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中編 師匠シリーズ

師匠シリーズ 001話~007話 小人・師事・鍵 他

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001 師匠シリーズ『小人』

さて、怪談じゃないけどこんなのはいかが?

オカルト大好きな俺は、知り合いやサークルの後輩先輩に、

節操無く「なんかない?怖い話」と聞きまくる癖がある。

で、俺の歴代の彼女にも聞いてるわけだが、全員一回だけそういう心霊体験をしてるという。

それが変な類似点があって、

一人目が、「おかあさんと一緒に買い物に行った時、道端で小人が踊ってるのを見た」

二人目が、「北海道に友達と旅行に行ったとき、コロボックルの死骸を見た」

三人目が、「金縛り中に小人みたいな童女がお腹の上に乗ってた」

いずれも小人が出てくる。不思議だ。

四年くらい前に俺のオカルト道の師匠が、

「最近小人を見るパターンの怪談が増えている。5ミリの女の亜種もこの変形だ。あんまりいい傾向じゃない」

と言っていた。

いい傾向じゃないとどうだというのか分らなかったが、妙に怖かった。

師匠に彼女の話をすると、

「次は多分、大きい人を見てるよ」と予言されたのだが、

去年、久しぶりに彼女ができたので聞いてみると、彼女も一回だけ変な体験をしており、
「夜中に窓の外を、異常に大きな人影が通り過ぎて行った」

ヒィー

今にして思うと、あの師匠の方が怖いわ!

五、六人殺してるという噂が流れてたし。怪人だな。

この人にまつわる話も色々あるが、また今度。

002 師匠シリーズ『師事』

僕がド田舎から某中規模都市の大学に入学した時、とりあえず入ったサークルにとんでもない人がいた。

大学受験期にストレスからか、やたら金縛りにあってて、色々怖い目にあったことから、オカルトへの興味が高まっていた時期で、そんな話をしていると、ある先輩が

「キミィ。いいよ」と乗ってきてくれた。

その先輩は院生で、仏教美術を専攻している人だった。

すっかり意気投合してしまい、見学に行ったその日の夜、ドライブに連れて行ってもらった。

夜食を食べに行こうと言って、えらい遠くのファミレスまで連れていかれた。

そこは郊外のガストで、なんでここなんですか?って表情をしてたら、先輩曰く、

「ここな、出るよ。俺のお気に入り」

アワアワ……

ファミレス自体始めての田舎者の僕は、それでさえ緊張してるのに出るってアンタ。

「俺が合図したら俯けよ。足だけなら見えるはず」

そんなことを言われて飯が美味いはずがない。

もさもさ食ってると、急に耳鳴りが……

冷や汗が出始めて、手が止まると先輩が、

「オイ。俯けよ」

慌ててテーブルに目を落した。

しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると、視線の右端、テーブルのすぐ脇を、白い足がすーっと通りすぎた。

いきなり肩を叩かれて我に返った。

「見たか?」

リングの公開前だったがのちに見ると、高山が街で女の足を見るシーンがこれにそっくりだった。

僕が頷くと、

「今のが、店員の足が一人分多いっていう、このガストの怪談の出所。俺はまるまる見えるんだけどな。顔は見ない方が幸せだ」

なんなんだこの人。

「早く食べろ。俺嫌われてるから」

俺もわりに幽霊は見る方なんだが、こいつはとんでもない人だとこの時自覚した。

そのあと空港へ向う山道の謎の霧だとか、先輩お気に入りの山寺巡りなどに連れまわされて、朝方ようやく解放された。

以来、俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。

それは、師匠の謎の失踪まで続く。

003 師匠シリーズ『鍵』

僕のオカルト道の師匠は当時、家賃九千円の酷いアパートに住んでいた。

鍵もドラム式で、掛けたり掛けなかったりだったらしい。

ある朝、目が覚めると見知らぬ男の人が枕元に座ってて、

「おはようございます」と言うので、「おはようございます」と挨拶すると、宗教の勧誘らしきことをはじめたから、「さようなら」と言って、その人おいたまま家を出てきた、という逸話がある。

