短編 山にまつわる怖い話

ヤバいバイト【ゆっくり朗読】5300

投稿日:

Sponsord Link

今から十年前。世間がマツケンサンバのヒットで浮かれてた時代、チョっと危ない系のアルバイトをした時の話。

64 :本当にあった怖い名無し:2014/06/27(金) 01:12:32.89 ID:YZIwNUmx0.net

当時は西新宿にあるグレーゾーンの店で仕事してて、そこに出入りしてる人がアッチ系の人だった。

仲良くなってしばらくして、日給十万円で、場所は秘密だけどタコ部屋があった場所の事務所の片付けをして欲しいって話をされた。

一応すでに片付けたらしいんだけど、片付けた下っ端がバカだからゴミとかに見られちゃヤバイのがあるかもしれない。

だけどその片付けを自分はやりたくないから、素人何人か連れてって掃除させると言うのがお仕事の内容。

金曜の夜に集合して日曜解散、バイト代は口止め料含めて三十万円、って話のいいお小遣い稼ぎだった。

待ち合わせ場所に行くと、同僚が二人いてドライバー兼監視役一人の計四人で出発だった。

行きも途中で三十分無意味に止まったりして、俺らに時間で距離を測って場所を推測されない様にと色々やってたみたいだ。

起きてても後々怖いので、さっさと寝て次の日目が覚めると山奥にいた。

そして山の砂利道を車で進むとゴミの山。

産業廃棄物処理場……そんな感じの場所が山の中にあった。

仕事自体は楽で、まとめられてるゴミを回収したり現地で燃やしたり、昼前には仕事は終わった。

その頃には監視役とも仲良くなって、タコ部屋の掃除の掃除だってのを聞いたり、この場所で色々埋めるんだよって怖い話を聞いた。

その話はまた別の機会に書くかもだけど、まぁ想像の通りの話だった。

今回の話はまた違う話。

今までの話は全く関係ないんだけど、こんな感じの山奥に行ったんだと思って欲しい。

仕事が終わって昼飯食べ終わったが帰る気配がない。

話を聞くと場所バレたらダメだから、暗くなって出発するまでは動けないらしい。

夜までは自由時間だから好きにしてていいぞと言われても何もない山の中。

当時の携帯はパケホもないから携帯で時間潰すなんてのもできない。

仕方なく涼しい所探そうと周囲を探索する。

暗くなる頃までに戻ればどこ行っても良いけど、民家は周りにないから行方不明になるなよとだけ言われた。

産廃の山は臭いが酷く、近くに行くと熱せられた金属のせいなのか暑いので、雑木林の中を散歩する。

獣道を少し進むと建物の跡と開けた場所があった。

何十年のレベル以上の期間放置されたであろう建築物の跡を見ると、なんとなくお寺の跡かなと感じた。

その場所は涼しく静かで、産廃の山の空気で気分が悪かった自分は、一息つけると感じたのを覚えてる。

電波の入らない携帯をひとしきりいじった後に異変を感じた。

うるさい。とてもうるさい。

野犬でもいるのだろうか、辺りからたくさんの気配と『オーン……オーン』と言う鳴き声が聞こえる。

さすがに野犬はヤバイな~襲われたらどうしようと考えてたら同僚の一人が来た。

同僚は青い顔して開口一番こう言った。

「ここヤバくね?」

『オーン……オーン』と、鳴き声は辺りにこだまして更に大きくなる。

同僚に野犬か熊かと話しかけると、こう言われた。

「お前、この声、地面の下から聞こえてるのわかんない?」

そう言うと同僚は、落ちてた木の棒を使って地面を掘り始める。

どの位時間が立ったかわからないが、俺は狂ったように地面を掘る同僚を見てるしかなかった。

Sponsored Link

そして同僚がブツブツと何か喋ってるのに気付く。

「許さねぇ……絶対許さねぇ……」

同僚はそう言いながら地面を掘る。

そして1メートル以上は掘ったと思うんだけど動きを止めた。

顔は涙なのか汗なのかわからないがグシャグシャだ。

手に持ってた木の棒を捨て、今度は手で掘り始める。

少しして何かを穴から持って出てきた。

それは石でできた仏像か地蔵の頭の様なものだった。

ただ表情がおかしい。

穏やかな表情ではなく憤怒の表情をした頭を持った石像。

「許さねぇ……絶対に許さねぇ……」とつぶやく同僚。

そして石の頭を次々と掘り起こす。

俺はそれを見てるしかなかったと言うか、腰が抜けて動けなかった。

この頭を掘り出し積み上げた同僚は、そのまま山の中に消えて行った。

俺の目の前にはこの世のものとは思えない表情をした仏像の頭がある。

そして気付いた。

『オーン……オーン』

鳴き声を出してるのはこの首だと。

ふと気づくと日が傾きかけてる。

動け動けと自分の足に念じて立ち上がり走りだす。

鳴き声が聞こえなくなった頃に産廃の臭いがしてきた。

薄汚い人間の業の臭いだが、なんだか安心して涙が出てきた。

止めてあった車に飛び乗り震えてると監視役と同僚二人がやって来た。

「お前、六時間もどこ行ってた?」

俺は穴を掘った同僚の話をするが、三人共ずっとここにいたと言う。

幻覚だったのか夢だったのかはわからない。

場所もわからない山奥の産廃場の近く、今もあの頭たちはあの場所にあるんだろうか……

後日談

バイト代は、なんだかんだ言いながらご飯おごってもらっただけで、結局もらえなかった。

その話を上司にすると、一万円くれて、これで終わりにした方が良いよって言われたっけ。

帰り着いてあちらさんの事務所で報告した時に、口約束した奴からもらえって言われた。

笑ながら「もらえるもんならもらえば良い」って言い方だったから、まぁ無理だわな。

俺らはあの場所わかんないし、山のゴミ掃除しただけだからなんの証拠も犯罪性もないから、何もできないってわかってたんだろうね。

あと俺らの仕事はそこから回ってくるし、むこうは俺らを準構成員とか思ってたんじゃないかなと今は思う。

仕事中に電話来て、新宿中パシリに使われて走り回るとか普通だったしね。

大雨の中、傘を届けろって言われて行ったのに三時間ラブホの前で待たされたあげく、タクシー捕まえて来いって言われたりとか、よくわかんないわ。

二十歳位のヤンキーじゃないけど、ヤクザな仕事もまともな仕事できないバカ集団だったから、色々扱いやすかったんんだと思う。

ちなみに募集は普通の求人誌。

(了)

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1403468618/]

 

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 山にまつわる怖い話
-

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.