短編 怪談

屋上の女#790

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実話です。

979: 1/3:2010/06/11(金) 23:13:19 ID:+Pg9DTje0

自分は田舎の町役場職員なんだけど、以前勤めてた職場での話。

当時配属されてたのが

地域では割と大きな公営の病院(今は閉鎖)だったんだけど

採算が合わなくて閉鎖が決まってからは

入院患者とか救急は受け付けなくなり、診療所みたいになってた。

昔は入院患者が自殺したこともあったり、

診療所になってからも霊安室とかも

そのまま残ってたから、夜遅くまで残ってた人が

変なモノを見たり聞いたりってのが珍しくなかった。

俺はそういう経験無かったんだが、

三年前の三月、雨の日に、春に異動が決まったせいで

週末に一人で休日出勤していろいろ片付けをしようと思って

十三時から職場行ったんだけど、

いつも通り鍵開けて機械警備を解除して事務所で仕事してたら、

十五分位して事務所に人が入ってきた。

来たのは警備会社の人で、話を聞くと以下のような感じだった。

「十二時五十分に三階の機械警備が異常を察知(センサーが反応)し、

十三時に建物全体の警備が解除された。」

つまり、俺が十三時に職場に到着して機械警備を解除する十分前に、

三階に人が侵入してたことになる。

三階ってのは昔は入院患者用の部屋として使われてて、

そのときには書庫や物置になってて

めったに人が行かないフロアになってた。

警備員の兄ちゃんと一緒に三階に行ったんだけど、

人はいないし窓も開いてない。

唯一なぜか施錠されてなかったのが、屋上に続く外階段のドア。

そのときすでに若干嫌な予感がしたんだけど、

雨が降りしきる中しかたなく外へ出て屋上へ。

当然屋上にも人はいなくて、

二mぐらいの高さがある金網のフェンスから下を覗くと、

駐車場の俺の車の脇に髪が長い女が傘も差さずに立ってのが見えた。

遠くて表情までは見えなかったけど明らかに俺達を見てた。

まだ三月で寒くて雨も降ってるのに、

半袖のワンピースに裾の長いスカート。

何か得体の知れない気味悪さを覚えてそのまましばらく見合ってたんだけど、

よく見ると俺の車の下の方を指差してるようにも見えた。

警備員と一階まで降りると、外にはもう誰もいなかった。

そこで警備員の兄ちゃんがぼそっと

「さっきの人、裸足でしたよね・・・」

と言い出す。

俺は気が付かなかったけど靴を履いてなかったらしい。

それでさらに聞くと、最近は会社や他の公共施設も

機械警備化(アル〇ックとか)が進んでて

同じように警備が異常を察知して駆けつけたのに

誰もいないっていうことがまれにあるらしい。

そしてそこで妙な体験をすることも。

とても仕事なんか続ける気にならずにさっさと仕事を方付け、

警備員も原付に乗って帰っていった。

帰り道、峠の道を雨の中走行中、安全運転してたつもりなんだけど、

車のタイヤが突然、一個バーストして、

そのままスピンしてガードレールにぶつかった。

車は廃車になったけど、他に車はいなかったし、

何より一歩間違えてればガードレールを突き破って

崖下に落下してたかもしれないのに奇跡的に無傷だった。

その車は中古で買ったんだけど、

バーストしたそのタイヤ1個がたまたま劣化してたらしい。

安全運転してつくづく良かったと思いつつ、

あのとき屋上から見えた女の人が、

あの汚くてオンボロな診療所で八年間も

毎日朝一で掃除して綺麗にしてた俺のために、

あの事故を警告してくれたのかなと思ったんだ。

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