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短編 r+ 山にまつわる怖い話

山に選ばれし者 r+3354

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これは、ある掲示板で見かけた話。

投稿者が語るには、つい先日、母方の祖父が亡くなったという。祖父は生涯を山での仕事に捧げ、家族に様々な山の話を語ってくれた人物だった。

通夜の翌日、火葬が執り行われた。長年、山で体を酷使しながらも一日も休むことなく働き続けた祖父の遺骨は、火葬が終わってもほとんど崩れることがなかった。火葬場の係員ですら、ここまで骨が丈夫な遺体は滅多に見ないと驚いたほどだ。

それでも時間の都合上、納骨の準備を進めることになり、骨を箸で拾い集める段取りに入った。親族が慎重に作業を進めていると、母が突然「これ、何?」と声を上げた。目を向けると、祖父の遺骨のすぐ脇に、不自然に尖った小さな骨片が転がっていた。動物の牙のように見えるそれは、どう見ても人間の骨の一部ではなかった。

火葬場の係員も首をかしげる。動物の骨が混ざるなどあり得ない、遺体が火葬炉に入る前は厳重に確認しているという。親族たちも、一体これは何なのかとざわついた。

その時、祖母がぽつりとつぶやいた。「永いこと山で働いてたからなあ……山の神様が、御使いを寄こしてくれたのかもしれんねぇ」

普段ならそんな話を信じる家族ではないはずだった。それでも、その場の空気はどこか異様な静けさに包まれ、誰も祖母の言葉に反論しようとはしなかった。

拾い上げたその骨は、他の遺骨と共に丁寧に納められたという。それ以降、何か異変が起きたという話はない。ただ、祖父の一生と山とのつながりを思えば、あの牙のような骨が何を意味していたのか、家族には一つの答えがあったように思われた――祖父は今も、山の神のもとで安らかに眠っているのだろう、と。

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