短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

石が自分に話しかけてくる【ゆっくり朗読】

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石と会話する人がいました。

237 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/12/10(木) 22:56:40.27 ID:4NZWP1rE0.net

石じじいの話です。

じじいの会った人は、いつ頃からか「石が自分に話しかけてきて、いろいろなことを教えてくれる」と言い始めたそうです。
石は神や精霊が宿るのだと。
明日の天気から、兜町の相場まで。
その持ち主に直接関係のあるような事に関しては、非常に正確な予測情報を与えてくれたそうです。
家族は気味悪がって、その石を捨てるように何度もいったのですが、彼は承知しなかったと。
持ち主によると、その何でも教えてくれる石は、持ち主の「心意気」に共感して奉仕してくれているのだ、ということで自信満々でした。
その石はじじいが拾い与えたものではありませんでしたが、石のことも持ち主のことも非常に心配だったそうです。

石の「助言」はどんどんエスカレートしていきました。

「あの人間はあなたに悪意を持っている」
「あなたの妻は不倫をしている」など。

おきまりの「いやな」助言もするようになりました。
持ち主の奥さんが浮気をしていたのは確かだったようですが、それは夫がおかしくなる前か、なった後かは微妙だったと。

石の助言のおかげでその家は急速にお金持ちになりました。
その豪勢な家は、私が中学生になることまで残っていました。廃屋として。
持ち主はありがたがって、その石のために社を自分の屋敷に建てたそうです。(その社らしきものは、廃屋には残っていませんでしたけど)
しかし、そのような石の霊力(?)が知れ渡ってくると、その御利益にあずかろうとするものたちも現れて、宗教団体(講)のようなありさまとなりました。
普通はここで魔性のモノである石は、有用な助言の見返りを持ち主に求めるものですが、石はまったく無欲であったと。
どんどん有用な情報を与えてくれていたと思われたそうです。

結末はあっけなく訪れました。

持ち主が自宅の自室で首を吊っていたそうです。
物言う石が無くなっていたので、誰かが持ち主を殺してその石を奪ったのではないか?と人々は勘ぐったそうですが、捜査は行われなかったようです。
その後、石の噂は聞かれず、だれかがそれを使って世界征服をしたということもない。

じじい曰く、
「ほんとうに、あの石がものをおしえてくれよったんかわからんぞ。
はよう脳病院につれていってやったらよかたかもしれんわの。
信じられんけど、あの石は魔性のもんやったかものぅ。
そういうもんは、人に、『おまえは特に選ばれたんぞ』いうてちかよってくるんよ。きぃつけなはいや」

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