短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

幻聴が聞こえる【ゆっくり朗読】

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同僚の話

580 :本当にあった怖い名無し:2023/06/16(金) 11:17:41.96 ID:+00WC52Q0.net

童顔の可愛い系の先輩がいて陰で不思議ちゃんって呼ばれてた。

仕事は早くて正確だし真面目で面倒見もいいのにどうしてって思ってたけど。

しばらくして奇行が目につくようになった。

話しかけてないのに『えっ』って聞き返されたり。

鳴ってない電話に出て『いたずら電話でした』って言ったり……

私が引いていってるのに気づいたらしく早めに『幻聴が聞こえる』ってカミングアウトしてくれた。

病院で調べてもらったけど耳にも脳にも異常は見つからず困っているらしい。

それからはお互いに仕事をサポートし合うことが多くなった。

先方の連絡待ちで2人で残業して暇してた時、先輩の幻聴の話になった。

生まれつきのものじゃなく症状が現れたのは2、3年前で、きっかけはおばあさんとの同居だった。

先輩は、お父さん・お母さん・先輩の3人暮らしだったんだけど。

同居が急に決まりおばあさんの部屋には客間を充てがった。

はじめにおかしくなったのはお母さん。

ある日、掃除をしていたらおばあさんの部屋の襖越しに会話が聞こえてきた。

どうやら友達が来ているらしい。

玄関から入ったのなら気づくはずだから裏庭を通って縁側から入ったのだろう。

行儀が悪いし防犯の面から見ても良くないので夕飯時にやんわりと注意した。

何日か後にまた襖越しに会話が聞こえた。

嫌味のつもりでお茶を2つ用意して襖を開けるとおばあさん1人しかいなかった。

それから幻聴がひどくなっていった。

電源の入っていないテレビから延々と音がしていたり。

歩いていてクラクションがしたので振り返っても車どころか人影すらなかったり……

あまりに酷いのでお母さんはお父さんと先輩に相談した。

それから2人も幻聴を聞くようになったらしい。

同じ音を聞くなら別の解釈もできるが。

聞いている音もタイミングも三者三様で幻聴としか思えないと溜息をついた。

『どちらのおばあちゃんなんですか』

ふと気になったので尋ねてみた。

『どちらのでもないの、知らないお婆さん』

先輩が困った顔で答えた。

額縁が落ちた音ってわかる人いるかな、スコーンっていうやつ。

あれが背後でしてびっくりして振り返ったけどそれらしいものがなくて。

先輩に確認したら自分は聞こえなかったって。

それ以来、先輩とはプライベートの話をしていないから今のところ多分無事。

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