防犯意識皆無の人で、僕がはじめて家に呼んでもらった時も、当然鍵なんか掛けていなかった。

酒を飲んで二人とも泥酔して、気絶するみたいにいつのまにか眠っていた。

僕が夜中に耳鳴りのようなものを感じて目を覚ますと、横に寝ていた師匠の顔を覗き込むようにしている男の影が目に入った。

僕は泥棒だと思い一瞬パニックになったが、体が硬直して声をあげることもできなかった。

僕はとりあえず寝てる振りをしながら、薄目をあけてそっちを凝視していると、男はふらふらした足取りで体を起こすと、玄関のドアのほうへ行きはじめた。

『いっちまえ。何も盗るもんないだろこの部屋』と必死で念じていると、男はドアを開けた。

薄明かりの中で一瞬振り返ってこっちを見た時、右頬に引き攣り傷のようなものが見えた。

男が行ってしまうと、僕は師匠をたたき起こした。

「頼むから鍵しましょうよ!」

もうほとんど半泣き。

しかし師匠とぼけて曰く、

「あー怖かったー。でも今のは鍵しても無駄」

「なにいってるんすか。アフォですか。ていうか起きてたんすか」

僕がまくしたてると、師匠はニヤニヤ笑いながら、

「最後顔見ただろ」

頷くと、師匠は自分の目を指差してぞっとすることを言った。

「メガネ」

それで僕はすべてを理解した。

僕は視力が悪い。眼鏡が無いとほとんど何も見えない。

今も間近にある師匠の顔でさえ輪郭がぼやけている。

「眼鏡ナシで見たのは初めてだろ?」

僕は頷くしかなかった。

そういうものだとはじめて知った。

結局あれは行きずりらしい。

何度か師匠の部屋に泊まったが、二度と会うことはなかった。

004 師匠シリーズ『そうめんの話』

これは怪談じゃないが、話しておかなくてはならない。

僕のオカルト道の師匠が、急にサークルに顔を出さなくなった。

師匠の同期の先輩が言うには、大学にも来てないとのこと。

心配になって、僕は師匠の家に直接行ってみた。

すると案の定鍵が開いていたので、ノックして乗り込むと、ゲッソリした師匠が布団に寝ている。

話を聞いてみると、

「食欲が無くてもう一週間そうめんしか食べてない」

そりゃやつれるわ。と思い、僕が「何か食うもんないんですか?死にますよ」

と言って、部屋をあさったが何も出てこない。

「夏バテですか?」と聞いたが答えない。

何も答えてくれないので、もう知らんわいと、僕は薄情にも家を出た。

僕は師匠を恐れてはいたが、妙に彼は子供っぽいところがあり、ある面僕はナメていた。その頃にはため口もきいたし。

二日後にまた行くと、同じ格好で寝ている。

部屋から一歩も出ずに、一日中ゴロゴロしているそうだ。

「そうめんばっかりじゃもちませんよ」と僕が言うと、師匠は急に「うっぷ」と胸を押えて、トイレにかけこんだ。

背中をさするとゲロゲロと吐き始めた。

それを見ながら僕は、「白いそうめんしか食ってなくても、ゲロはしっかり茶色いんだなぁ」と変なことを考えていたが、ふと気付いた。

そういえば……

もう一度あさったが、やはり何もない。

そうめんさえこの部屋にはないのだ。

「なに食ってるんスか先輩」と詰め寄ったが答えてくれない。

なにかに憑かれてんじゃねーのかこの人?と思ったが、僕にはどうしようもない。

取りあえずむりやり病院に連れて行くと、栄養失調で即入院になった。

点滴打ってると治ったらしく、四日後には退院してきたが、 あの引きこもり中に何を食べていたのか、結局教えてくれなかった。

ただ、なぜかそれから口調が急に変わった。

『俺。オイコラ』から、大人しい『僕。~だね。~だよ』になり、子供っぽさが加速した。

