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長編 土着信仰 定番・名作怖い話

コトリバコ【コンプリート・完全版/語り継がれる定番名作怖い話】【ゆっくり朗読】5749-0102

更新日:

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ナオキマンによる解説

この話は、霊感の強い友達の話。

912 小箱 2005/06/06(月) 12:57:48 ID:lJdBivui0

その友達は中学生の時からの付き合いで、三〇手前になった今でもけっこう頻繁に遊んだり、飲みに行くような間柄。

そいつん家は、俺らの住んでるところでも、けっこう大きめの神社の神主さんの仕事を代々やっている。

普段は普通の仕事してるんだけど、正月とか神事がある時とか、結婚式とかあると、あの神主スタイルで拝むっていうのかな?そういった副業(本業かも)をやってるようなお家。

普段は神社の近くにある住居にすんでます。

で、その日も飲みに行こうかってことで、とりあえず俺の家に集合することになったんです。

先にそいつと、そいつの彼女が到着して、ゲームしながらもう一人の女の子を待ってたんです。

仮に、その神社の子を涼彦、遅れてくる子を由紀、俺のことを宗一郎としますね。

涼彦の彼女は美沙で。

しばらくゲームしながら待ってたら、由紀ちゃんから電話がかかってきたんです。

「ごめんちょっと遅れるね、面白いものが納屋から見つかって、家族で夢中になってた~ 宗一郎ってさ、クイズとかパズル得意だったよね?面白いものもって行くね!もうちょっと待ってて~」

ってな感じの内容でした。

で、四十分くらいしたころかな、由紀ちゃんがやってきたんです。

その瞬間というか、由紀ちゃんの車が俺ん家の敷地に入った瞬間かな、涼彦が

「やべぇ。これやべぇ。やべ……どうしよ……父ちゃん今日留守だよ」

って言ったんです。

俺「ん?涼彦どうしたが?また出たんか?」

美沙「大丈夫!?またなん?」

涼彦「出たってレベルのもんじゃねぇかも……はは……宗一郎やべぇよこれ、由紀ちゃん……まじかよ」

涼彦は普段、霊感あるとかオバケみるとか神社の仕事とか、あまり話題には出さないんですが、たまにこうやって怯えてるんですよ。

俺も由紀も美沙も、そのことは知ってるんですが、涼彦が突っ込んだ話されるのを嫌がるので、普段はあまり話題にしません。

由紀ちゃんが俺の部屋まで上がってきました。

涼彦は顔面蒼白ってかんじで、涼彦「由紀ちゃんよ……何持ってきたん?出してみ……」
由紀「え?え?もしかして私やばいの持ってきちゃった……のか……な?」

涼彦「うん……」

由紀「これ……来週家の納屋を解体するんで、掃除してたら出てきたん」

そういって由紀ちゃんは、木箱を出したんです。

20cm四方ほどの木箱でした。

電話でパズルって言ってたのはこのことだろう。

小さなテトリスのブロックみたいな木が組み合わさって、箱になってたと思う。

涼彦「それ以上触んなや!触んなや!!」

その瞬間、涼彦はトイレに猛ダッシュ。

「おぅえぇええ。ぅぇえぇうぇええええ」

嘔吐の声が聞えてきました。

美沙がトイレに行って、涼彦の背中をさすってやってるようでした。

一通り吐き終えた涼彦が戻ってきました。

涼彦が携帯を取り出し、電話をかけました。

「とうちゃん……コトリバコ……コトリバコ友達が持ってきた。俺怖い。じいちゃと違って俺じゃ、じいちゃみたくできんわ……」

涼彦泣いてました。

とうちゃんに電話かけて泣いてる二十九歳……それほど恐ろしいことなんでしょう。

俺も泣きそうでした。

「うん付いちょらん、箱だけしか見えん。跡はあるけど、のこっちょらんかもしらん。うん、少しはいっちょる、友達のお腹のとこ。シッポウの形だと思う……
シッポウだろ?中に三角ある。シッポウ。間違いないと思う、だって分からんが!俺は違うけん!」

なにやら専門用語色々でてたけど、繰り返していってたのはコトリバコ、シッポウ……もっと色々言ってたけど忘れました。

「分かったやる。やる。ミスったら祓ってや、父ちゃん頼むけんね」

涼彦はここで電話を切りました。

最後に涼彦は二分ほど思いっきり大泣きして、しゃくりあげながら

「よし」と正座になり、自分の膝のあたりをパシっと叩きました。

もう泣いてませんでした。なにか決意したようで。

「宗一郎……カッターか包丁貸してごせや」

「お、おい、何するん!?」

「誰か殺そうっちゅうじゃない、由紀ちゃん祓わないけん。
由紀ちゃん、俺みて怯えるなっちゅうのが無理な話かもしらんが、怯えるな!美沙も宗一郎も怯えるな!
とにかく怯えるな!怯えるな!!負けるか!負けるかよ!!俺が居る!怯えるな!怯えるな!なめんな!俺だってやってやら!じいちゃんやってやら!見てろよ糞!糞ぉおおおおお!」

