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短編 洒落にならない怖い話

コンビニのある交差点 r+1533

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小学三年生の夏休みに体験した、不思議で少し怖い話だ。

その日は、地域の子供会による恒例行事「七夕会」があった。七夕は過ぎていたが、皆で集まってクイズをしたり、カレーを作ったりと楽しむイベントだ。会場は、普段は集会所として使われている小さな神社の社務所。子供たちが中心のイベントだが、当番の保護者が数名ついて、火の管理やサポートを行うのが恒例となっていた。

その年、母親が子供会の当番だったため、同じ当番の茂木さん(私の同級生と弟がいる女性)と一緒に準備を進めていた。買い出しや掃除に奔走し、七夕会は無事に終了。夜九時ごろ、片付けも終わりかけ、あとは家に帰るだけだった。

社務所の近くに住む北側の家の子供たちは自転車で帰り、南側の子供たちは保護者が迎えに来ていた。私の家は南側にあり、母と一緒でなければ帰れなかったため、最後まで残っていたのは母と茂木さんと私の三人だった。

片付けが一段落し、三人で社務所の戸締まりを済ませ、帰ろうとしたその時、母と茂木さんの間でこんな会話が始まった。

「あっ、トイレの電気消してないかも」
「じゃあ、見てこようか?」
「いや、私が行くわ。茂木さんは先に帰って」
「そんな悪いわ~」

こんなやり取りが少し続き、最終的に茂木さんは自転車で先に帰ることになった。母は鍵を開けて社務所に戻り、トイレの電気を確認してから再び鍵をかけた。これでようやく帰れると思い、母と車に乗り込んだのだが、ここから奇妙な出来事が始まる。

エンジンキーを回しても、車がうんともすんとも言わない。母が繰り返し試すが、エンジンはかからない。

「バッテリーが上がったのかな……」

母が困惑する一方で、私は途方に暮れた。歩いて家に帰るには30分以上かかる上、田舎の夜道は真っ暗で、歩くなんて到底無理だ。当時は携帯電話も持っておらず、社務所には固定電話もない。近くの民家に電話を借りに行くしかない状況だった。

その時、母が「車を降りよう」と言い、私も車のドアノブを引いた。

ところが、ドアが開かない。ガチャッと音はするのに、扉が外に押し戻されるような感覚があった。力を入れて押し合いしても、開く気配がない。不思議なことに、車全体がユッサユッサと揺れている。

怖くなった私は泣き出し、「なんで開かないの!早く帰ろうよ!」と母に喚いた。母も「ちょっと待ちなさい!」と言いながら必死だったが、内心焦っていたのが分かった。

ふと、母が再びエンジンをかけ直したところ、何度目かでようやくエンジンが始動。

「ドアをちゃんと閉め直しなさい!」

そう言われたが、ドアは結局開かなかったので、そのまま帰ることになった。

社務所から家へ戻るには二つのルートがあった。一つは山沿いを抜ける近道だが、街灯がなく、墓地の横を通るため昼間でもほとんど人が通らない。もう一つは遠回りだが街灯があり、県道沿いを通る道。母と私は迷うことなく遠回りのルートを選んだ。

車を走らせていると、途中にある地元の小さなコンビニに立ち寄ることになった。24時間営業ではなく、深夜12時に閉まる店舗だ。なぜ寄ったのか、当時の私にも母にも理由は分からない。ただ、暗闇の中で明るい場所に行きたかったのだろう。

コンビニの駐車場に車を停めると、母が恐る恐るドアを押した。すると、何事もなかったようにドアは開き、私の側も同様に簡単に開いた。その瞬間、母と私はほっと胸をなでおろした。汗が体中を流れ、顔が赤くなっていた。

コンビニでアイスを買って気持ちを落ち着け、ようやく家に戻った。その時の安堵感は今でも忘れられない。

だが、この一件はそれだけでは終わらなかった。

帰りに寄ったコンビニのある交差点で、やたらと事故が増え始めたのだ。それまでは事故らしい事故もなく、信号や歩道も整備された安全な交差点だった。

だが、その日以降、事故が頻発するようになった。警察車両を見かけることが増え、数年に一度は重大な事故も起こるようになった。中には死亡事故も含まれ、私が高校生の時には同級生が亡くなったこともある。

さらに、そのコンビニ自体にも車が突っ込む事故が起きた。怪我をしたヤンキーたちが自販機の前でたむろしていた、という噂話も耳にした。

偶然かもしれないが、もう一つ気になる出来事がある。

それは、一足先に帰った茂木さんの家で起きた悲劇だ。

冬の初め、茂木さんの二歳年下の弟が亡くなった。数日前から風邪気味だったらしいが、朝、茂木さんが起こしに行くと冷たくなっていたという。死因は不明だが、突然の出来事に地域全体がショックを受けた。

こうした出来事が続く中で、私は一つの考えを抱くようになった。

あの日、私たちは何かを連れて帰ってしまったのではないか、と。

茂木さんは自転車で帰り、一人の子供を失った。私たち親子は軽トラックで帰り、途中のコンビニで何かを降ろしてしまったのではないか。

エンジンがかからなかったのは、何かが車に乗り込むまで出発させたくなかったから?
ドアが開かなかったのは、すでに車内に入っていたから?
ユッサユッサ揺れていたのは、何かが動いていたから?

そして、あの交差点とコンビニに残されたものが引き起こした出来事なのではないか。
もし、あのまままっすぐ家に帰っていたら……そう思うと今でも背筋が寒くなる。

(了)

[出典:76 :本当にあった怖い名無し:2016/05/18(水) 20:28:47.59 ID:R7q+zoRO0.net]

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