その一回生の夏、僕は師匠とオカルトスポットに行きまくったのだが、おかげで頼りがいがなく、色々ヤバイ目にあう。

005 師匠シリーズ『失踪』

師匠との話をまだいくつか書くつもりだが、俺が途中で飽きるかもしれんし、叩かれてへこんで止めるかもしれないので、先に一連の出来事の落ちである、師匠の失踪について書いておく。

俺が三回生(単位27)の時、師匠はその大学の図書館司書の職についていた。

そのころ師匠はかなり精神的に参ってて、よく「そこに女がいる!」とか言っては、何も無い空間にビクビクしていた。

俺は何も感じないが、俺は師匠より霊感がないので、師匠には見えるんだと思って一緒にビビっていた。

変だと思いはじめたのは三回生の秋頃。

師匠とはめったに会わなくなっていたが、あるとき学食で一緒になって同じテーブルについたとき、「後ろの席、何人見える?」と言いだした。

夜九時前で学食はガラガラ。後ろのテーブルにも誰も座っていなかった。

「何かみえるんすか?」というと、「いるだろう?何人いる?」とガタガタ震えだした。

耳鳴りもないし、出る時独特の悪寒もない。

俺はその時思った。憑かれてると思いこんでるのでは……

俺は思いついて、「大丈夫ですよ。なにもいませんよ」と言うと、「そうか。そうだよね」と安心したような顔をしたのだ。

確信した。霊はここにいない。師匠の頭に住みついてるのだ。

『発狂』という言葉が浮んで、俺は悲しくなり、無性に泣きたかった。

百話物語りもしたし、肝試しもしまくった。

バチ当たりなこともいっぱいしたし、降霊実験までした。

いいかげん取り憑かれてもおかしくない。

でも多分、師匠の発狂の理由は違う。

食事をした三日後に師匠は失踪した。

探すなという置手紙があったので動けなかった。

師匠の家庭は複雑だったらしく、大学から連絡がいって、叔母とかいう人がアパートを整理しに来た。

すごい感じ悪いババアで、親友だったと言ってもすぐ追い出された。師匠の失踪前の様子くらい聞くだろうに。

結局それっきり。

しかし、俺なりに思うところがある。

俺が大学に入った頃、まことしやかに流れていた噂。

『あいつは人殺してる』

冗談めかして先輩たちが言っていたが、あれは多分真実だ。

師匠は、よく酔うと言っていたことがある。

「死体をどこに埋めるか。それがすべてだ」

この手のジョークは突っ込まないという暗黙のルールがあったが、そんな話をするときの目がやたら怖かった。

そして今にして思いぞっとするのだが、師匠の車でめぐった数々の心霊スポット。

中でもある山(皆殺しの家という名所)に行ったとき、こんなことを言っていた。

「不特定多数の人間が深夜、人を忍んで行動する。そして怪奇な噂。怨恨でなければ個人は特定できない」

聞いた時は何を言っているのか分らなかったが、多分師匠は心霊スポットを巡りながら、埋める場所を探していたのではないだろうか。

俺がなによりぞっとするのは、俺が助手席に乗っているとき、あの車のトランクの中にそれがあったなら……

今思うと、あの人についてはわからないことだらけだ。

ただ『見える』人間でも、心の中に巣食う闇には勝てなかった。

性格が変わったあのそうめん事件のころから、師匠は徐々に狂いはじめていたのではないだろうか。

師匠の忘れられない言葉がある。

俺がはじめて本格的な心霊スポットに連れて行かれ、ビビリきっているとき師匠がこう言った。

「こんな暗闇のどこが怖いんだ。目をつぶってみろ。それがこの世で最も深い闇だ」

 