涼彦は自分の怯えを吹き飛ばすかのように、咆哮をあげていました。

由紀ちゃん半泣きです……怯えきってました。

俺も美沙も泣きそうです。

ほんとにちびりそうだった……

「分かった、分かった、がんばっでみる」

俺も由紀も美沙もなにやら分からないけど、分かった分かったって言ってました。

「宗一郎包丁かカッター持ってきてごせや」

「お、おぅ……」

包丁を涼彦に手渡しました。

「宗一郎俺の内腿、思いっきしツネってごせや!おもいっきし!」

もう、わけ分からないけど、涼彦の言うとおりにやるしかありません。

「がぁあああああがあぐいうううあああ……!!」

涼彦の内腿をツネり上げる俺。

俺に腿をつねり上げられながら、涼彦は自分の指先と手のひらを包丁で切りつけました。

たぶん、その痛みを消すためにツネらせたのかな?

「由紀ちゃん口開けぇ!」

涼彦は由紀ちゃんの口の中に、自分の血だらけの指を突っ込みました。

「由紀ちゃん飲みぃ、まずくても飲みぃ」

「あぐ、んがご、っぉあ……」

由紀ちゃん大泣きです。言葉出てなかったです。

「……ノテンジョウ ノリヲ シンメイイワト アケマシタ カシコミカシコミモマモウス」

涼彦がなにやら祝詞か呪文か分かりませんが、五回~六回ほど繰り返しました。

呪文というより、浪曲みたいな感じでした。

そして涼彦が由紀ちゃんの口から指を抜くとすぐ、由紀ちゃんが涼彦の血の混じったゲロを吐きました。

「げぼ、ぶえええええええおええわえええええ」

「出た!出た!おし!!大丈夫!由紀ちゃんは大丈夫!次……!じいちゃんみててごせや!」

涼彦は血まみれの手を、由紀ちゃんの持ってきた木箱の上にかぶせました。

「コトリバココトリバコ ……いけん……いけん……やっちょけばよかった」

涼彦がまた泣きそうな顔になりました。

「宗一郎!父ちゃんに電話してごせや」

言われたとおりに、涼彦の携帯で涼彦の父ちゃんに電話をし、涼彦の耳元にあてました。
「父ちゃん、ごめん忘れた、一緒に読んでくれ」

涼彦は携帯を耳にあて、右手を小箱添えて、また呪文みたいなものを唱えてました。

やっぱり唄ってるみたいな感じでした。

「終わった。終わった……おわ……ったぁ……うぅえぇえええ」

涼彦はまた号泣してました。大の大人が泣き崩れたんですよ。

美沙によしよしされながら、二十分くらい大泣きしてました。

俺と由紀と美沙も号泣で、四人でわんわん泣いてました。

その間も、涼彦は小箱から決して手を離さなかったような気がします。

号泣してたんであまり覚えてませんが、すこし落ち着いてから、涼彦が

「手と箱を一緒に縛れる位のタオルかなにかないか?」

って聞いてきたので、薄手のバスタオルで、涼彦の手と木箱を縛り付けました。

涼彦「さて、ドコに飲みに行く?」

一同「は?」

涼彦「って冗談じゃ(笑) 今日はさすがに無理だけん、宗一郎送ってくれよ」

(こいつどういう神経してるんだろ……ほんと強い奴だなぁ)

その日は、由紀も涼彦も美沙もなんだかへとへとで、俺が送っていくことになりました。
で、それから八日ほど、涼彦は仕事を休んだようです。

そして昨日涼彦と会い、そのときのことを聞いてみたんですが……

「あ~っとなぁ。由紀ちゃんところは言い方悪いかもしらんが、○山にある部落でな。
ああいうところには、ああいったものがあるもんなんよ。
あれは父ちゃんが帰ってきてから安置しといた。
まぁ、あんまり知らんほうがええよ」

なにやら言いたくない様子でした。

それ以上は、いくら聞こうとしても教えてくれない。

ただ最後に、涼彦がこう言いました。

「あの中に入っちょるのはな、怨念そのものってやつなんよ。
まぁ入ってる物は、けっこうな数の人差し指の先と、へその緒だけどな……
差別は絶対いけんってことだ、人の恨みってのはこわいで、あんなもの作りよるからなぁ。アレが出てきたらな、俺のじいちゃんが処理してたんだ。
じいちゃんの代であらかた片付けた思ってたんだけど、まさか俺がやることになるなんてなぁ。俺はふらふらしてて、あんまり家のことやっちょらんけぇ、まじビビリだったよ(笑)ちょっと俺も勉強するわ。まぁ才能ないらしいが(笑)
それとな、部落云々とか話したけど、差別とかお前すんなや……
由紀ちゃんとも今までどおりな。
そんな時代じゃないしな~あほくせぇろ」

