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産婦人科の地下 rw+4,945

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親父が色々話してくれたから書こうと思う。

本当に肝心なところは詳しく言えない。容易に想像がつくと思うし、特定につながるような詮索はやめてほしい。

うちは代々、瀬戸内の片田舎で医者をやっている。俺も今は実家の診療所を継いでいる。
家の言い伝えによると、先祖は瀬戸内の小島で*御殿医をしていたらしい。

御典医(ごてんい)とは、典薬寮に所属する医師のことであり、単に典医ともいう。転じて、江戸時代には将軍家や大名に仕えた医師もこの名称で呼ぶようになった。この場合、御殿医と表記することもある。
典薬寮医師という意味での御典医は、名誉職であった典薬頭を除き、実際に天皇の治療に携わる医師のことを指した。近世では優秀な民間医が典医に登用されると同時に官位を与えられ、地下人の身分となるケースがほとんどを占めた。
一方、武家の御典医は、将軍や藩主と身近に接する立場で、武士に準ずる身分であった。

[出典:Wikipedia]

でも、明治時代に入ってから今の土地に移って、診療所を開設したそうだ。

俺は、大政奉還の時にお殿様ともバラバラになって、新しく始めたんだろうなって軽く考えてたんだけど、実際は違った。

御殿医といっても、表向きの仕事だけではなかったらしい。家の役目は、治すことだけではなかった。
権力争いで邪魔になった奥方の腹を処理したり、正気を失わせたり、薬の名を借りて命を終わらせたり。具体的な話は、親父も多くを語らなかった。ただ、普通なら先に消される側になるような仕事をしながら、うちの先祖は生き残り続けた。むしろ、次第に発言力を持ち、殿様と同じ卓につくこともあったという。

家は豊かだった。その代わり、代償があった。

この家系には、奇形の子が生まれる。
時代によって形は違うが、共通しているのは頭が異様に良かったことだと聞いている。最初の頃は、見つかると閉じ込められ、表に出されず、ひっそりと消された子もいたらしい。

転機は、ある分家の男だった。
分家の生まれだが、気づけば本家を超える力を持つようになった人物で、彼が提案したのが、奇形の子を島の外へ出す方法だった。殺すのではなく、隠すのでもなく、遠くへやる。本家も他の分家も反対したが、最終的には受け入れられた。せめて島の外ならいいだろう、という空気だったと親父は言った。

それ以降、奇形の子が生まれるたび、その男が引き取っていった。

ある日、その男が子供を連れて島を出た。
翌日、島に残っていた本家と分家の人間が、全員死んだ。

事故でも病死でもない。
家系図には、全員の命日が同じ日で記され、死因は揃って「憤死」と書かれていた。

俺はその記録を見て、意味が分からなかった。
だが、親父は何の説明もせず、ただ当然のことのようにページをめくった。

その後、生き残ったその男が島に戻り、家の裏の役目は続いた。明治になるまで、家の力は衰えるどころか、むしろ増していったという。

今の土地に移ってからの経緯について、俺は詳しく聞かされていない。聞いていないというより、話題に出ない。
ただ一つだけ、確かなことがある。

診療所の地下には、古い地下道がある。庭の奥にある座敷牢につながっていて、その手前に蟲塚と、小さな石が置かれている。
今まで、そこは掃除だけしてきた。

今日からは違う。
親父にそう言われた。

理由は聞いていない。
聞く必要もないのだろう。

俺は産婦人科医を継いだ。
だから今日から、あそこに供え物をする。

(了)

[出典:834 :本当にあった怖い名無し:2012/05/28(月) 18:18:14.34 ID:kLwX4qZo0]

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