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006 師匠シリーズ『東山ホテル』

強烈な体験がある。

夏だからーという安直な理由で、サークル仲間とオカルトスポットに行くことになった。
東山峠にある東山ホテルという廃屋だ。

俺はネットで情報を集めたが、とにかく出るということなのでここに決めた。

とにかく不特定多数の証言から、『ボイラー室に焼け跡があり、そこがヤバイ』などの情報を得たが、

特に『三階で人の声を聞いた』『何も見つからないので帰ろうとすると三階の窓に人影が見えた』と、三階に不気味な話が集中しているのが気に入った。

雰囲気を出すために俺の家でこっくりさんをやって楽しんだあと、十二時くらいに現地へ向った。

男四女四の大所帯だったので、結構みんな余裕だったが、東山ホテルの不気味な大きい影が見えてくると空気が変わった。

隣接する墓場から裏口に侵入できると聞いていたので、動きやすい服を着てこいとみんなに言っておいたが、肝心の墓場がない。

右側にそれらしいスペースがあるが、広大な空き地になっている。

「墓なんてないぞ」と言われたが、懐中電灯をかざして空き地の中に入ってみると、雛壇のようなものがあり、変な形の塔が立っていた。

「おい、こっち何か書いてある」と言われて、記念碑のみたいなものを照らして見ると、『殉職者慰霊塔』

ヒィィー

昭和3×年 誰某 警部補

みたいなことが何十と列挙されていた。

もうその佇まいといい、横の廃屋といい、女の子の半分に泣きが入った。

男まで「やばいっすよここ」と、真剣な顔して言いだす始末。

俺もびびっていたが帰ってはサブすぎるので、なんとかなだめすかして、奥にある沢を越えホテルの裏口に侵入した。

敷地から一ヵ所開いていた窓を乗り越えて中に入ると、部屋は電話機やら空き缶やら、様々なゴミが散乱していた。

風呂場やトイレなど汚れてはいたが、使っていたそのままの感じだ。

部屋から廊下に出ると、剥がれた壁や捲くれあがった絨毯で、いかにもな廃屋に仕上がっている。

懐中電灯が二個しかないので、なるべく離れない様にしながら各個室やトイレなどの写真を撮りまくった。

特に台所は用具がまるまる残っていて、帳簿とかもあった。

噂だが、ここはオーナーが気が狂って潰れたという。

一階を探索して少し気が大きくなったので、二階へ続く階段を見つけてのぼった。

二階のフロアに着いて、噂の三階へそのまま行こうかと話していた時だ。

急に静寂のなかに電話のベルが鳴り響いた。三階の方からだ。

女の子が悲鳴をあげてしまった。

連鎖するように動揺が広がって、何人か下へ駆け降りた。

「落ちつけ。落ちつけって」

最悪だ。パニックはよけいな事故を起こす。

俺は上がろうか降りようか逡巡したが、ジリリリリリという気味の悪い音は心臓に悪い。

「走るな。ゆっくり降りろよ」

と保護者の気分で言ったが、懐中電灯を持っている二人はすでに駆け降りてしまっている。

暗闇がすうっと下りてきて、ぞっとしたので俺も慌てて走った。

広くなっている一階のロビーあたりで皆は固まっていた。

俺が着いたときに、ふっと電話は止った。

「もう帰る」と泣いてる子がいて気まずかった。男たちも青い顔をしている。

その時、一番年長の先輩が口を開いた。俺のオカルト道の師匠だ。

「ゴメンゴメン。ほんとにゴメン」

そう言いながら、ポケットから携帯電話を取り出した。

「こんなに驚くとは思わなかったから、ゴメンね」

曰く、驚かそうとして、昼間に携帯を一台三階に仕込んでおいたらしい。

それで頃合をみはからってこっそりそっちの携帯に電話したと。

アフォか!やりすぎだっつーの。

