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短編 ほんとにあった怖い話

開かずのトイレ

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百年の歴史のある、某高校の話である。

965 名前:( ゚д゚)ハッ! ◆aoV/Y6e0aY 投稿日:02/10/05 17:50

都内の閑静な住宅街にあるその高校には、いくつかの怪談話がある。

外国人墓地を埋め立てての立地のため、深夜に外国人の兵隊が行進しているとか、誰もいない筈の教室に白い格好をした女性が入っていくのを見た、とか・・・。

その高校の三階に、封鎖されたトイレがある。

三階の北側の男子トイレ。

入って左には小用の、右には便座のついたトイレがそれぞれ三つある。

その一番奥の便座のトイレが、閉ざされたままなのである。

この理由については

「ただ単に故障しているだけ」(職員)

「昔、そこで手首を切った生徒がいる」(生徒)

などとさまざまな噂が囁かれていた。

そんなある日、老朽化した学校を建て直すため、そのトイレのある校舎が立て壊されることになった。

好奇心の強いある高校生が、この際そのトイレを開けてみたいという欲求に駆られ、友達二人を連れ立って、夜八時頃に校舎に侵入した。

その日は土曜の夜ということもあって、教職員はほとんど不在。

いつもの活気ある校舎とはうって変わって、不気味な静けさが支配している。

彼ら三人の足音が、妙に大きくこだまする。

誰かに見つかりはしないかという物理的な恐怖と、本当に何か出るのではないかという心理的な恐怖が、三人の心臓を絞り上げた。

いつもなら、なんてことのない階段を、ゆっくりと登る。一段一段、ゆっくりと・・・。

問題の三階のトイレの前に着いた頃には、三人ともかすかに息切れをしていた。

幸い、トイレは常時電灯が点いていて、中を見通すことができた。

ふさがれたトイレの前に立った三人は、まず上部の隙間から覗くことにした。

しかし、なぜかそこもふさがれている。

厚いベニヤ板が釘で打ちつけてあった。

以前に同じことを試した人間がいるのであろう、引っかいた跡や、タバコの吸殻などが散乱していた。

何もここまでしなくても・・・。

三人は云いようのないこの恐怖が本物だ、ということに薄々感づいていた。

しかし、ここまで来て、何も見ずに引き返すわけにはいかない。

木製のドアだったため、持ち込んだ桐で、覗き見ができる程度の穴を穿ち始めた。

最初、手が震えてなかなかうまく刺すことができなかったが、やがてその桐は徐々にドアの中へと埋まっていった。

その間、三人は無言だった。

このまま穴なんて出来なければ良いという思いも、どこかにあった。

長い時間を要したが、貫通した時には、もう穴があいてしまったのかと、時間の感覚がすでに狂っていた。

ゆっくりと桐を抜いていく。

誰が最初に中を見るか、声を潜めて相談する。

誰もが一番最初をイヤがった。

それはそうだろう。

結局、今回の侵入を思いついた高校生が最初に見ることになった。

恐る恐る穴を覗く。

すると・・・

そこに見えたのは、普通のトイレの内部だった。

何か見えるのでは、と期待した半面、どこかホッと安堵した。

残りの二人にも中を見るよう勧める。

二人も同じだった。

先程までビクビクしていた自分たちが急におかしくなり、三人は笑い出した。

やっぱりこんなものは迷信だよ、と一人が再び穴を覗きこんだ瞬間・・・。

「わッ!」

トイレの向こうから、誰かがこちらを見ていたのだ。

便所にも関わらず、床に腰を落としてしまった。

そのただならぬ雰囲気に、もう一人が穴を覗いた。

彼が見たのは、真っ赤な血が壁中に付着したトイレの内部だった。

そんな二人を見て、残りの一人は訳のわからぬ声を上げて走り始めていた。

二人もそれを追うようにして、その場を立ち去った。

何十年もふさがれたドアの向こうにいたものは、一体なんだったのだろうか・・・?

ちなみに、最初に逃げ出した高校生は一週間学校を休んだ後、退学。

その後、いくつかの精神病院に入院した。

数年後、どこかの神社でお祓いをして、現在は普通に生活しているが、今でもあの時のことは堅く口を閉ざして、何度聞いても語ってはくれない、という。

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