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嘆く声|大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談31

更新日:

第31話:嘆く声

私は二十三歳の女性です。

これからお話する事は、あまり思い出したくないのですが……

私はあの夜、長年つきあっていた彼と大ゲンカをしてしまいました。

行き場がなくなった私は、車で友達の家に向かいました。

その友達には感謝しています。

私のグチを、とことん聞いてくれましたから。

そんなこんなで、夜もふけてきたので、私は帰る事にしたのです。

「泊まってけば?」

友達は私に優しく言ってくれましたが、明日は仕事に行かなければいけません。

それに、友達と私の家はずいぶん離れていました。

「ありがとう、でも帰るわ」

そう言って車を出したのは、夜中の二時でした。

早く帰ろうという気持ちもあったのですが、泣き疲れもあったせいでしょうか、運転中に眠くなってしまったのです。

だんだん目がかすんできました。

「やばいかなぁ……」

私は車の運転に自信がなくなってきました。

そこで、車をどこかに止めて休憩することにしました。

国道から外れた道に入り、少し道幅の広くなっているところで、車を端に寄せて止まりました。

夏の終わりに近く、少し肌寒い季節だったので、エンジンをかけっぱなしにしていました。

「アイツめ、もう絶対電話してやらないんだから……別れてやる!」

友達の家で晴れはずの怒りが、またフツフツと込み上げてきました。

それは憎しみにも似たものでした。

そんな風に一人、狭い車内で怒っていると、急に寂しさがこみ上げてきてしまいました。

私はその寂しさをフォローするかのようのように、カーステレオのスイッチをONにしました。

シートを倒し、目をとじます。

やがてテープが最後までいったのでしょう。リバースモードになって、裏面の曲が流れ始めました。

まるで私の傷心を嘲笑うかのように、甘いラブソングが流れています。

いくら目をとじて眠ろうと思っても、その音楽が気になってしまいます。

少し耳障りなので、ステレオを消そうと思いました。

その時、バチバチとスピーカーに雑音が入りだしたのです。

「おかしいなぁ。このテープ、悪くなったのかな……」

そう思ってテープを出そうとすると、スピーカーから、明らかに歌の歌詞ではない言葉が聞こえます。

「人の声だ……」

私はそう思いました。

よく聞き取れないので、音量を上げました。雑音がさらにひどくなります。

その雑音に混じって聞こえてくる声は、男性の声でした。

その時のテープは、女性シンガーのアルバムを録音したものだったので、男性の声は入っていないはずでした。

始めはよく聞き取れなかったその声も、だんだんはっきりしてきたので、耳を澄まして聞いていました。

それは、つぶやくような声です。

「そうかぁ……仕方ないなぁ……」

と繰り返しています。

カセットテープは回り続けているので、ラジオではありません。

不気味に思い、とりあえず電源を切ってみようと思いスイッチに触ろうとした時です……

「殺るしかねぇよなぁ。姉ちゃん……それでいいんだろう?アンタの心だもんな……そうか……憎いかぁ……フフフ……わかったよ……フフフ……」

という声がはっきりと私の耳に入ってきたのです!!

大きな音と共に、カーステレオの電源は切れてしまいました……

私の眠気は、ここで完全に吹っ飛んだ事は言うまでもありません。

その最後に聞こえた、バシッという音ですが、しばらく耳が痛いほどの大きな音でした。

その一瞬の出来事を、私はとても不思議には思いました。

しかし、その変な音と声よりも、ステレオの故障が気になったのです。

私は確かめるためにもう一度、ステレオのスイッチを入れてみました。

不思議な事に、普通にテープはプレイされ、故障している様子はありません。

同じテープを繰り返し聞いても男性の声は入っていませんし、変な音も聞こえません。

恐いというよりも、いったい何だったんだ!?という感じでした。

私は、この出来事のせいで目も覚めたこともあり、首をかしげながら高速道路に入りました。

そして、家まで無事に着くことが出来たんです。

ホッとしてベッドに寝ころがっていると私の携帯電話が鳴り響きました。

「こんな夜更けに誰だろう……アイツだったら……」

そう思いながら、携帯電話の向こうの誰かに返事をしました。

「はい、もしもし……」

しばらくしても相手は何も言いません。

なんだか雑音が聞こえます。

「あの……もしもし?K男なの?」

繰り返し返事をします。

すると、

「よお、姉ちゃん。思ったとおりになったぞ。フフフ。タマシイもらった」

と、あのカーステレオの男の声がして、それっきり電話はプツリと切れてしまいまいた……

私は本当に嫌な予感がしたので、彼に電話をしてみる事にしました。

何度も電話が鳴っています。

10回目くらいで誰かが電話口に出ました。

「あ、K男?私だけど……」

しかし、彼の携帯電話に出たのは彼の母親でした。

「Mちゃん?K男が……K男が、高速道路で事故にあって……ウウウウ……」

電話の向こうで泣き崩れるK男の母の声を聞きながら、私は何か冷たいものが胃の中にこみ上げてくるのを感じていました。

そして、私は心の中でつぶやきました。

「……私が望んだからなの?」

[出典:大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談~]

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