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不法侵入未遂 r+5,746

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これは俺が大学進学のため、地方から東京に出てきたばかりの頃の話。

その日は、同じく地方から出てきた友人と夜遅くまで遊んでいて、帰宅したのは深夜二時頃だったと思う。

俺の住んでいたアパートは大学の近くにあり、住人のほとんどが学生だった。夜中に酔っ払いとすれ違うことも珍しくなかった。

階段を昇り、四階の自分の部屋へ向かう。ふと、背後に気配を感じて振り返った。

キャップを被った男が後ろをついてきていた。

顔はキャップのつばで隠れていたが、雰囲気からして若い男だった。住人の誰かだろうと思い、軽く会釈して再び階段を昇る。

四階に到着し、俺は廊下を進んだ。アパートの構造は、階段を昇ったすぐ隣が401号室、そこから402、403……と続き、俺の部屋は406号室だった。

後ろから、まだ足音がついてくる。

このアパートは学生ばかりが住んでいるし、同じ階の住人なら何も不思議はない。405か407の住人かもしれないと考えながら、俺は自室の前で鍵を開け、部屋に入った。

深夜だったし、風呂に入って寝るだけのつもりだった。

何の気なしに、ドアを閉め、鍵とチェーンをかけたその瞬間——

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

ドアノブが外れそうな勢いで回された。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

——さっきの男だ。

こんな学生ばかりのアパートに押し入ろうとする時点で、金品目的ではないことは明らかだった。

俺はキックボクシングをやっていた。もし普通に戦えば負ける気はしなかった。

でも——

ボロアパートの扉一枚隔てた向こうに、何を考えているかわからない得体の知れない男がいるという恐怖。

まともに立つことすらできなかった。

歯がガチガチ鳴る。

何分経っただろうか。

実際は一、二分だったのかもしれない。でも俺には何時間にも感じられた。

そして——

「バンッ!!!」

最後に一発、思い切りドアを蹴る音がして、足音は遠ざかっていった。

緊張の糸が切れたのか、俺はそのまま気を失うように眠ってしまったらしい。

次に目を覚ました時には、朝になっていた。

男の正体は未だに不明だ。

だが、それ以来——

俺は部屋に入った瞬間に鍵をかけることを、絶対に忘れないようにしている。

(了)

[出典:28 :本当にあった怖い名無し:2016/07/17(日) 16:41:36.10 ID:yUqdWbuI0.net]

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