もうしらけてしまったので、そこで撤退になった。

帰りしな師匠が言う。

「あそこ洒落にならないね」

洒落にならんのはアンタだと言いそうになったが師匠は続けた。

「僕たちが慰霊塔見てる時、ホテルの窓に人がいたでしょ」

見てない。あの時ホテルのほうを見るなんて考えもしない。

「夏だからDQNかと思ったけど、中に入ったら明らかに違った。十人じゃきかないくらい居た。上の方の階」

「居たって……」

「ネタのためにケータイもう一個買うほどの金あると思う?」

そこで俺アワアワ状態。

「あれはホテルの電話。音聞いたでしょ。じりりりりり」

たしかに。

みんなを送って行ったあと、師匠がとんでもないことを言う。

「じゃ、戻ろうかホテル」

俺は勘弁してくれと泣きつき解放された。

しかし師匠は結局一人で行ったみたいだった。

後日どうなったか聞いてみると、ウソか本当かわからない表情で、

「また電話が掛かってきてね。出ても受話器からジリリリリリリ。 根性なしが!!って一喝したら、ホテル中のが鳴り出した。 ヤバイと思って逃げた」

007 師匠シリーズ『コジョウイケトンネル』

師匠には見えて僕には見えないことがしばしばあった。

夏前ごろ、オカルト道の師匠に連れられて、コジョウイケトンネルに深夜ドライブを敢行した。

コジョウイケトンネルは隣のK市にある有名スポットで、近辺で五指に入る名所だ。

K市にはなぜか異様に心霊スポットが多い。

道々師匠が見所を説明してくれた。

「コジョウイケトンネルはマジで出るぞ。手前の電話ボックスもヤバイが、トンネル内では入りこんでくるからな」

入りこんでくるという噂は聞いたことがあった。

「特に三人乗りが危ない。一つだけ座席をあけていると、そこに乗ってくる」

僕は猛烈に嫌な予感がした。

師匠の運転席の隣にはぬいぐるみが座っていた。

僕は後部座席で一人観念した。

「乗せる気ですね」

トンネルが見えてきた。

手前の電話ボックスとやらには何も見えなかったが、トンネル内に入るとさすがに空気が違う。

思ったより暗くて、僕はキョロキョロ周囲を見まわした。

少し進んだだけでこれは出ると確信する。耳鳴りがするのだ。

僕は右側に座ろうか左側に座ろうか迷って、真ん中あたりでもぞもぞしていた。

右側の対抗車線からくるか、左の壁側からくるのか。

ドキドキしていると、いきなり師匠が叫んだ。

「ぶっ殺すぞコラァッァ!!!」

僕が言われたのかと縮みあがった。

「頭下げろ、触られるな」

耳鳴りがすごい。しかし何も見えない。

慌てて頭を下げるが、見えない手がすり抜けたかと思うと心臓に悪い。

「逃げるなァ!!逃げたらもう一回殺す!」

師匠が啖呵を切るのは何度か見たが、これほど壮絶なのは初めてだった。

「おい、逃がすな、はやく写真とれ」

心霊写真用に僕がカメラを預かっていたのだ。

しかし……

「どっちっスか」

「はやく、右の窓際」

「見えませんッ」

「タクシーの帽子!見えるだろ。逃げるなコラァ!殺すぞ」

「見えません!」

ちっと師匠は舌打ちして前を向き直った。

ブレーキ掛ける気だ……

俺は真っ青になって、めったやたらにシャッターを切った。

トンネルを出た時には生きた心地がしなかった。

後日、現像された写真を見せてもらうと、そこには窓とそのむこうのトンネル内壁のランプが写っていた。

師匠は不機嫌そうに言った。

「俺から見て右の窓だった」

よく見ると、窓に映るカメラを構えた僕の肩の後ろにうっすらと、タクシー帽を被った初老の男の怯えた顔が写っていた。

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