友達と遊んでて本当に怖いのは人間なんだって痛感した
友達と二人でメシ食って別れてすぐ、その友達から電話きたんだよ。
俺の車に仕事服忘れたから取りに行くわって。
で、別れた場所から俺ん家近かったから友達もすぐに来たんだよ。
そしたら友達が、なんか変な人いたんだけどって言うわけだ。
俺ん家は国道から脇道に入った住宅街で、街灯はあるけど人通りは夜になると少ないんだよ。
俺は酔っ払いじゃないか?って言ったんだけど友達いわく、あれは酒じゃなくて薬っぽいって。
詳しく聞いたら腕をぐちゃぐちゃにブンブン振り回しながら奇声発して、ドブにぶちこけながら同じところをずっと走ってたと。
俺も今の家に5年近く住んでるが、そんなやつ見たことなくて普段なら酔っ払って歌歌ってるじいさんがいるくらいなんだよ。
で、結構でかいドブがあるから、そこに落ちてたら危ないぞ見に行くかってなって、そいつを目撃した路地まで車で行ったんだよ。
車でゆっくりそいつがいたとこ行ったけど、誰もいなくてさ。
友達に幽霊でも見たんじゃないか?って冗談で言ってて、ちょっとドブ見てみようぜって車降りてiPhoneのライトで照らしながら捜索したんだよ。
したら、ドブにデカイ丸太みたいなのが転がってて、二人ともうわぁっ!つってビビってさ。
笑いながら車戻って別の路地入ってみたんだが、やっぱり誰もいねえの。
まあ、明日も仕事あるし帰るかってなって、空き地で車まわしたんだわ。
で、ゆっくり徐行しながら来た道戻ってたら友達が
「来た来た来た来た!後ろ後ろ!」
つって、アクセル踏み込んだから助手席からサイドミラー見たら、後ろから男が全速力でなんか言葉なのかなんなのかわからないの叫びながら、腕振り回して全速力で追いかけてきてんの。
で、うわぁぁああああああ!つって、友達と二人であれなんだよ!って国道に出ようとしたんだが、信号が赤で止まらざるを得なくて道それて、また近くの空き地に入ってエンジン消して息ころして隠れたんだよ。
したらさっきの男がハアハア言いながらなにか探してんの。
もうそのなにか探してる様見たらあああれは酔っ払いじゃないなって。
薬なのかハーブなのかとりあえず頭がイッてるやつだと。
で、ちょうど信号が青になったのが空き地から見えたからエンジンかけて、国道沿いのTSUTAYAに逃げ込んだんだ。
友達と二人で、とりあえず息整えて、あれはヤバイなとか、俺の家の近所なんだが歩いて帰りたくないからこのまま車で送ってくれよつって、コンビニで飲み物買ってちょっと時間置いてまた国道から脇道に入ったんだよ。
したら、まあ、さっきのやつはいなくて。
ただ、いつ路地から飛び出してくるかわからないから、気をつけろよと。
んで、俺の住んでるアパートの前で降ろしてもらおうとしたら、また前から走ってきてんだよそいつが。
なんか家バレたらヤバイと思って、友達にバックしてとりあえずまた空き地入れ!つってUターンでまた別の空き地に入って隠れたんだ。
もう二人ともやべーやべーって笑けてきてさ。
ただ内心は心臓バックバクでビビり倒してんだわ。
したらさすがに車覚えられてたのか、もう完全にバレバレで、走ってこっちに一直線で向かってきてるの。
ただもうなんか二人とも気が動転してたのか、隠れるのに必死で息ころしてじっとしてるしかできなくて、そいつが車の後ろに立ってなんかしてるの見てるしかなかった。
まあなんかしてるっつうか、完全に立ちションしてんだわ、なんかゴニョゴニョ言いながら……
友達も俺も、あまりの出来事にえ?え?ってなって、固まってた。
で、そいつションベン終えると友達の車の後ろの窓に何か書いて、運転席の友達ジーっと見てまどにベッタリくっついてハアハア言って走ってどっか行ったんだ。
走り去って行ってからも俺ら二人は、5分くらい固まってて「何だよあれ、何書いてたんだよ」ってなって、とりあえず車降りて確認したんだよ。
したら友達の車のナンバー書いて、漢字一文字『覚』って書いてんの。
ただションベンは、車の近くにしただけでかけられてはなかったみたいだった。
もうその『覚』って漢字に鳥肌たってさ。
なんか二人ともどっと疲れて、その後は家に送ってもらって気をつけろよ!つって解散した。
もう今日から家のチェーンロックもするし、涼しいから窓も開けて寝てたんだけど、閉めるようにして、夜はあまり出歩かないでおこうと誓った。
5年住んでて初めてあんなやつ見たんだが、まあ確かに俺ん家の周りは右寄りの人とか引退した組長さんとか多いらしいから、薬関係が濃厚じゃないかと思う。
みんなも涼しくなったからって、あんまり深夜徘徊したらホントに危ないやつに出くわすかもしれないから気をつけろよ!
今回車だったからいいけど歩きだったらと思うと……
ちなみに高知な。
(了)