「あたりめぇじゃん(笑)それよりさ、この楽しい話誰かに話してもええの?」

「お前好きだなぁ 幽霊すら見えんくせに」

「見えんからこそ好きなんよ」

涼彦「ええよ別に。話したからって、取り付くわけじゃないし。どうせ誰も信じねぇよ。うそつき呼ばわりされるだけだぞ。俺はとぼけるし(笑)」

……というわけで、ここに書き込ませてもらった次第です。

それと最後にひとつ。

この箱ってね、まとめサイトに同じような箱の話ありましたよね?木箱開けたら爪と髪が入ってて、昭和天皇がどうとかって紙切れが入ってたって話。

昨日、涼彦の話で中身をチラっと言ってたのを思い出して、ふと……

そういった呪物の作り方があるのかな?俺の住んでるところは、ど田舎で、地域限定されて見物客?とか来られたら、さすがに俺も怖いので、あまり地域は追求しないでください。

部落差別は少なくなったといいますが、俺は見えにくくなっただけだと思っています。

そういった一部の人たちが、新たな差別を生む可能性も怖いので。

ただ、皆さんの推察どおり島根県です。

(ばればれですかね……)さすがに大事になっており、やばいかなって思ったので、さっき涼彦と由紀に電話してこの経緯を伝えました。

涼彦いわく、「別にここがどこか分かったって、詳細なんかわかりゃしないよ。安心しろビビリ」

とのことです。

電話ついでにというか、昨日涼彦に聞きそびれた事を質問してみました。

①あの場にいた由紀以外の人間、つまり俺と美沙は大丈夫なのか。

②また、俺の家に来る前に、件の小箱で遊んでたという家族は大丈夫なのか。

③頼むよ!まじアレなんだったの!?気になって毎夜六時間しか寝られないよ!

以上三点です。

以下、涼彦の回答。

①②の回答。

アレは子供と子供を生める女にしか影響なし。

由紀の父と弟は問題外。

母は……閉経してるんじゃないか?由紀のばあちゃんもな。

もちろん宗一郎も大丈夫。

美沙については危ないかなと思ったけど、触れた時間が短かったため問題なしだろう。

いざとなったら、父ちゃんがいるし大丈夫。

③ 実は涼彦自身も詳細は知らないらしい。

ただコトリバコは、『子取り箱』だそうです。(本当かどうかは不明です)

俺を何とか反らそうと、ウソついたのかもしれないですが……昨日の会話の口ぶりからして、知らないはずが無いと思ってます。

ただ、そこまでして隠すほどのことだってことでしょうか。

なおさら怖いけど気になります。

次、由紀ちゃんとの会話ですが要約すると、あの後、業者が納屋を解体しにきたのですが、そのときお隣のおじいさんと一騒動あったそうで、そのときの内容を、明日三人に話しておきたいと。

で、由紀曰く、自分も恐怖より好奇心が勝ってるということ。

当事者として何があったのか、アレはほんとに何だったのかをせめて知りたい、ということでした。

で、今涼彦に話したらOKということで……ちょっと考え込んでましたが。

明日、涼彦・由紀・美沙・宗一郎の四者会談開催してきます。

涼彦のお父さんに話を聞ければ一番いいのでしょうが、さすがに涼彦が渋ってるのに、お父さんに直談判って訳にはいかないでしょうね……もし聞くことが出来れば聞いてみます。

ここまで来たら全部知りたいなぁと思ってます。

書き込んでみてよかった。だいぶ焦ったけど(笑)

でも、友達なくすようなことはしたくないので、涼彦、由紀、美沙の誰からかストップかかったらカキコは止めますね。

現時点では好奇心にかき消されてますが、罪悪感もあるので。

昨日の経緯を書きます。嫌になるくらい長文です。

載せようかどうかかなり迷ったんですが、四人で相談し、それぞれ思うところもあり、掲載することにしました。

最後にお願いもあります。

かなり長い話だったので、まとめも時間がかかり、また、俺自身かなり衝撃的なことを偶然聞かされたので混乱してます。

また、五時間近く話しをしてたので、会話の細部は記憶を頼りにかなり補完して、会話らしくしているということも了承してください。

あと、主要な発言しか書いてません。

伏せてる部分も多々あります。

一応涼彦と由紀に見てもらい、修正いくつかしてからアップしてます。

文章ぐだぐだかもしれませんがご勘弁を。

文中、『部落』とか『集落』という言い方してますが、実際の話の中ではそう読んでいません。あくまで便宜上の言い方です。

一応ひどい言葉らしいので、伏字みたいなものと思ってくださいね。

六日夜の時点では当事者四人、俺の家で由紀の話を聞くという予定だったのですが、由紀が由紀の家族、そして納屋の解体の時に一騒動あったという、隣家のおじいさんも交えて話がしたいとのことで、由紀の家に行くことになりました。

それと、由紀の父は由紀父、母を由紀母、由紀の祖母を由紀婆、由紀のおじいさんを由紀爺、隣のおじいさんを源蔵とします。

それと、方言で書くのはなるべくやめます。源蔵と由紀婆の話、ほとんど異国語なので(笑)

