今から七~八年前の実話です。
お盆休みを利用し旅行がてら、当時の彼女と某山城跡を見に行った時のことです。
麓の温泉旅館を予約してあっため先にチェックインし、荷物を下ろし軽装に着替えていざ出発!
山城のため、城跡までたどり着くのに楽に三十分以上掛かりました。
登山途中色々あったのですが長くなるので割愛。
頂上らしき所にたどり着くと、城跡説明の大きな看板が!
しかしあまりメジャーな所ではなかったため、手入れが届いてない感じで看板も苔が生えてました(当時も私達二人しかいませんでしたし)
で、天守を目指し覆い繁る木々をかわしながら馬洗い場を抜け、某氏旧館跡(ここで城主は切腹したと云われています)、大広間と進んでいき、ついに天守跡に。
ここで色々作戦練ったり、政をしていたのかと思うと感慨深い物がありました。
一通り見て回ったことだし、さぁ帰ろうと戻りだしました。
大広間を抜けた辺りに百葉箱みたいな物が立っているのですが、そこまで来たとき
『チリリン……』と背中側から鈴の音が。
空耳?と思ったのですが、彼女の方から
「今鈴の音したよね?」
と聞かれ、あぁやっぱり空耳じゃなかったのかと思うと同時に振り返ってはいけない気がして
「したね。振り返らずに手を合わせよう」と自然と言葉が出ていました。
二人で手を合わせ、そのまま帰路へ。
不思議と怖いという思いはなく、ただ安らかに眠って欲しいと願うのみでした。
お盆の時期になると毎年思い出します。
鎮魂の願いと共書かせていただきました。
(了)