた叔父に連れてってもらった。

相当きつい行程を歩いた記憶があるが、当時は山荘も生きていたので道もしっかりしてたし、荷物は先に荷物搬送用のロープウェイで送れた。

俺もちびっ子だったから体力がきつかっただけで、叔父にしてみれば子供連れで行ける無難なハイキングだったんだろう。

山荘から蔵王を見上げちょっと上った所に当時は小屋があって、由来は知らないけど『さえもん小屋』と呼ばれてた。

夜、叔父が雪割りしたウイスキー飲みながら、

「あのさえもん小屋にだけは、夜は絶対近付くな」

と言ってきた。

なんでも、さえもん小屋には正体不明の4人の幽霊?が出るらしく、見ると祟られるのか精神的におかしくなって鬱病みたいになるんだそうな。

怖がりだった俺はそんな所行くもんかと思ったし、実際その数日何か見た訳でも体験した訳でもない。

なんでこんな事書くのかと言えば、最初に書いたけどその山荘はもう無い。

あんなでかい山荘がぶっ壊れた位の雪崩だし、その小屋も無いと思う。

ただ言い換えれば目印が何も無い訳で、覚えている限りでは、その今でも人がたまに入りに来る野湯と化した露天風呂の近くだったと思う。

その割とマニアには有名らしい野湯は、当時から野湯ではあったので、別に山荘の露天風呂設備が残ったと言う訳ではない。

あんな忘れられた山の野湯、物好きでなければ入りに行かないと思うが、

『もし行くのなら、夜には湯の近辺ウロウロしない方がいいぞ』

とどこかに書いておきたかったのだ。

霊に詳しい訳じゃないので、そういう霊が小屋が無くなったらどこか行くのか、今でもそこにいるのかは知らないけどね。

ちなみに叔父は坊さんである。

その時に叔父はこう言ってた。

「あれはちょっとやそっとで祓えるタマじゃない、百年は祟る」

今にして思えば、何でそんなのが出るのか聞いておけば良かったよ。

かもしか温泉

かもしか温泉(かもしかおんせん)は宮城県柴田郡川崎町にある温泉。
建物はなく、源泉を溜めた野湯がいくつかある。かつては、かもしか温泉白雲山荘という山小屋があったが、1980年の大規模な泡雪崩により建物は崩壊した。
昭和53年(1978年)の宮城沖地震で山の形が変わったのが原因の一因と報道されている。

さえもん小屋

左エ門小屋は、東北大学が設置してる避難小屋。
2014年に改修が完了されている。
小屋の名前は、近くを流れる「左エ門沢」からとっている。

(了)

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