まず、由紀が事件の後、納屋の解体業者が来た時の話を。

由紀弟は仕事のため不在、話の内容は以下のようなものです。

俺の家での出来事の二日後になります。

2005年5月23日。

頼んでいた業者がきて、解体用の機械を敷地に入れ作業に入ろうかというとき、由紀父に隣家の源蔵が話しかけてきたそうです。

由紀父がおじいさんに納屋を解体することを伝えると、源蔵は抗議してきたそうです。

由紀父ともめてたそうで、その声を聞いた由紀が、もしかしたらあの箱のことを知っているのかもと思い、源蔵に聞いてみようと外にでたそうです。

この時点で由紀は、家族にあの日のことは話してなかったそうです。

「納屋を壊すな!」

という源蔵に対し、「反対する理由はあの箱のことかなのか」「あの箱はいったい何なのか」

という様なことを聞くと、源蔵は非常に非常に驚いた顔をし、「箱を見つけたのか」「あの箱はどうした?」「お前は大丈夫か?」

とあわてた様子で聞いてきたそうです。

由紀が事件の経緯を話すと、源蔵は

「自分の責任だ。自分の責任だ」

と謝ったそうです。

そして、「聞いておかんかったからこんなことになった」

「話しておかんかったからこんなことになった」

「近いうちにお宅の家族に話さないけんことがある」

と言い、帰って行ったそうです。

そして由紀は、ポカンとしてる由紀父に、事件のことを話したそうです。

そして源蔵の話を聞いてから、俺らに話そうと思ってたのですが、源蔵が話しに来る素振りを見せずイライラしてたところに、昨夜俺から電話があったと言うわけです。

そして、昨日俺の電話を受け、涼彦も来るなら今日しかないと思い、その『話さないといけないこと』を今日話して欲しいということで、源蔵を父と一緒に説得して、来ていただいたそうです。

次に、涼彦の話。

由紀父が源蔵に「お話いただけますか?」

と言うと、俺と美沙が居ることで、話していいものか悩んでいた。(部外者ですもんね)
と、このあたりで、涼彦が

「先に話させてもらっていいですか?」

……そういって話し始めました。

「源蔵さん……本来、あの箱は今あなたの家にあるはずでは?

今の時代、呪いと言っても大概はホラ話と思われるかもしれないが、この箱については別。

俺は祖父、父から何度も聞かされてたし、実際、祖父と父があれを処理するのを何度か見てきた。

箱の話をするときの二人は真剣そのものだった。管理簿もちゃんとある。

それに事故とはいえ、箱でここの人が死んだこともありましたよね。

今回俺が箱に関わったってことと、父が少し不審に思うことがあるということで、改めて昨夜、父と管理簿を見たんです。

そうしたら、今のシッポウの場所は源蔵さんの家になってた。

そうなると話がおかしい。

父は『やっぱり』と言ってました。

俺の家の方からは接触しないという約束ですが、今回ばかりは話が別だろうと思って来ました。

俺の父が行くといったのですが、今回祓ったのは俺なので俺が今日来ました」

源蔵さん、そしてその他一同は黙って聞いてました。涼彦と源蔵にしか分からない内容なので。

「それでですね、源蔵さん。あなたの家に箱があったのなら、由紀のお父さんが箱のことを知らないのは仕方がないし、なんとか納得はできます。由紀のおじいさんは神崎さん(仮名)の家から引き継いで、すぐに亡くなられてますよね」

由紀のおじいさんは俺らが知り合った時、つまり厨房の時にはすでにお亡くなりだそうです。

「管理簿では、神崎家⇒由紀の家⇒源蔵家の移動が一年以内になってました。
由紀のおじいさんが、お父さんに伝える時間が無かったのだろうと理解はできるんです。それに約束の年数からいって、由紀のお父さんに役回りが来ることはもう考えにくい。あなたか神崎家で最後になる可能性が高いですし。
でも、今回箱が出てきたのは由紀の家だった。

これはおかしいですよね。
俺、家のことはあまりやってなかったので、管理簿をまじまじと見たことなんてなかったんですが、昨夜父と管理簿をみて正直驚きましたよ。

由紀の話をさっき聞くまでは、もしかしたら何か手違いがあって、あなたも箱のことを知らなかったのかもしれないと考えてたのですが、あなたは知っていますよね?
知っていたのに引き継いでいない。
そして、由紀の家にあるのを知ってて黙っていた。
俺、今回のこと、無事に祓えたんで、あとは詮索されてもとぼければ済むかなって思ってたんですよ。
何かの手違いで、由紀の家の人みんなが知らなかっただけで、結果オーライというか……正直焦りまくったし、ビビリまくったけど……

今日だって、昨日父と管理簿見てなかったら、ここには来てなかったと思います。
本来の約束なら、俺の家からこっちに来ることは禁止ですからね。
だから、今日俺が来たってことは伏せておいて欲しい。
でも、そういうわけには行かなくなったみたいです」

「俺は怒ってますよ。俺の父もね。
ただ、顔も知らない先祖の約束を守り続けないといけないって言うのは、相当酷な話だというのも分かります。
逃げ出したいって気持ちも。俺だってそうでしたから。
俺だってあの日、箱を見ただけで逃げ出したかった。
わずかな時間のことだったのに、本気で逃げようかと思った。

