友人に寺の息子がいるんだけど、そいつから聞いた話
792: 本当にあった怖い名無し 2015/07/07(火) 20:22:17.98 ID:brkCHjrY0.net
佐伯が大学時代に、夏休みで実家に帰省しているときの出来事だそうだ。
夏休みということで、毎晩遅くまでテレビを観たりゲームをしたりとダラダラした生活を送っていた佐伯。
その日もいつものように夜中までゲームをしていると突然、ドンドンドンッと物凄い勢いで玄関を叩く音が聞こえた。
佐伯の部屋は一階で、玄関から近い位置にあり両親は二階の部屋で就寝中で、おそらく玄関を叩く音に気付いているのは佐伯だけだった。
時計を見ると深夜二時頃。
佐伯は出ようか出まいか悩んたが、こんな時間にやって来てインターホンも押さずに玄関を叩きまくる奴がまともな人間であるはずがない。
玄関を開けたらいきなり襲われるかもしれないなどと考えていた。
その間も玄関を叩く音は鳴り止まず、さすがに異様な物音に気付いた佐伯の両親も起きてきたそうだ。
佐伯は両親に
「さっきから玄関を叩いている奴がいるんだけどどうしよう?警察を呼ぼうか?」
と尋ねると住職である佐伯の父親は
「とりあえず出てみよう」と言い玄関の電気を点けた。
佐伯は内心マジかよと思いつつもいざという時に備えて傘立てに置いてあった金属バットを手に持ち身構えた。
父親が玄関を開けるとそこには佐伯と同じ位の年齢のDQNが五人いて、今にも泣き出しそうな怯えた表情をしていた。
するとDQNの一人が突然
「土下座でも何でもしますので今すぐにお経を唱えてお祓いをして下さい」
と必死な形相で泣きついてきた。
状況が飲み込めない佐伯一家だったが、佐伯の母親が
「何があったのか落ち着いて話して下さい」
と言うとDQNは少し落ち着きを取り戻した様子で話し始めた。
「女友達がおかしくなった。車の中でいきなり暴れだして男五人でも抑えるのがやっとなくらいのとんでもない力だった。悪霊に取り憑かれたと思うので今すぐにお祓いをして下さい」
佐伯は気になってDQNに尋ねてみた。
「もしかして心霊スポットにでも行ったんですか?」
「実は○○の廃病院に肝試しに行ってその帰りに突然……」
○○の廃病院といえば地元で有名な心霊スポットだ。
本当にそんな事があるのかなぁなんて佐伯が思っていると佐伯の父親が口を開いた。
「お友達が大変な状況になっているのはわかったけど、うちのお寺はお祓いや除霊を行う宗派ではないのでうちでは何も出来ない。申し訳ないけど他のお寺か神社を探して下さい」
DQN達は呆然と立ちすくみながら
「そうですか……わかりました。夜分遅くにすいませんでした」
と頭を下げて帰って行ったそうだ。
もちろんその後DQN達と取り憑かれた女がどうなったのかわからない。
この話を佐伯から聞いたとき、俺は佐伯にその取り憑かれた女はどんな様子だったのか尋ねてみたが佐伯一家は女を見ていないらしい。
佐伯曰く、突然予想だにしない出来事が起こりDQN達への対応で精一杯でその時は女の様子を確認するなんて発想はなかったとの事。
あの時取り憑かれた女を見ていたら話のタネになったのにな、と笑っていた佐伯がふと言った。
「でも冷静になって考えるとおかしな話だよな。普通男五人女一人で肝試しなんか行くか?DQN達が女を拉致ってヤバイ薬でも使おうとしようとしてたんじゃねーの?」
これはあくまで佐伯の個人的な見解なので真偽は定かではないが、その可能性もあるなと思うと俺はゾッとした。
佐伯は霊否定派(もちろん佐伯の両親も)なんだけど、俺が
「寺の息子だったら霊が見えたり心霊体験をしたことがあるんじゃないか」
って聞いた時に、心霊体験ではないがこんな事があったと話してくれた話だ。
佐伯の家は寺に隣接して墓地があるんだけど、毎年夏になると肝試しにやってくる馬鹿が何組かいて夜中に大声で騒いだり、いきなり女の悲鳴が聞こえて家族がとび起きる事があるそうだ。
「目に見えない居るか居ないかわからない存在よりも、生きている人間の方がよっぽど怖いし迷惑だわ」
って佐伯が言ってて妙に納得した。
(了)
[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1433425141]