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谷川岳の救難無線 rw+3,882

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大学時代のワンダーフォーゲル部での出来事。

ある秋の日、部室で無線機を調整していた部員が、「どうしても『SOS』としか聞こえない信号が入る」と言い出した。

確かに、断続的にクリック音が繰り返されている。短点・長点を組み合わせた音が、妙に耳に残った。

信号の方向を調べるためにアンテナを振ると、強い電波が上越国境の谷川岳方面から届いていた。顧問を急いで呼び、車で現地へ向かうことにした。

警察に知らせるには証拠が足りず、ひとまず自力で位置を特定しようと動いた。

渋川から沼田を経て、3台の車で谷川岳天神平付近まで到着。駐車場に車を止め、小型無線機を手にして信号を追うと、電波の強度はさらに増し、アンテナがなくても方向が明確にわかるほどだった。

手分けして探索を進めると、先輩の御堂の無線機が突然ハウリングを起こす。無線機が飽和状態になることなど、通常ありえない。

御堂の無線機を頼りに進むと、登山道に入ってわずか20メートルほどでザックが見つかった。その近くで、倒れている男性の遺体を発見した。

急いで警察に連絡を入れ、一同緊張しながら待つ。誰もが、「これが無線信号の発信源だ」と思っていた。しかし、その遺体には無線機が見当たらなかった。

警察が到着し捜索が進む中、発見された無線機は意外な場所にあった。沢の水中だ。すでに水没して使えない状態だった。さらに奇妙だったのは、その無線機は故障が確認され、電波を出せる状態にはなかったことだ。

他に登山者はいなかった。
駐車場の車も一台きり。登山カードも一枚だけ。

死後二日以上経っていた遺体が、駐車場からそう離れていない場所で、誰にも気づかれずに残っていたことも奇妙だった。
だが、それ以上に説明のつかないものが残った。

あのSOSは、誰が出したのか。

同窓会のたびに、この話は必ず出る。
ただ、最近になって、ひとつだけ変わったことがある。

「あの音さ、本当にSOSだったか?」

誰かがそう言い出したのが最初だった。
思い出そうとすると、短点と長点の並びが、少しずつ食い違う。

確かに、助けを呼んでいた。
そう思っていたはずなのに。

今では、誰ひとりとして、
正確なSOSのリズムを再現できない。

あのとき、
いったい何に導かれて、
あの場所へ向かったのか――
それだけが、はっきりしないまま残っている。

(了)

[出典:119 :turumi ◆zVfPN.zVC. :03/01/13 22:47]

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