アレを下手すれば十数年、下手すれば何十年保管するなんてどれだけ怖いのか。
でも、もしこういったことがここ全体で起きてるのだとしたら、残りの箱の処理に関しても問題が起きます。

由紀はたまたま、本当にたまたま箱に近づかなかったっていうだけで、たまたま、本当に偶然あの日、俺と会うことになってたってだけで……

もしかしたら由紀は死んでたかもしれない。
そしてもしかしたら、他の箱で被害がでているかもしれない。
だから、なぜこういうことになってたのか、話していただけませんか?それと、こいつ(美沙)はその場に居た女です。

もちろん子供を生める体です。部外者ではないです。被害者です。
それとこいつ(宗一郎)は部外者かもしれませんが、そうでもないかもしれません。
こいつの名前は神崎です。
ここらじゃそうそうある苗字じゃないですよね?神崎です」

俺はなんのことやら分からなかったです。

ただ源蔵さんが俺の方をみて、「あぁ……そうかぁ……」って。

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源蔵さんの話しに行きますね。

(一部由紀父母の通訳付きです)

源蔵「まず、箱のことを説明したほうがいいですかな。
チッポウ(シッポウかと思ってましたがチッポウらしい)は、由紀さんの家、私の家、そして斜め向いにあった神崎家の三家で、管理してきたものです。
三家に割り当てられた箱です。

そして、あの箱は三家持ち回りで保管し、家主の死後、次の役回りの家の家主が葬儀後、前任者の跡取りから受け取り、受取った家主がまた死ぬまで保管し、また次へ、次へと繰り返す。

受取った家主は、跡取りに箱のことを伝える。
跡取りが居ない場合は、跡取りが出来た後伝える。
どうしても跡取りに恵まれなかった場合、次の持ち回りの家に渡す。
他の班でも同じです。
三家だったり四世帯だったりしますが。

そして、他の班が持っている箱については、お互い話題にしないこと。
回す理由は、箱の中身を薄めるためです。
箱を受取った家主は、決して箱に女子供を近づけてはいけない。
そして、箱を管理していない家は、管理している家を監視する。

また、涼彦さんの家から札をもらい、箱に張ってある古い札と貼り替える。
約束の年数を保管し、箱の中身が薄まった後、涼彦さんの家に届け処理してもらう。
涼彦さんとの神社と昔にそういう約束をしたらしい」

涼彦「それで、俺の家は昔の約束どおり、持ち込まれた箱を処理……供養してたんだ。
ここにある全ての箱と、箱の現在の保管者の管理簿つけて」

源蔵「そうです。本来なら私が、由紀爺が亡くなったときに、箱を引き継ぐはずでした。でも、本当に怖かったんです、申し訳ない許して欲しい。

神崎の父親が死に(由紀の家の前任者)、引き継いだ由紀爺も立て続けに死に、男には影響ないと分かっていても怖かった。

そんな状態で、いつ由紀父が箱を持ってくるのか怯えてたんです。

でも、葬儀後、日が経っても由紀父がこない。それで、秀五郎(由紀家の前任者の跡取り)と相談したんです。

『もしかしたら、由紀父は何も知らないのかもしれない』『箱から逃げられるかもしれない』と。

そしてまず、由紀父に箱のことをそれとなく聞き、何も知らされていないことを確認しました。
そして納屋の監視は続け、由紀家に箱を置いたままにしておくこと、秀五郎は札の貼り替えをした後、しばらくして引っ越すこと。(松江に行ったらしいです)
そうすれば、他班からは『あそこは終わったんだな』と思ってもらえるかもしれないから。
引き継ぐはずだった私が、由紀家の監視を続けること。
そして、約束の年が来たら、源蔵が納屋から持ち出し涼彦神社に届けること。

そして……本当に、本当に申し訳ない。
それまでに、箱に由紀や由紀の母が近づいて死んでしまったとしても、『箱のことは由紀の家は知らない。他班の箱のことは触れることは禁止だから、ばれることは無いだろう』と、秀五郎と相談したんです。
本当に申し訳ない。だから、他班の箱のことは分からない。こんなことは無いと思う、申し訳ない」

源蔵さんは土下座して、何度も謝ってました。

由紀父さんは死んだ由紀爺さんに、納屋には近づくなとは言われていたそうです。

また、実際気味の悪い納屋で、あえて近づこうとは思ってなかったようです。由紀も同様に。

それで今回、どうせなら取り壊そうという話になり、中の整理をしていて、そのときに由紀が箱を見つけてしまった……という経緯でした。

由紀父さん、由紀母さん、由紀婆さん、信じられないという感じでしたが、ただ由紀婆さんだけが、なにやら納得したような感じで、

由紀婆「納屋はだから近づかせてもらえなかったのか」という風なことをおっしゃってました。

涼彦「なるほど、そういうことでしたか……引継ぎはしなかったとはいえ、監視しなければならず、結局は箱から逃げることは出来なかったんですね。結局苦しんだと。決まりの年までたしかあと十九年でしたよね?

