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忘れられた写真と未来人の謎 r+2977

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ある日、うちの本家の祖父が亡くなる少し前に、「俺は未来人を見たことがあるんだ」と話し始めたことがあった。

祖父も高齢だったので、周囲は「もうボケたのではないか」と思ったが、実際には精神的な衰えはなく、健康状態も悪くなかった。彼が亡くなった原因は心筋梗塞で、認知に問題があったわけではない。

祖父の話に家族は誰も真剣に耳を傾けなかったが、私は違った。当時私はまだ幼く、祖父に非常に懐いていたので、しばらくしてから「未来人」の話を詳しく聞きに行った。

祖父の説明によると、

- 子供の頃に近所で一人で遊んでいたときに出会った。
- 服装も髪型も当時の基準からすると非常に洗練されていて、異様な印象を受けた。
- カメラを携帯しており、周囲の風景を撮影していた。
- 初対面にもかかわらず祖父に「君は伊勢蔵だね」と名指しで呼んできた。

ということだった。

私も幼い頃に聞いた話で細部までは覚えていないが、祖父はその「未来人」が、当時見たことのないような服を着ており、持っていた不思議な黒い塊が後に「カメラ」だと分かったと話していた。これらの点から「未来人だったのかもしれない」と思うようになったようだ。

祖父がその「未来人」に遭遇したのは大正初期であり、祖父が未来人だと確信したのは昭和後期に至ってからだった。私はその話を聞いて子供心に「祖父はすごい体験をしたんだ」と感動したが、特に未来に関する予言などがなかったので、少しがっかりしたのも覚えている。

数年後、祖父は亡くなり、そのままこの話は忘れ去られた。さらに十数年後、今度は祖母(祖父の妻)が亡くなった。うちの本家は田舎にある古い家で、名家というほどではないが、それなりに長い歴史を持つ家だった。祖母の死後、屋敷や蔵の片付けをすることになった。

本家の屋敷は築150年ほどで、中には無駄に古くて何の価値もない物が大量に残っていた。無銘の日本刀や骨董価値のないがらくたばかりだった。その中で、祖父と祖母の部屋から大量のアルバムが見つかった。兄弟ごとにまとめられたもので、祖父の子供たち(私の父たち)の成長や、それぞれの家庭の写真が収められていた。

私も自分の家のアルバムを見つけ、中には若い頃の父と幼少期の私の写真がたくさんあった。家族写真なんて小学生くらいまでしか撮らないことが多く、ほとんどがその時期の写真ばかりだった。アルバムをめくっていると、最後の方のページから一枚の白黒写真が出てきた。

私が写っている写真は全てカラーだったので、これは父の写真かなと思ったが、父の写真はすでに前半にまとめられていた。それに、その写真の人物は父とは全く似ていなかった。念のため父に聞いてみたが、「知らない」と一言。裏書きなども一切なかった。

その写真には、黒っぽい細身のコートを着て、少し長めでウェーブのかかった髪を持つ、背が高い人物が写っていた。その人物は一眼レフを構えており、性別も判別がつかないような中性的な姿だった。親戚や近所の人に尋ねても誰も心当たりがなく、唯一、近所の婆さんが「これは門前の近くで撮ったのではないか」と場所を特定したが、それ以上の情報は得られなかった。

その写真を見たときに、何か既視感を覚え、すぐに祖父の「未来人」の話を思い出した。確かにカメラを持っているし、時代は分からないが服装も現代的だった。「これが祖父の言っていた未来人なのかもしれない」と思ったが、祖父の話を詳しく覚えているのは私だけで、他に確かめる手段はなかった。

それからまたしばらくしてこの話を思い出し、どうにも説明がつかないもやもやした気持ちが残った。写真に写っているのは一体誰なのか? なぜこの写真がうちのアルバムに紛れ込んでいたのか? 仮に未来人だとしたら、誰がその写真を撮ったのか?

最終的に私は、「どこかの誰かの写真が偶然アルバムに紛れ込んだだけだろう」と考えることにしたが、同時に祖父が何かの意図で私をからかっていたのかもしれないとも思う。ただ、もし本当に未来人だったのなら、それはそれで非常に面白い話だ。

最近、再びその写真を見てみたが、実際にはセピア色で、コートも着ておらず、普通に男性っぽい姿だった。カメラやバッグのメーカーが分かれば年代も特定できるかもしれないが、写真を見る限り昭和40年代くらいのものであるように思われた。祖父が言っていた「未来人」がもしこの人だとしたら、大正初期にあのような格好をして現れたことになるが、そうであれば確かに未来人だといえるだろう。

祖父はもうこの世にいないので、この写真の真相を知ることは永遠にできないだろう。しかし、大正初期にあのような姿で現れたのなら、それはやはり未来人だったのかもしれないと、私は今でも信じている。

[出典:693 :本当にあった怖い名無し:2011/06/23(木) 21:10:47.27 ID:Ze0+OnR00]

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