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狂気団地 r+5621

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僕が住んでいるのは大阪のある団地で、ここは低所得者しか住めない場所だ。

母と二人で暮らしているんだけど、この団地、周りに住んでいるのはほとんどが外国人や高齢者、それにヤンキーなんかで占められている。十四階建てで周囲にも似たような団地が立ち並んでいるけれど、不思議とここだけやけに自殺が多いんだ。三年に一度か二度は誰かが命を絶っている。それを考えると、少し不気味な気分になる。

俺は今二十歳で、この場所で生まれ育った。これまでの二十年間で、ここで体験した不思議で怖い話がいくつもある。その中からいくつか印象深いものを語ろうと思う。


一つ目の話:初めて目撃した自殺
俺が十一歳のときのことだ。それまでにもこの団地では自殺が起きていたらしいが、実際に現場を見たのはそのときが初めてだった。家でファミコンをしていたら、突然「ズドドーーン!」という鈍い音が響いた。何事かと思い廊下に出てみると、中庭に若い男性があり得ない体勢で倒れていた。

七階から見下ろすようにしてその光景を目撃しただけだったが、近所のおばさんに「家に戻りなさい」と言われて部屋に戻った。でも、不思議なことに、その男性の顔が頭から離れなかった。七階からチラッと見ただけなのに、どうしてそんなにはっきり顔が浮かぶのか、不思議で仕方なかった。


二つ目の話:エレベーターのおばあちゃん
団地には高齢の住人が多いんだけど、その中でも特に印象に残っているおばあちゃんがいた。彼女はいつもどこか一点に立ち尽くして、何かブツブツと呟いていた。子供のころから妙に気味が悪くて、目を合わせないようにしていた。

俺が十七歳のとき。友達と夜通し遊ぶのが流行っていて、その週は家に集まることになった。夜中の二時ごろ、腹が減ったので買い出しをすることになり、ゲームで負けた俺が一人で行く羽目になった。エレベーターに乗ろうとしたとき、あの例のおばあちゃんがそこにいた。壁に頭をつけて、何かブツブツ呟いている。

気味悪いと思いながら急いでエレベーターに乗り、コンビニへ行った。そして帰りは別のエレベーターを使った。

だが、その後もさらに恐ろしい出来事が待っていた。その夜、また腹が減り、再び買い出しに行くことになった。今度はさっき使ったのと同じエレベーターを使ったんだが……そこに、またおばあちゃんがいた。姿勢も行動も、さっきと全く同じだった。結局そのエレベーターには乗れなかった。


三つ目の話:中国人とヤンキーの噂
団地では片親家庭も多いせいかヤンキーも多い。その中には、中国人住人に対してかなり酷い扱いをする者もいた。ある日、その中でも特に悪質だった一人のヤンキーが、朝方に飛び降り自殺をした。

自殺なんてするような人には見えなかったから、不思議に思っていたところ、同じ団地の幼馴染の女の子から気になる話を聞いた。その数日前、十人ほどの中国人が集まって何かしていたという。そしてそのヤンキーが命を絶ったのは、彼らの仕業だという噂が流れていた。

廊下で中国語を話す住人の姿をよく見かけるたびに、「次は自分が狙われるんじゃないか」と不安になる。


四つ目の話:消えたはずのおじいちゃん
俺の住む七階には、廊下をぐるぐる回って歩いているおじいちゃんがいた。運動のためかと思っていたが、ある夏休み、家を間違えて勝手にドアを開けて入ってきたことがあった。そのときは正直、あまりいい印象を持てなかった。

ところが、今年の初めからそのおじいちゃんの姿がぴたりと見えなくなった。そして、今年の夏ごろから、またおじいちゃんの足音が夜中に聞こえるようになったんだ。

母に「あのおじいちゃん、入院でもしてるの?」と聞いてみたら、「あの人なら今年の初めに亡くなった」と返された。でも、足音は確かに聞こえる。昨日も、一昨日も……。

もしも、またあのときみたいにドアを開けられたら――そう思うと、確かめる勇気なんて持てない。

(了)

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