……引き継いでいたとしても、結局は俺が祓うことになってたのかな?由紀父さん、由紀母さん、由紀婆さん、由紀……

現実味の無い話で、まだ何が何だか分からないと思う。
でも、これは現実で、このご時世にアホみたいに思うかもしらんが、現実で。
でも、源蔵さんを怒らないであげてほしい。

あの箱が何か知ってるもんにとっちゃ、それほど逃げたいもんだけん。
まぁ、もう箱はないんだけん安心だが?面白い話が聞けて楽しかったと思って、源蔵さんを許してやって欲しい。
源蔵さんを許してやって欲しい」

源蔵さんうつむいて、うなだれて、見てて なんだか 痛々しかったです。

涼彦「それと、たぶんみんな、あの箱の中身が何かを知りたいだと思う。ここまで話したら、もう最後まで聞いてほしい。俺も全部は知らんけど、知ってることを話す。ここはもう箱終わったけん、問題ないと思うし。

正直、残りの箱はあと二つ、たぶん俺が祓わんといけんもんだけん、俺の決意ってのもある。それと、由紀父さんは本来知っておかんといけん話だけん。それと宗一郎は、たぶん今話とかんとしつこいけんなぁ(笑)

あの箱はな、子取り箱っていって、間引かれた子供の身体を入れた箱でな、作られたのは1860年代後半~80年代前半頃。
この部落(俺らの言葉では部落といいませんが、差別用語です)は、このあたりでも特にひどい差別、迫害を受けた地域なんよ。
で、余りにもひどい迫害だったもんで、間引きもけっこう行われていた。
上ノ沢(地域名:仮名)の管轄にあったんだが、特に上ノ沢からの直接の迫害がひどかったらしい。
で、働き手が欲しいから子供は作るが、まともな給料がなく生活が苦しいから、子供を間引くと……これは一応わかるよな?」

涼彦「で、1860年代後半かな?隠岐の島で反乱があったのはしっちょるか?その反乱は1年ほどで平定されたらしいんだけど、そのときの反乱を起こした側の一人が、この部落に逃れてきた。
島帰りってやつだな……反乱の理由とかは学校で少し習ったろ?隠岐がすごい裕福な土地だったってこととかも。
まぁ、それはいいや。
で、その島帰りの人間、名前がな……銀蔵って言うんだよ」

涼彦「銀蔵は反乱が平定されて、こっちに連れてこられた時に、隙を見て逃げ出してきたそうだ。話によるとだけどな。この部落まで逃げてきたと。
部落の人らは、余計な厄介ごとを抱えると、さらに迫害を受けると思って、銀蔵を殺そうとしたんだって。で、銀蔵が『命を助けてくれたら、お前たちに武器をやる』というようなことを言ったそうだ。その武器って言うのがな、小箱だ。小箱の作り方。
部落の人はその武器がどのようなものかを聞き、相談した結果、条件を飲むことにしたんだ」

涼彦「銀蔵はもう一つ条件を出してきた。武器(小箱)の作り方を教えるが、最初に作る箱は自分に譲って欲しいということ。
それが飲めるなら教える。どうしてもダメなら殺せと。部落の人はそれを飲んだ。
そして銀蔵は、箱の作り方を教えた……『作り方を聞いてからやめてもいい。そして殺してくれてもいい』とも、銀蔵は言ったそうだよ。それだけ禍々しいものだけん、この小箱ってのは。銀蔵も思うところがあったのかもな。
ただ、『やり遂げたら自分も命を絶つが、それでもやらなければならないことがある』そう銀蔵は言ってたそうだ」

涼彦「それでその方法がな、最初に、複雑に木の組み合わさった木箱をつくること。
これは、ちょっとやそっとじゃ木箱を開けられないようにするための細工らしい。
これが一番難しい作業らしい。お前らもちょっと見ただろ?あのパズルみたいな箱。
アレを作るんだ。次に、その木箱の中を、雌の畜生の血で満たして、一週間待つ。
そして、血が乾ききらないうちに蓋をする。次に、中身を作るんだが、これが子取り箱の由来だと思う。想像通りだと思うが、間引いた子供の体の一部を入れるんだ。
生まれた直後の子は、臍の緒と人差し指の先。第一間接くらいまでの。そして、ハラワタから絞った血を。七つまでの子は、人差し指の先と、その子のハラワタから絞った血を。十までの子は、人差し指の先を。そして蓋をする。閉じ込めた子供の数、歳の数で箱の名前が変わる。

一人でイッポウ、二人でニホウ、三人でサンポウ、四人でシッポウ、五人でゴホウ、六人でロッポウ、七人でチッポウ。
『それ以上は絶対にダメだ』と、銀蔵は念を押したそうだ。そして、それぞれの箱に、目印として印をつける。イッポウは△、ニホウは■といった具合に。
ただ、自分が持っていく箱のハッカイだけは、七つまでの子を八人をくれと。
そして、ハッカイとは別に、女一人と子供を一人くれと。
『ハッカイは、最初の一個以外は決して作るな』とも言ったそうだ」

涼彦「普通、そんな話まで聞いて、実行なんか出来ないよな。そんな胡散臭い人間の話。ましてや、そんな最悪の話。いくら生活苦しくても、自分の子供を殺すのでさえ耐え切れない辛さなのに、さらに殺した子供の死体にそんな仕打ち……でもな、ここの先祖はそれを飲んだんだ。

やったんだよ。どういった動機、心境だったのかは全部はわからないけど、それだけものすごい迫害だったんだろうね。子供を犠牲にしても、武器を手にしないといけないほどに、すごい……そして、最初の小箱を作ったんだと。各家、相談に相談を重ねて、どの子を殺すかっていう最悪の相談。そして実行されたんだ。そして……ハッカイが出来上がった。

銀蔵は、この箱がどれほどのもので、どういう効果なのかを説明した。要望にあった子供と女を使ってね。その子供と女の名前は、□■と▲△(伏せますね)。
そして、犠牲になった八人の子供の名前は ********(伏せますね)。
聞いたことあるろ?」

俺らは知ってる名前です。でもいえません。ほんとにごめんなさい

涼彦「で、効果は宗一郎に言ってたようなものだ。女と子供を取り殺す。それも苦しみぬく形で。何故か、徐々に内臓が千切れるんだ。触れるどころか周囲にいるだけでね。
そして、その効果を目の当たりにした住民は、続けて箱を作ることにした。住民が自分たちのために最初に作った箱はチッポウだった。俺が祓った奴だな。
七人の子供の……箱……わずかニ週間足らずの間に、十五人の子供と、女一人が殺されたんだよ。今の時代じゃないだろ?……ひどいよな……そして、出来上がった箱を、上ノ沢の庄屋に上納したんだ。普通に。住民からの気持ち、誠意の印という名目で。庄屋の家は……ひどい有様だったらしい。女子供が血反吐を吐いて、苦しみぬいて死んだそうだ」

涼彦「そしてな、住民は上ノ沢のお偉方達、上ノ沢以外の周囲地域にも伝えたそうだ。
今後一切部落に関わらないこと。放って置いて欲しいこと。今までの怨みを許すことは出来ないが、ほうっておいてくれれば何もしないということ。守ってくれるのなら、上ノ沢へ仕事に出ている部落の者も、今後上ノ沢に行くこともしないということ。
そして、もしこのことに仕返しをすれば、この呪いを再び振りまくということ。庄屋に送った箱は、直ちに部落に返すこと。なぜ部落を放置するのか、その理由は広めないこと。ただ、放置することだけを徹底すること。そして……この箱はこれからも作り続けること。
既に箱は七つ存在していること。七つあるっていうのは、これはハッタリだったんだろうなと思う。そう思いたい……言い方は失礼なんだけど、読み書きすら出来なかった当時の住民に、これだけのことが思いつくはずは無いと思うんだが……銀蔵の知恵だったんだろうか。
上ノ沢含め、周りの地域は全てこの条件を了承したらしい。
この事件は、その一時期は周辺に噂としてでも広まったのだろうかな、すぐさま部落への干渉が一切止んだそうだ」

涼彦「で、この部落の大人たちは、それでも作り続けたんだよ。この箱をね。
すでに銀蔵はどこかに行ってたらしいんだが、箱の管理の仕方を残していったそうだ。
女子供を絶対に近づけないこと。必ず箱は暗く湿った場所に安置すること。
そして箱の中身は、年を経るごとに次第に弱くなっていくということ。
もし必要なくなった、もしくは手に余るようなら、○を祭る神社に処理を頼むこと。
寺ではダメ。必ず処分は○を祭る神社であること。
そして住民たちは、十三年に渡って箱を作り続けたそうだ。
ただ、最初の箱以外は、どうしても間引きを行わなければならない時にだけ。
間引いた子の身体を作り置いておいた箱に入れた、ということらしい。
子供たちを殺すとき、大人たちは『上ノ沢を怨め、上ノ沢を憎め』というようなことを言いながら殺したらしい。
殺す罪悪感から少しでも逃れたいから、上ノ沢に反らそうとしてたんだろうな。
箱を作り続けて十三年目、十六個目の箱が出来上がっていた。
イッポウ六つ、ニホウ二つ、ゴホウ五つ、チッポウ三つ。
単純に計算しても、五十六人の子供……作成に失敗した箱もあったという話だから、もっと多かったんだろうな」

涼彦「そして、十三年目に事件が起きた。その時、全ての箱は一箇所に保管されてたんだが、監視を立ててね。そして事件が起きた。十一歳になる一人の男の子が、監視の目を盗んで箱を持ち出してしまった。最悪なのが、それがチッポウだったってこと。
箱の強さは、イッポウ < ニホウというふうに、数が増えれば強くなる。
しかも、出来上がって間もないチッポウ。
箱の外観は分かるよな……由紀が楽しく遊んだっていうように、非常に子供の興味を引くであろう作りだ。
面白そうなおもちゃを手に入れた男の子は、家に持ち帰り、その日のうちに、その子を含め家中の子供と女が死んだ。
住民たちは初めて箱の恐怖を、この武器が油断すれば自分たちにも牙をむくということを改めて痛感した。
そして一度牙をむけば、止める間もなく望まぬ死人がでる。確実に。
そして恐怖に恐怖した住民は、箱を処分することを決めたそうだ」

涼彦「それからは大体分かるよな。代表者五人が、俺の家に来たんだわな。そして、俺の先祖に処理を頼んだ。しかし、箱の力が強すぎると感じた俺の先祖は、箱の薄め方を提案したんだ。それは源蔵さんの言った通りの方法。そして、決して約束の年数を経ない箱を持ち込まないこと。神社側からは決して部落に接触しないこと。前の管理者が死んだ後、必ず報告をすること。

箱ごとの年数は、恐らく俺の先祖が大方の目安……箱の強さによって百十年とか、チッポウなら百四十年ほど。箱の管理から逃げ出せないよう、そのルールを作ったんだ。
で、班毎に分かれたあと、一人の代表者を決め、各班にその代表者が届けた。
そしてどの箱をどの班に届けたかを俺の神社に伝え、俺の祖先が控えた後……その人は殺される。
これで、どの箱をどの班がどれだけの年数保管するのかは分からない。
そして、班内以外の者同士が箱の話をするのを、タブーとしたそうだ。

なぜ全体で管理することにしなかったのかは、恐らくだが、これは俺のじいちゃんが言ってたんだが、全体で責任を背負って責任が薄まるよりも、少ない人数で負担を大きくすることで、逃げられないようにしたんじゃないかな?で、約束の年数を保管した後、持ち込まれた箱を処理したと。

じいちゃんの運の悪いところは、約束の年数ってのが、じいちゃんとおれのひいじいさんの代に、もろ重なってたってことだ。

箱ごとの約束の年数っていうのは、法則とかさっぱり不明で、他の箱はじいさんの代で全部処分できたんだが、チッポウだけはやたら長くて、俺の代なんだよなぁ……まだ先だと思って何もやってなかったけど、真面目にせにゃ……」

涼彦「これで全部だ。箱に関すること。俺が知ってること。そして、俺が祓ったチッポウは、最初に作られたチッポウだってこと」

それと、涼彦はさっき電話で、

「箱の年数は、どうやって決めたのかは分からない。俺の先祖が、箱について何かしら知ってたのかも知れないし、銀蔵という人物からそういう話があったら、そうしてくれと頼まれていたのかもしれない」

と言ってました。

以上が昨日の夜の出来事です。

もうね、三文小説のネタにでもなりそうなお話で、現実に箱事件を目の当たりにした俺も、何がなにやらで混乱してます。

これ、ホントは掲載するのどうしようか、本気で迷いました。

明らかにタブーなことだろうと思うし、部落の人にとっては絶対外に漏れては困ることでしょうし……ただ、箱は残りふたつって涼彦が言ってました。

チッポウが二。

これは責任持って涼彦が処理するって言ってたのと、俺ら四人、話を聞いても謎な部分が多すぎて、皆さんの力を借りたいって思ったから、掲載することにしたんです。

冒頭で言ってた、『お願いしたいこと』って言うのがそれなんです。

この話読んだ後、なにかこれに関する情報があったら教えていただけませんか?詳しい地域とか明かせないし、みんなの名前も怖いから教えられないんですが、俺達の個人的な欲で、知りたいんです。

涼彦の話を聞いても、涼彦と涼彦の父ちゃんにも不明なことは多いらしく、また、由紀とその家族、美沙も出来うる限り知りたいと。

涼彦も「今の時代なら分からない部分が少しは埋まるかも」と。

オカルトチックな話で、信憑性もかな~~~り薄いことだろうと思います。

俺も箱を実際見とらんかったら信じてないと思うし、銀蔵が誰なのか、もともとは何処から来たのか?

銀蔵は箱の作り方を何処から知ったのか?また、銀蔵なる人物はどういう理由で隠岐に居たのかとか、ハッカイとかいう最初の箱はドコに行ったの?とか、銀蔵はその後どうなったの?とか。

ハッカイ使って銀蔵は何をしたの?とか、隠岐は、京都付近の政治犯が送られて来たってのは習ったんでしってますが、この箱の作り方が、京周辺にあるものなのか?とか。

これは俺のルーツ知れるかなぁっていう、個人的な欲も含まれています。

父母が生きてた時、父方の先祖は隠岐から来たってのは聞いてたんですが、詳しいところは不明なんで、俺が銀蔵と関わりあるのかは不明なんです。

妹どもも、もちろん知ってるわけないし、母方のばあちゃんに聞いてもわかるわけねぇし……

歴史に詳しい方、ハッカイとか言う言葉が出てくる郷土史、昔話など、情報でてこないですかね?箱の呼び名の由来も不明ですし。

ただ、俺の想像なんですが、イッポウ、ニホウとかは、『一封』、『二封』~~で、ハッカイって言うのは、『八開』なのかなとも。

俺らの名前、特に俺自身の苗字を明かせない、地域の名前とか肝心な部分を伏せてるとか、こんな状態でお願いするのはお願いになってないし、失礼だとは思いますが、何か情報があったらぜひお願いします。

俺自身も、図書館等で郷土史など調べてみるつもりです。

(了)

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